あらすじ
下り酒問屋、千石屋の女将、麻は、並の女より頭ひとつ大きくて、酒の飲みっぷりも大したもの。そして他人を思いやる心も人一倍。一方、主人の鶴次郎といえば、下戸だが、頭が切れて町内でも頼りにされる存在だ。ふたりには、息子の家出から三十路の恋まで、様々な相談事が持ち込まれて……。新川河岸に巡る季節と人々の心の触れ合いを描くシリーズ第二弾!!
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Posted by ブクログ
「麻と鶴次郎」に続くシリーズ第二弾。
酒問屋・千石屋を営む夫婦の話だが、この2人は他人を思いやる心を持つ素敵な夫婦だ。
そんな2人には様々な相談事が持ち込まれる。
いつの時代も理不尽なことは起こる。親の借金のかたに吉原に売られたり、好きでもない人と祝言をあげさせられたり…
第三章の女中の菊の生い立ちの話は心打たれたし、
第四章の話に出てきた花魁が言った「運命に逆らうのはしんどい。けれど、それで新しい流れに出会うこともありんす。」
今の自分を受け入れて、一生懸命生きる。そうすれば、いつかいいことがあるかもしれない…
覚悟を決めたものが放った言葉には説得力があり、凛とした強さを感じた。
どんなに辛い環境の中にいても、心優しい人との出会いで救われる人がたくさんいる。辛い思いをしてきた全ての登場人物に幸せになって欲しいと思わせる一冊でした。