【感想・ネタバレ】古代天皇たちの真実 - 「紀年復元法」で浮かび上がる「日本古代史」の新たな地平 -のレビュー

あらすじ

令和の紀年論に火を点ける新たな紀年復元法の登場!
神武天皇崩御、127歳。崇神天皇崩御、120歳。垂仁天皇崩御、140歳……。
『日本書紀』の記す古代天皇の常識外れの長寿は、第二次大戦後、非実在説の根拠とされることも多い。
中国史書『宋書』の記す倭の五王の遣使朝貢年と『日本書紀』の天皇治世の不一致から、五王は天皇ではないとする説も語られている。

しかし、現代において『日本書紀』が大幅な紀年延長を行っていることはなかば常識となっている。
すると、正しく紀年を復元すれば古代史の真実が見えてくるはずなのである。
ところが残念なことに、これまでの紀年論(記紀の実年代を復元する試み)は古代天皇治世の正しい年代を復元できずにいる。
さらに残念なことに、紀年論自体が放置された状況であると言ってよいだろう。
その結果、現代の古代史論は研究者それぞれの異なる年代観のうえに語られることが多いのである。

このような状況にピリオドを打ち得るのが、本書が提唱する「歴代天皇紀の『無事績年』を削除していく『紀年復元法』」なのである。
天皇一代の平均在位年数、『古事記』崩年干支、二倍年暦、干支二運繰り下げなど、従来の復元手法とは明らかに一線を画するものである。
本書では、新紀年復元法による復元過程で、その起点とするべき年次が明らかになる。
それは、允恭天皇崩御四七二年というものであった!
従来の紀年論はこの出発点を誤ったためにすべてが行き詰まってしまっていたのである。

本書の「『原日本紀』仮説による無事績年削除短縮法」が導く新たな古代史編年表によって、日本古代史が真実の姿を現しはじめる。


【目次】
第一章「紀年論」のこれまで
第二章『原日本紀』仮説による無事績年削除短縮法
第三章『日本書紀』の編纂過程を考える
第四章『原日本紀』編纂の論拠
第五章『原日本紀』の年代観
第六章天武天皇の意向と謎の第二期無事績年
第七章継体天皇朝と仁賢・武烈天皇朝並立の根拠と歴史の真実
第八章二王朝並立を復元するとみえてくるもの


【著者プロフィール】
伊藤雅文(いとう・まさふみ)
昭和34(1959)年、兵庫県揖保郡(現たつの市)生まれ。
広島大学文学部史学科西洋史学専攻卒業。歴史研究家。
日本書紀研究会会員、全国邪馬台国連絡協議会会員、邪馬台国の会会員、大阪よみうり文化センター講師を歴任。
著書に、『『日本書紀』だけが教える ヤマト王権のはじまり』『邪馬台国は熊本にあった!』(共に扶桑社)、『日本書紀「神代」の真実 - 邪馬台国からヤマト王権への系譜 -』『検証・新解釈・新説で魏志倭人伝の全文を読み解く - 卑弥呼は熊本にいた! -』(共に小社刊)など。
YouTube「古代史新説チャンネル」(日本書紀の界隈/邪馬台国の界隈/古墳の界隈)を好評配信中。


発行:ワニ・プラス
発売:ワニブックス

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Posted by ブクログ

ネタバレ

日本書紀の紀年問題、長寿・長在位の古代天皇像や、倭の五王との年代不整合という古代史の謎に「無事績年削除法」(原日本紀仮説)という方法で古代史再点検
「日本書紀は政治的意図を帯びた編纂物」と分かる
無事績年削除法の核心日本書紀にある「事績(具体的な出来事)のない空白の年」(無事績年)を削除し、詰めて再構成すると主観が入らず機械的・客観的に復元できるこの方法で得た考察
① 天皇起源を極端に古く遡らせる目的
② 継体天皇朝と仁賢・武烈天皇朝の並立を隠蔽
本書が主張したい肝は、日本書紀の武烈天皇の治世8年+仁賢天皇の在位期間は並行(並立)していたと推論
これを第二期無事績年と仮定し、約19年の並立期間を直列化したために不自然な記述が生じていた
継体天皇は応神天皇5世孫として地方から迎えられた
武烈朝の血統断絶後の「新王朝」の始祖と見なされる
皇統の連続性・正統性を強調したがいくつか謎がある

記事の重複記載の謎:並立期に別系統で記録された出来事が、直列化された日本書紀で重複して現れる。
①磐井の乱(527年頃)の新解釈:従来の「地方豪族の反乱」から、継体新王朝に対する旧勢力(武烈朝系や九州豪族)の抵抗・内乱の側面が浮かび上がる
②仏教伝来の二説(522年・538年など)と真の伝来年:並立期の記録混乱や、百済との外交・文化流入のタイミングが整理され、どの説がどの朝の文脈かを区別できる
③倭の五王比定や全体紀年の整合性:中国史料との突き合わせが改善され、允恭天皇崩御(472年)や顕宗天皇崩御(506年)などを定点とした古代年代を再構築

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2026年06月21日

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