あらすじ
社会学は、社会を研究対象とする学問だ。だが、そこで言われる「社会」とは、私たちの「日常」とイコールではない。それどころか、ときに日常は、より本質的な社会問題や社会構造を隠蔽し、見えにくくしてしまう。逆に言えば、社会の根本問題は一見「当たり前」に思える物事にこそひそんでいるのであり、それをあえて疑い、執拗に探究することが重要となる。社会学とは、そうした探究を通じて社会の成り立ちを明らかにし、その構成単位である人間主体のありようをも解明しようとする試みにほかならない―。世界中で長年使われてきた、アメリカ社会学の泰斗による大定番の入門書!
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Posted by ブクログ
不謹慎な好奇心、当たり前を問い直す力
社会学者に必要と言われている力は、生きるために必要な力だと思った。
社会学系の本をこの本含め3冊(社会学の考え方、社会学的創造力)読んだが、一番読みづらいかもしれない。
以下AIのまとめ*ネタバレ
第1章:娯楽としての社会学
社会学者がどのような関心を持ち、何に突き動かされているのかを描きます。
社会学者の正体: 統計学者でも社会工作員でもなく、「人間の相互作用」という終わりのないドラマに強烈な関心を持つ人間。
鍵穴の視点: 表向きの公的な説明(建前)を信じず、その裏側にある実態(本音や構造)を暴こうとする「不謹慎な好奇心」が社会学の出発点です。
第2章:意識の形態としての社会学
社会学特有の「ものの見方」を定義します。
「見かけ」と「実体」: 社会学的思考とは、物事は見かけ通りではないことを見抜くこと。
脱神秘化: 当たり前だと思われている信念や権威を疑い、それらが歴史的にどう作られたかを明らかにします。
第3章:付録:経歴と宇宙(パースペクティブ)
個人の人生(経歴)と、より大きな社会(宇宙)がどう交差するかを論じます。
過去の再構成: 私たちは現在の社会的な立場に合わせて、自分の過去を都合よく解釈し直している(回顧的解釈)と指摘します。
世界の見え方: 自分がどの集団に属しているかによって、同じ事実でも全く異なる「宇宙」に見えることを明らかにします。
第4章:社会のなかの人間(外部からの束縛)
人間が社会という強大な力にいかに支配されているかを分析します。
社会制御: 暴力、経済的圧力、嘲笑、噂といった「社会制御(ソーシャル・コントロール)」の網が、個人を枠組みに押し込めます。
階層と場所: 私たちが誰を愛し、何を信じ、何歳で死ぬかさえ、社会的な階層(ポジション)によって統計的に予測可能であることを示します。
第5章:人間のなかの社会(内部からの支配)
社会は外部から強制するだけでなく、私たちの「内面」をも作り上げていると論じます。
役割理論: 人間は社会から与えられた「役割(役)」を演じているうちに、それが自分の本当の性格だと思い込むようになります。
知識社会学: 私たちの思考や感情そのものが、社会的な文脈によって形作られている(=社会が人間の心の中に入り込んでいる)と説きます。
第6章:社会的な劇(自由への道)
第4・5章の「操り人形」のような絶望的な状況から、脱出の手がかりを探ります。
離脱と不服従: 社会が要求する「役割」を意識的に演じる(=これは演技だと自覚する)ことで、その役割との間に距離(役割距離)を置くことができます。
ドラマの比喩: 社会は堅固な「監獄」ではなく、人々がやり取りの中で維持している「劇」に過ぎないため、誰かがルールを無視すればその秩序は揺らぎます。
第7章:社会学的なマキャヴェリズムと学問的倫理
社会学の知識をどう使うべきかという倫理を問い直します。
マキャヴェリズム: 社会の仕組み(カラクリ)を知ることは、それを悪用することも、人を解放するために使うことも可能です。
操作への抵抗: バーガーは、社会学が「人間を操作するための技術」ではなく、「操り糸に気づき、より自由になるための知恵」であるべきだと主張します。
第8章:人間主義(ヒューマニズム)の一領域としての社会学
結論として、社会学の目的を再定義します。
人間の尊厳: 社会学の最終的な目標は、人間を数字やデータとして処理することではなく、社会的な制約の中でいかに「自由な主体」として生きるかを見極めることにあります。