あらすじ
【内容紹介】
2040年には150兆円規模とも言われる宇宙ビジネスの最前線とは?
無人探査機SLIMの月面へのピンポイント着陸、カイロスロケット初号機の打ち上げ、九州のQPS研究所の小型SAR衛星打ち上げをはじめ、国内外で宇宙開発競争が熱気を帯びています。
国家事業を請け負うことで進歩してきた宇宙産業は、今世紀に入って構造が大きく変化しました。急速に発達したIT技術を活用したビジネスをつくろうと、アメリカを中心とする民間のIT関連企業が宇宙産業に参入してきたのです。
いまや大企業からベンチャー企業まで、様々な企業が宇宙開発に尽力。実際に宇宙関連のビジネスを行う企業は世界全体で約1万社を超え、その企業価値総額は4兆ドルを超えると言われています。
本書では、宇宙ビジネスの最前線で活躍する人びとに、元NHK記者である筆者が直接インタビュー。彼らが宇宙にかける熱い思いをひもときつつ、衛星ビジネスから宇宙法の話題まで、様々な角度から宇宙ビジネスの‶今″を紹介します。
業界研究中の就活生やビジネスマン、投資家も必読の1冊。
【著者紹介】
[著]中村 尚樹(なかむら・ひさき)
1960年、鳥取市生まれ。九州大学法学部卒。ジャーナリスト。法政大学社会学部非常勤講師。元NHK記者。著書に『最先端の研究者に聞く日本一わかりやすい2050の未来技術』『最前線で働く人に聞く日本一わかりやすい5G』『ストーリーで理解する日本一わかりやすいMaaS&CASE』(いずれもプレジデント社)、『マツダの魂―不屈の男 松田恒次』『最重度の障害児たちが語りはじめるとき』『認知症を生きるということ―治療とケアの最前線』『脳障害を生きる人びと―脳治療の最前線』(いずれも草思社)『占領は終わっていない―核・基地・冤罪 そして人間』(緑風出版)、『被爆者が語り始めるまで―ヒロシマ・ナガサキの絆』『奇跡の人びと―脳障害を乗り越えて』(共に新潮文庫)、『「被爆二世」を生きる』(中公新書ラクレ)など。共著に『スペイン市民戦争とアジア―遥かなる自由と理想のために』(九州大学出版会)、『スペイン内戦とガルシア・ロルカ』(南雲堂フェニックス)、『スペイン内戦(一九三六~三九)と現在』(ぱる出版)など。
【目次抜粋】
第1章 宇宙へ行こう!~多様な移動手段~
第2章 宇宙の目~リモートセンシング~
>第3章 宇宙で過ごす~宇宙インフラ構築~
第4章 宇宙の約束~法的・経済的検討~
第5章 月で調べる~月面探査~
第6章 月の水~月面活用~
第7章 月で暮らす~月面都市~
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Posted by ブクログ
夢が膨らむ内容。
ロケット開発では、スペースワンやインターステラテクノロジーズ、ロケットリンクテクノロジーなどが日本勢として活躍するほか、大林組の宇宙エレベーターは、完成すると宇宙空間に物を送り込むコストが劇的に下がる革命的な建造物になる。
衛星開発では、アクセルスペースやアークエッジスペースやQPSなどが日本のプレイヤー。通信、観測、測位などで活用され、新たな巨大ビジネスの舞台となるだろう。
宇宙に行くためのスペースポートでは、種子島、内之浦、北海道大樹町、和歌山県などがあり、大分県は誘致に尽力する。日本郵船は海上打上構想を練り、大林組は宇宙ホテルの建設を夢見る。
制度面では、シンジケート方式での宇宙保険、資源の保有を規定する宇宙資源法などが整備され、インフォームドコンセントで事業者を免責する制度の確立、ベンチャーキャピタルだけでなくプロジェクトファイナンスにも対応できるような資産保有の制度的整備が求められる。
月面探査では、アイスペースの探査車や、トヨタを中心とする月面ローバー開発チームなどが世界をリードする。
月に存在する可能性がある水を巡って、水から燃料を作るプラント建設を目指す日揮グローバル、水の分析装置を担う横河電機や千代田化工建設、水電解装置を作る高砂熱学工業などが活躍する。
そして、月面での自律施工システムを開発する清水建設、レゴリスを建材に変える大林組、人工重力環境を作る加島建設と、夢に向けた開発プロジェクトが動いている。