【感想・ネタバレ】武器としての土着思考―僕たちが「資本の原理」から逃れて「移住との格闘」に希望を見出した理由のレビュー

あらすじ

青木君の文章と思考はつねに揺らぎ、葛藤している。決して単一原理に執着すまいというつよい決意が彼の文体に『過剰なまでの節度』(そんなものがあるのだ)を与えている。――内田 樹

奈良県東吉野村への移住実践者で、人文系私設図書館「ルチャ・リブロ」主催者による「土着」論。「都市の原理」と「村の原理」に折り合いを付けながら、いかに世間へ「ルチャ」(格闘)を仕掛けるか。若き在野研究者が綴る、生きる勇気が湧いてくる「逆」自己啓発書。

相手と関係をつくり、その関係の中でいかに生きていくか。この「相手」には、自分の中の「うまくコントロールできない自分」も含まれています。この相手とともにどう生きていくか。それこそ、僕が考える「闘い」(スペイン語でルチャ)です。だから本書で述べている武器とは、相手の技を受け、さらに強い技で返すことで生命力を高め合うような、「相手がワルツを踊ればワルツを、ジルバを踊ればジルバを」というかの名言にもあるような、「相手があってこその生」を築いていくための思考法のことなのです。本書では、相手との競争に勝つための武器を個別具体的に提示するのではなく、さまざまな事例を取り上げながら、「僕たちの闘い方」を一緒に考えていくことを目的としています。――「はじめに」より

ある程度長く生きていれば分かるように、競争した相手が味方になったり、時には味方が敵になったりすることがあります。もしくは大切なプレゼンや試験や試合の前の日に限って眠れなかったり、うまく話しかけたいのにその場に行くと言葉が出てこなかったり、「自分のことが嫌い」という人は「自分こそが一番の敵」だと思っているかもしれませんね。むしろ、相手がいるからこそ僕たちは闘うことができる。相手がいるからこそ僕たちは生きていくことができる。この考え方こそ、巷で「茶番」の比喩として使われるのとは全く異なる、本当の意味での「プロレス的思考」です。馬場がいたから猪木があった。長州と藤波、小林と佐山、山田と佐野、棚橋と中邑も同様でしょう。決して二人ではなく、武藤、橋本、蝶野などといった三人の場合もあるかもしれない。分かる人にしか分からない例えですみません。――「はじめに」より

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ルチャ・リブロを夫婦で運営している青木さんによる「土着」について論じている本。青木さんの文章は、我々が日々生きていく中で忘れていたことを思い出させてくれるような懐かしい気持ちになります…特に2章の”売り物にならないからと言われても、自分の人生を手づくりしていく。”と、4章の障害者への就労支援について、”就労支援とは、人が社会と折り合いをつけるサポートをする仕事だと思っています。”のところが印象的でした。

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2024年08月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

当たり前のことに立ち戻らせてくれる本。

「世の中は商品で構成されている」ことや「別の原理が働く世界」に蓋をしていることに立ち止まらせてくれる本。自由の幅の広さを示してくれる本でもあると思う。わかりやすく言うと、世界が広がる感じ。

土着とは、
第1章
自分にとっての「ちょうどよい」を見つけ、身につけること。
資本の原理が支配する世界ではない別の世界に好きな時に移れるようになること。
自分の感性を「手づくり」すること。
第2章
その状況に応じて適した手段を選べること。(都市に住みながら地域社会の中で生活することなど)
自分にとっての「ちょうどよい」を見つけ、手放さないこと、そのためには手段を選ばない
第3章
二つの原理を併せ持ち、折り合いを付けて生きていくこと。
第4章
「逃れられない病」のこと。「目を背けようと思っても背けられないもの」、「分かっちゃいるけどやめられない」こと。自分にとっての「自然」

その他、
社会の外を認識するために地に足をつけることが大切なんだけどそのきっかけが自分の感性というところが面白いと思ったし不合理な条件(例えば山村での生活)が誘発してくれることも面白い。
手づくりのアジールも読みたい。引用が多かったかな。

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2024年07月20日

Posted by ブクログ

働くために生きているのか?国のための国民なのか?国力でしかないのか?データがそんなに大事?多く稼いだほうが幸せなの?といった、いやそうじゃないでしょ!といいたくなることが常日頃から感じていたことを、この息苦しさを言語化してくれる本と出会いました。「土着思考」という言葉を見て、田舎に移り住んで自給自足の生活をすることがいいのかな?とタイトルだけで思っていたのが大間違いでした。青木夫妻にとっては移住経験が気づきのきっかけになったに過ぎなくて、我々一人ひとりがこの社会へ疑問を持ち、この社会のシステムに飲まれるんじゃなくて、自分にとっての幸せとは何かを自分の頭で考えて、ひとつの価値観に捉われないような生き方を模索していくことが大事なのかもしれないと思いました。資本主義が破綻しつつあり、社会のあり方、価値観もこれから変わっていく過渡期に生きているんだなと認識できました。自分の頭で常識を疑って考えるきっかけをくれるよい本だと思います。

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2025年02月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

23 物質的な豊かさ 商品を選ぶこと
28 手づくりには時間がかかる
152 一つの原理だけに追い込まれない

途中、ちょっと思想強めだなと思う部分もありつつ、つくるということを説いている点は、『手づくりのアジール』と同様共感した。

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2024年11月11日

Posted by ブクログ

土着する とは生き物としての自分とシステムとしての社会の間にあるギャップに気づき、その両者の折り合いをつけながら生きていくこと
0か1ではなく矛盾を抱えていくことが肝腎

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2024年10月13日

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