あらすじ
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中東の動向は世界の経済に直結している
日本にとって、石油を通じて中東は重要な地域です。しかし日本で中東政治や文化についての出版物はありますが、経済関連のものは皆無といえます。本書は、トレンドをおさえつつ学術的な観点から中東経済のしくみ・成り立ちを説明し、世界との関係性を考えるための入門書です。
【構成】
はじめに 中東の経済事情を知るために
■プロローグ 中東の基礎知識
中東という地域
主要な中東の国ぐに①
主要な中東の国ぐに②
主要な中東の国ぐに③
イスラム教の基本
アラブ人は空気を読める?
ホフステードの五次元モデル
<中東経済こぼれ話①>
中東ビジネスの要諦
■Part.1 石油産業の歴史としくみ
石油産業の構造:上流と下流
世界的大企業サウジ・アラムコ
「後出しジャンケン」で石油を買う日本
大きくなりすぎたスタンダート石油
イランからはじまる中東の石油産業
我々以外は仲間に入れぬ:赤線協定
アラビア半島での石油発見
サウジアラビアで世界最大の油田発見
メジャーが支配する中東の石油
メジャーに暗雲立ちこめる60年代
資源ナショナリズムの動きとOPEC結成
メジャー支配からOPECへ
盟主サウジアラビアの苦悩
価格低迷の90年代、市場過熱のゼロ年代
産油国「アメリカ」への対応
脱炭素時代の石油産業
<中東経済こぼれ話②>
日本に石油メジャーが生まれなかったワケ
■Part.2 世界と日本のエネルギー事情
石油と天然ガスはまだまだ主役
化石燃料依存度が高い日本
日本の弱点はエネルギーの海外依存
石油はあとどれくらい採れるのか?
石油の生産量・消費量
世界最大の産油国アメリカ
世界経済を左右する石油価格の推移
石油の貿易:中東の得意先はアジア
天然ガスはあとどれくらい採れるのか?
天然ガスの生産量・消費量
世界最大の産ガス国もアメリカ
日本の石油中東依存度は9割超
アジア主要国の石油中東依存度
石油市場における中東の重要性
<中東経済こぼれ話③>
中東の統計の信頼性
■Part.3 オイルマネーの循環
中東経済でもっとも重要なのは石油価格
中東産油国の財政の柱は石油
サウジアラビアの財政はラクじゃない
レンティア国家とは?
「課税なくして代表なし」
レンティア国家における石油収入の循環
みんな公務員
国が相手じゃ勝負にならない
民間企業も地主さん
石油価格が低いと王様もツラいよ
国民にも負担してもらいます
新興勢力の地代の生み出し方
資源があると経済成長しない?
<中東経済こぼれ話④>
オランダ病:工業化できない産油国
■Part.4 中東の貿易構造
中東の貿易:お隣さんとは少ないよ!
サウジアラビアとUAEが中東貿易の二強
NOイスラエル:アラブ・ボイコット
イスラエルとの経済関係
カタール断交問題と経済関係
カタール経済は断交でダメージを受けた?
棚からぼた餅のオマーン
トルコがリードする地域経済統合
域内貿易が少ないGCC
もともとのドバイは地域の物流拠点
ドバイの再輸出先はどこか?
海外直接投資の状況
世界競争力ランキングからみた中東
<中東経済こぼれ話⑤>
世界銀行報告書の不正とサウジアラビア
■Part.5 労働構造と人的資本
中東の労働市場の特徴
外国人だらけの湾岸諸国
男だらけの湾岸諸国
稼いだお金を故郷に送る
外国人労働力に頼りつづけられる?
公務員での雇用も限界?
課題山積の労働力自国民化
「働かざる者食うべからず」になるか?
湾岸諸国の学力は高くない
なぜ学力が低いのか?
<中東経済こぼれ話⑥>
経済成長は外国頼み
■Part.6 中東経済の未来
中東経済の新たな針路
サウジアラビアの「ビジョン2030」
投資を通じた国づくり
スポーツを通じた産業育成
趣味がビジネスに:競馬
世界から脚光を浴びる観光開発
利子という言葉は使わない:イスラム金融
イスラム圏市場へのパスポート:ハラル認証
次世代エネルギー供給地をめざす中東
<中東経済こぼれ話⑦>
中東にお金もちは多いのか?
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
とても読みやすく大まかな現状をつかむのにおすすめです。
石油のおかげで何もしなくて金持ちのイメージがありましたが、ドバイの成功例や今後の展望も知ることができ勉強になりました。
Posted by ブクログ
世界的大企業のサウジ・アラムコ。
ロックフェラーのスタンダード石油は大きくなりすぎて、34個の企業に分割させられた。その中のエクソンが海外進出を図った。
赤線協定=英仏欄米の4カ国が共同で石油開発をする地域。
1960年OPECの誕生。
1973年10月第四次中東戦争と第一次石油ショック。
1983年、NYマーカンタイル取引所のWTI原油先物市場が誕生。
1990年代は石油価格が低迷=経済構造の変化はドバイ以外では成功しなかった。
2000年代は、マネーゲームで原油価格が高騰。しかしリーマンショックで暴落。
サウジアラビアはOPECを改組、メキシコ、ロシアと強調してOPECプラスを設立。
アジアは単価の安い石炭の割合が大きい。
埋蔵量は年々増えているが、石油がなくなるよりも使われなくなる方が先にくる。石器と鉄器の関係と同じ。
アメリカは世界一の産油、天然ガス国。製油所は、別の原油を精錬できない。アメリカは中朝産石油用の精錬設備があるため、今も輸入している。
中東産油国は石油代金が国家財政の柱。税収は低い=レンティア国家=地主国家。
「代表無くして課税なし」アメリカの独立戦争の要因。
「課税無くして代表なし」=湾岸産油国の特徴。=絶対王政を維持するために、石油収入を国民に分配している。=課税がないので、代表がなくてもいい。
分配の方法は公務員。
石油に変わる政府系企業の収益を分配する方法。ドバイなど。
資源の呪い=一次産品輸出国の経済成長率が低いこと。ほかの産業が育たない。資源を巡る争いがおきる、など。
オランダ病ともいう。オランダで天然ガスが発見された後オランダの製造業が衰退した。
イギリスも北海油田のとき同じ影響が出た。
産油国の工業化が難しい原因。
カタール=衛星テレビ局アルジャジーラの国。一次断交された。
中東の労働市場
民間部門が未発達。女性労働に制約がある。好待遇な自国民と低待遇の出稼ぎ労働市場の二重市場がある。
UAEは、外国人比率が9割、インド、アフリカ、フィリピンなどから。男性が多い。
自国民は好待遇の公務員を目指してニート状態になる。自国民向けの福祉も充実。失業は国家が作り出した=レンティアメンタリティー。
学力も伸び悩んでいる。貧困で就学できないわけではない。外国人教師の意欲の低さ。勤労の意義を教えられない。
技術開発も外国任せ。
イスラム金融は利子を禁止している=代わりにムラーバハという利子という言葉を使わない方式。