【感想・ネタバレ】日航・松尾ファイル -日本航空はジャンボ機墜落事故の加害者なのか-のレビュー

あらすじ

元日航取締役(技術担当)の松尾芳郎氏(現在92歳。日本航空業界の父として知られ、日航創設に尽力した松尾静磨氏の長男)の目を通して38年前の日航ジャンボ機墜落事故の真相に迫る。
松尾氏は墜落事故当時、技術担当の取締役だった。墜落事故の7年前のしりもち事故のときには、技術部長として日航とボーイング社の間に入って日航に対し、ボ社に事故機の修理を任せるべきだと進言した人物だ。
ボ社はこの修理でミスを犯し、その修理ミスが原因で7年後に墜落事故が起き、520人が亡くなった。松尾氏は事故原因とその背景について知る第一人者で、墜落事故後、群馬県警の厳しい取り調べを受け、業務上過失致死傷容疑で書類送検される(結果は不起訴)。
松尾氏は群馬県警の取り調べの内容やその実態、墜落事故の関係資料をファイルにまとめている。筆者は松尾氏との付き合いからこのファイルを譲り受けた。ファイルを読み込み、松尾氏への取材を進めていくと、新たな真相、つまり運輸省航空事故調査員会がミスリードした結果、警察・検察は「日航が修理ミスを見逃した、見落とした」という観点から捜査を進めたこと、その捜査事態に無理があり不起訴となったこと、アメリカ優位の日米関係のなかで墜落事故の処理が行われていた実態などが浮かび上がってくる。

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Posted by ブクログ

あの日航ジャンボ機墜落事故からもう40年が過ぎようとしている。事故原因については機体の尻もち事故、その修理ミスから圧力隔壁がリベットの金属疲労で破壊それ油圧系統が破断、操縦不能となったとされている。
本書は事故調査の責任者、元取締役だった松尾芳郎氏の報告書と資料から事故原因を再検証したもの。
事故原因には墜落位置の特定に時間を要したことこら陰謀説だったり自衛隊の無人標的と衝突した説などもある。だが本書を読む限り圧力隔壁の修理ミスが原因で間違いないだろう。日航も事故後数日で原因にたどり着いている。
詳細な修理の状況を公表しないボーイング側と日航の駆引きが原因を曖昧なものにしている。
本書によりあらためて事故を振り返ることができた。安寧なように思われる世の中でも一つシステムの歯車が狂うと文明が牙を剥いて人類に襲いかかる。
我々はそんな紙一重の世界の世界に生きていることをあらためて感じさせられた一冊でした。

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2024年12月08日

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