【感想・ネタバレ】宣伝は差異が全て 邪神ちゃんドロップキックからマーケティングを学ぶのレビュー

あらすじ

転売ヤー、違法アップロードに先手を打て!
超人気アニメ『邪神ちゃんドロップキック』のプロデューサーが初めて明かす、型破り、でもファンの心を捉えて離さない宣伝ノウハウのすべてを一挙公開!!

「私を見てほしい」「私を雇ってほしい」「商品を買ってほしい」。人は誰しも誰かに選んでもらいたい時がありますよね。でも自分には力がないからと諦めていませんか。

・今までゲームばっかりやっていたあなた!(私です)
面接の時に「趣味はゲームです」と言うより「私は空き時間の全てをゲームに費やして来たので、将来携帯電話でゲームが動く未来が想像できます」と言った方が選んでもらえます。(そうやってNTTドコモに入社しました)

・ライバルがたくさんいる激戦区で商品を売らねばならないあなた!(私です)
「安くておいしいかき氷です」と言うより「1杯1,500円。会場で1番値段が高いです。いちご1.5パック使った日本で一番濃ゆいかき氷です」と言った方が選んでもらえます。(そうやって3,000杯売りました)

コンテンツが溢れるこの世界。選ぶ側は選択肢が多すぎて「これは他と何が違うのかな?」ということにしか興味がありませんので、的確に他との差異を描いてあげれば、弱みすらも強みになります。

この本を書いているのは、毎年新作が300本も登場するアニメ業界で「邪神ちゃんドロップキック」というマイナー作品を、クラウドファンディングやふるさと納税を用いたアニメ制作・違法アップローダーより早い公式切り抜き・転売ヤーよりも安いメルカリ販売・不適切アニメ認定に対する反撃など、決して大手メジャー作品がやらない施策を行うことで他作品と差別化し、4期を目指す人気作品に成長させた宣伝プロデューサーです。

私は宣伝の仕事をする中で「差異こそが宣伝の全てなのだ」ということに気がつきました。この本ではそこに至るまでに行ってきた施策の数々を「邪神ちゃんマーケティング」としてまとめています。本来は1期で終わるはずだったマイナー作品がどのように他者との差異を描いて生き残ってきたのか?そのエッセンスはきっと宣伝・広告・販売を業務とする皆さま、そして就職活動・転職活動・オーディションなどに挑む皆さまのお役に立つはずです。

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Posted by ブクログ

邪神ちゃんドロップキックの宣伝プロデューサーによる、弱者コンテンツの必殺「差異」マーケティングですのー

よく「サプライズを」とか「今までやったことないことを」とかのお題を無茶振りされて、結局丸く収まるのは、お互いリスクを取れない受発注関係の常ですが、ここにあるのは「差異」という名の下に繰り広げられる生き残りをかけたゲリラ戦法であり、もはやその手法自体がコンテンツとなっていて、さながら邪神ちゃんバトルロワイヤルを読んでいるようでした

そもそも、著者が東大大学院生でオタクアニメの宣伝プロデューサーをやってる時点で、この本最大の「差異」なんですが、そこはさすがの確信犯、ひとつ一つの「差異」の説得力はそんじょそこらのマーケティング本を超越した神技の連続です

最後の吉田尚記さんとの対談で、PDCAならぬ、PDDDでDOを連打してもファンを大事にすることさえブレなければ「何をやってもブランドを毀損しないブランド」となり、「リスクを負って最初に海に飛び込んだペンギンは語り継がれる」と言い切るリスクジャンキーの覚悟は、まるで「あなたならどうする?」と試されているかのよう

ファンもスタッフも作家先生もビジネスパートナーも全てのステイクホルダーをホリゾンタルにとらえて巻き込む熱量こそがSNSを主戦場とするマーケティングの差異ならぬ正攻法なんだと学びました。ですのー!

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2024年12月08日

Posted by ブクログ

社会において強者になれていない(=つまり弱者な)自分には非常に刺さる本だった。生き方という抽象的な概念から仕事の仕方や時間の使い方、その内容という具体の概念までに影響を与え得る本だと感じる。何より、論より証拠を邪神ちゃんというコンテンツの軌跡が体現しているので、なんかよく分からんけど頑張ってきたんだなとグッとくる。学びが多いのにメンタル的な背中も押されるのは心地が良い。よって⭐︎5

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2025年10月10日

Posted by ブクログ

ピンチはチャンスとよく言いますが、
実際にそれを行うのは難しいですよね

「邪神ちゃんドロップキック」が制作し続けているのは、まさにピンチをチャンスにしてきたからこそ

円盤が売れなくて次に制作が危なくなった時
イベントが台風で危うくなった時
違法にアップロードされた時
議会で決算が不認定となった時
などなど、ピンチの連続

蛇の道は蛇でありませんが、正攻法とは異なり、それをネタがネタになり、邪神ちゃんだから、まぁしょうがないと、ファンも納得し楽しむことができる

snsの使い方などマーケティング本としてもキチンと使える一冊

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2024年09月14日

Posted by ブクログ

アニメで一般的に行われている宣伝とは異なるマーケティングを多くやっている邪神ちゃん。その色々な宣伝施策とその選択背景を垣間見れる。私は邪神ちゃんを全然見てないのだけど、それでもすごくおもしろかった。色々な選択肢がある中で、選んでほしいものをアピールしないといけないときって、アニメ宣伝に限らず数多くあると思うし、「そんなことこっち側ではどうしようもなくない?」と思うことも多いけど、それを諦めずにアイディアを出したり逆境を活用したり、その発想が新鮮でよかった。

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2024年12月29日

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