【感想・ネタバレ】色の物語 黒のレビュー

あらすじ

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時代を超越し、私たちを引き付ける色

◆黒とは「色」ではない?
夜の闇を連想させ、神秘性と不穏さを合わせもつ色。黒は光の波長を吸収するため、物理学の観点からは「色の欠如」とされます。有史以来人類とともにあった黒は、複雑で矛盾した存在です。宗教改革による禁欲主義がこの色を権威やファッションの象徴にし、さらに作家たちは神聖さと官能性、暴力性と安らぎ、無限と虚無、人間のもつあらゆる欲望や感情を黒を使って描いていきました。

◆普遍的で感情に働きかける
本書では、レンブラント、ホイッスラーらが描いた黒衣の女性から、ピカソのゲルニカ、ポロックやマン・レイ、キース・ヘリングらの現代アート、さらに中国の山水画や古代メキシコの仮面など、さまざまな黒を用いた作品を収録。普遍的で感情に働きかける黒と秀逸なアート作品との関係を、気鋭のフランス人美術史研究家が解説します。

◆構成(抜粋)
アートの中の黒/黒の世界地図/黒の科学/完璧な黒を求めて/ナルキッソス(カラヴァッジオ)/女性の肖像(レンブラント)/マドリード、1808年5月3日(ゴヤ)/画家の母の肖像(ホイッスラー)/すみれの花束をつけたベルト・モリゾ(マネ)/ゲルニカ(ピカソ)/Number 26 A, Black and White(ポロック)/青い目の女(モディリアーニ)/黒と白(マン・レイ)/Detail Drawing(キース・ヘリング)ほか

◆「色の物語」シリーズ
その色はどこから来て、どこへ向かうのか。古今東西文明のなかで、さまざまな意図で使われてきた「色」の歴史とストーリー、影響力を、名だたるアート作品の美しいビジュアルでたどる。「青」「ピンク」好評発売中。続編「赤」「ゴールド」刊行予定。

【著者について】
ヘイリー・エドワーズ=デュジャルダン
美術史・モード史研究家。エコール・デュ・ルーヴル、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション卒業。キュレーター、フリーランスのライターとして、ヴィクトリア・アンド・アルヴァート美術館の調査事業や展覧会に協力するほか、個人コレクター向けのコンサルタントとしても活躍する。ギ・ラロッシュのメゾンのアーカイブ部門の設立を手がけた。パリでモード史、ファッション理論の教鞭をとる

【翻訳者について】
丸山有美 Ami MARUYAMA
フランス語翻訳者・編集者。フランスで日本語講師を経験後、日本で芸術家秘書、シナリオライターや日仏2か国語podcastの制作・出演などを経て、2008年から2016年までフランス語学習とフランス語圏文化に関する唯一の月刊誌「ふらんす」(白水社)の編集長。2016年よりフリーランス。ローカライズやブランディングまで含めた各種フランス語文書の翻訳、インタビュー、イベント企画、イラスト制作などを行なう。

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Posted by ブクログ

このシリーズ、ジワジワ好きになりつつある…。
一つの色を軸に、古今東西のアート作品を鑑賞していく「色の物語」シリーズ。作品の感想をひたすら並べたりと大したレビューは書けていないが、何が観られるのか毎回楽しみにしている。
記念すべき第3回目は「黒」。

自分が黒と聞いてまず思い浮かべるのは、「無難で目立たない色」のイメージである。
ファッションに困ったらとりあえず黒を着ておけば間違いないし、悪目立ちしない。芸能人の私生活スナップも黒を中心とした暗色を纏っていることが多い。

しかし読後の現在「黒ってあたたかい色なのかも」と、自分の中の固定概念がちょっぴり揺らいでいたりする。
「夜、不幸、死など実体のないものを認識するため」に利用されてきた黒色が、何故自分には「あたたかい」と映ったのか。きっかけとなった作品を振り返っていきたい。同時に、また個人の鑑賞ノートになってしまうことをお許し願いたい…。

《生誕》ジョルジュ・ド・ラ・トゥール(1648年)
「あたたかい黒」の代表作をいきなりここで出すという…。
暗がりの中で蝋燭に照らされた聖母マリアが、幼子イエスを抱いて微笑む画。蝋燭は煌々と灯っており、闇はオレンジがかった黒に、人肌はシルキーに映し出している。暗がりに浮かぶ人影なんて不気味なはずなのに、一切それを感じさせない。検索して観ていただけたら幸いである。

《画家の母の肖像》ジェームズ・ホイッスラー(1871年)
最初に飛び込んできたのは、全体のコントラスト。
グレー地の壁と並行して座る、クラシカルな黒衣の老女。その前方にはネイビーのカーテンがかかっている。著者曰く、彼女の足置きは日本製・ネイビーのカーテンは中国製で、前衛的な雰囲気の部屋とは対極をなしているという。コントラストはここにもあったか。
ドレスもマットな黒なのに、周りの配色にうまく溶け込んでいて、陰湿な雰囲気は皆無だ。

《カーネーション》アンリ・ファンタン・ラトゥール(1877年)
グッズで欲しい…というちゃちいコメントはさておき、色とりどりの花が我々を出迎えてくれる本作。印刷の関係か、背景は茶色がかったような黒。美術館だとまた違って見えるのかな。
薄々勘づかれている方もいると思うが、対象物によって黒のキャラクター性は変わってくる。《カーネーション》では、黒は花の「引き立て役」として成立している。かといって「目立たない色」でもないのが評価すべきところ!

《女たちの夢》ロニー・ジャンピジンパ(1991年)
アボリジニの点描画だが、観ていてとても心地良い。
美術以外でも言えることかもしれないが、何かを鑑賞する上で重要なのは「何を感じたのか」「自分の体内で、何か巻き起こったか」だと思う。それをなるべく忘れないようにすることも。
モノクロで構成された曲線を追っているうちに、気の巡りが良くなっていく気がした。「人間って直線よりも曲線の中で生きている方がリラックスできるんです」という恩師の言葉が思い出される…。

目立たず、どこからかそっと包み込んでくれる。
こうしてまた一つ、色の概念がアップデートされた。

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2024年09月06日

Posted by ブクログ

何点か実物を見たものがあり、以前から知っているものも何点かあった。
なかなか着眼点が良い様に思った。

腰巻の絵は すみれの花束をつけたベルト・モリゾ 。
エドゥアール・マネの作品。

もりぞう じゃねぇぞ! と山田五郎が言ってたぶらぶら美術・博物館も
終了してからそろそろ1年となる。
後継番組がないままだ。

翔泳社ってこんな本も出してるんだ。

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2024年08月17日

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