あらすじ
1187年。平家一門の生き残り・平保盛は、前年鎌倉から帰ってきた静御前の乗った牛車と、都で行き逢う。愛する源義経が兄・頼朝との確執から行方をくらまし、彼との子を失った現状を冷静に語る彼女の姿は、保盛に深い印象を残した。一方、後白河院の命を受け、藤原俊成が編纂している勅撰和歌集の完成がいよいよ迫っており、新進気鋭の歌人・定家も父の手伝いに駆り出されていた。ある日保盛は俊成邸にいる定家を訪れるが、門前で若者の屍を発見してしまう。屍には、なぜか清少納言の和歌が書かれた卒塔婆が刺さっていた。和歌が汚されたと激昂した定家は、下手人を探すべく探索に乗り出すが……。/【目次】一「よにあふさかの せきはゆるさじ」なぜ屍には、清少納言の和歌が書かれた卒塔婆が刺さっていたのか?/二「わがみよにふる ながめせしまに」空から降ってきたとしか思えない、小野小町の和歌が留められた屍はどこから来たのか?/三「わがころもでに ゆきはふりつつ」定家の父・俊成の邸の庭に、大量の人の手がばらまかれた理由とは?/四「わがたつそまに すみぞめのそで」高僧でもある歌人・慈円の秘密の隠れ家を突き止め、荒らしたのは誰か?/五「やまのおくにも しかぞなくなる」定家と俊成の周りで起きた怪事件。その裏に隠された秘密とは?/あとがき/参考文献・史料
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Posted by ブクログ
なかなか良かった。
ミステリの仕掛け満載の短編集であり、その果てに明かされるものはある人の怨讐
いいミステリでした。
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今年147冊目
Posted by ブクログ
最近お気に入りの作家さん。
嬉しい続編だった。
平家一門の生き残り・平保盛と、父・俊成と共に勅撰和歌集の編纂をしている歌人の藤原定家、二人がバディとして都で起こる様々な事件を解決していく。
今回もまた、この時代なら穢れが~、鬼が~と恐れ慄きそうな残酷な事件が立て続けに起こる。
卒塔婆が突き刺さった状態で発見された遺体に、庭にばらまかれた夥しい遺体の手、空を飛ぶ遺体に、木の上に晒された上に手の指を全て切り取られた遺体…。そしてそれらの事件を画策したらしい『詠み人知らず』とは。
保盛は亡き父・頼盛に教わった検死の技で事件を紐解くヒントを差し出し、定家が事件の状況と共に読み解いて、事件の真相を明らかにするという構図が新鮮で面白い。
この時代、死に触れることはご法度。そのため検死と言っても直接触れることはせずに扇や懐紙を使ったり、事件現場に近づくために地に足を付けないために牛車で乗り入れたりという豆知識も知れて興味深い。
定家の和歌に対する思い入れの深さ、情熱は相変わらずで『弾指すべし~!』が前作同様何度も登場して笑ってしまう。
一方で、作中登場する有名な和歌の解説をしてくれるので、そういう様々な解釈があるのかと感心した。
和歌には全く詳しくない私でも楽しめた。
事件の構図は途中で幾度も変わって、中だるみなく読めた。最終的には途中で目星をつけていた人が黒幕ではあったが、どう決着を付けるのかと注目しながら読んだ。
定家らしい決着で良かった。
そして保盛も、最初は平家の生き残りが上手いこと世渡りをしていると思われるのが嫌で、目立たぬようにしていたのが、『生き永らえれば、大抵のことは挽回できる』というように腹が座ってきたのが頼もしい。