あらすじ
日本国内に、中国人だけによる「経済圏」が形成されていた!
在日中国人社会の驚くべき実態を、豊富な取材で明かす迫真のルポルタージュ。
いまや、日本国内に住む中国人は80万人を超える。
留学、出稼ぎ、就職など、さまざまな理由から日本にやってきた彼らだが、その数が大きくなるとともに、中国人のみで経済を回すコミュニティが形成されてきた。
彼らは、何を考え、どのように暮らし、そして日本についてどう思っているのか。
さまざまな背景を持つ人々を紹介し、在日中国人社会を多角的に紹介する。
目次
プロローグ 日本にいるのに、日本語が下手になる私
第1章 日本人が知らない、中国人SNSの世界
第2章 中国人だけで回す経済ネットワーク
第3章 持ち込まれた中国的論理
第4章 日本に来たい中国人 中国に帰りたい中国人
第5章 多層化していく社会
エピローグ 日本で暮らし働いた黄さんのささやかな夢
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
仕事で何人かの在日中国人の方と接する機会が出てきましたので、本書を手に取ってみました。
基本的にはエピソードを集めたものであり、何らかの分析・結論があるわけではないのですが、日本にいる中国人が、中国本土からどのように見えているのかは興味深いです。
また、話には聞いていましたし、有名中高の文化祭に見学に行った際も感じましたが、中国人の教育熱が高いことも理解できました。
もっとも、逆に中国本土の過酷の受験競争からある意味「降りる」ために日本に来るケースもあるようで、その辺りの視点は今までなかったので興味深かったです。
ちなみに、私が接している在日中国人の方を見ていると、中国本土の人(あるいは日本に来たばかりの中国人)に比べると穏やかに感じられ、日本人的な感覚にも理解はある一方で、ビジネスには貪欲で勤勉という印象があります。
Posted by ブクログ
23年11月時点で在日中国人82万2千人、1990年は15万人、5倍以上に増えている!いろいろな階層の人々が日本にきており、富裕層から労働階級まで!日本の中国人社会も、日本に同化する人あり、中国人のみでコミュニティーを造って閉じこもるひとあり、様々らしい。中国人コミュニティでは日本語は不要で、日本人との交流もほとんどない人々もいる。日本人が知らないうちに、日本に馴染まない在日中国人が増えていると思うと良い気はしない。
同じ中国人コミュニティでもタワマンとUR団地では階層が違うので中国人同士の交流は地域や階層で閉じていると思われる。川口の芝園団地は下層?中国人、同じ川口でもプラウドタワー川口クロスのタワマンにはお金を貯めた中国人が住んでいるそうな。中国本国での階層・権威主義を日本に持ち込んでいる人達も多くいるみたい。
著者も言っているように、本書は著者の知り合いからの紹介によるインタビューが多く、中国人コミュニティー全てを理解するものではない。しかしながら、中国人コミュニティにもいろいろあり、20世紀の横浜中華街の中国人世代のように日本にきて一旗あげるのが目標の人と違い、中国の方が日本より上の価値観を持つ在日中国人が増えているのは事実であろう。日本に留学して都市階級の中国人男性と結婚するのを目標にする農村出身の女子学生がいても驚きません。
Posted by ブクログ
23年12月末時点で約82万2千人の在日中国人が入国しているそうだ。
最多は東京で全体の3分の1を占める。続いて埼玉、神奈川、大阪、千葉の順で東京近郊に約半分以上が集中している。
経済的な事情から来日することが多かった世代から母国での独裁国家の閉塞感から自由を求めて来日する最近の世代と来日が加速しているようだ。
それが一過性なのか一時的なものか家族帯同か、日本語を学び日本社会に溶け込んでいくか(かつては多かった層だが)考え方や個人の事情で様々だが、最近中国人だけで完結するSNSを駆使した生活レベルのネットワークが顕著になっているそうだ。
今後来日する中国人が増加するにつれ後者の社会が増大していくだろうが、経済的格差や学歴、母国との関係性(地域間の違いもある)等複雑化していくだろう。
それが経済、文化等多面的にどのような影響を生じるか注視していかなければならない。