あらすじ
たとえこの地球に散り散りに住むことになったとしても家族でいられるように、わたしたちは将来の約束をしない-ー群像の好評連載がついに単行本化。新進気鋭の美術家による清冽なエッセイ。
「実際のところ別に名前自体はどうでもいいとは思うが、必ずしも恋愛にもとづかない関係をときどき家族と名乗ることができたりする社会になったらいいのにな、とは心から思う。
けれど、わたしの中にある「家族」への固執は、おそらくもっと身勝手で、ままならない何かに紐づいている。自分の心と体が誰にも支配されることのない家を、安心して帰れることが約束された家を、わたしはこの手で作り直したかったのだと思う」(本文より)
目次
なめらかな人
ママと娘
骨が怖い
交差点
ビオランテ
カラオケ日和
ねじれたヌード
底意地の悪い
ドクメンタの夜
晋吾のスカート
肉を噛む
バッド・ゲームの向う側
見ない、見えない、見なくていい
身籠り
あの銅鑼が鳴る前に
石に歯
ぬいぐるみたちの沈黙
労働と蕩尽
マイホーム
続・マイホーム
白い塀
遥かなるゾーニング
秘密の融点
砂のプール
あとがき
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
日常でぶつかる小さな壁やモヤモヤを、自分の代わりに代弁し分析してくれているような本だと思いました。「そういうことを考えて、思ってもいいんだな」とどこか安心感を与えてくれた本でもあります。
Posted by ブクログ
アーティストならではというのか、五感に訴えてくるような表現が多く、とても刺激的だった。
自分の感覚が研ぎ澄まされていくような感覚がとても気持ち良いエッセイ。
感性を豊かにしたいときにもう一度読みたい。
Posted by ブクログ
現代美術のアーティストのエッセイ。
今年読んだエッセイで1番良かった。
助走が限りなく少なくてスピードがある文章。
淡々と衝撃的なことが書いてあるのも湿度がなくて重くない。
繊細そうな文章を書きそうだと思っていた著者がわりとサッパリした覚悟のある文章を描くのは今までの生き方の葛藤や模索からくる強さなのかもしれない。