あらすじ
さまざまな人の善意で設立された、こどもホスピス「うみそら」。ここで過ごした家族の物語を描き、グリーフケアなどの課題にも踏み込む。こどもたちの思い、家族の葛藤、ボランティアの奮闘など、「うみそら」に集まった人びとの足跡を丹念に追った感動の記録。
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Posted by ブクログ
ホスピス、と聞くと終末期医療を思うけれど、この横浜こどもホスピス「うみそら」は違う。子どもの広場みたいな場所。そしてその広場にいるのは子どもだけではなく、大人も共にいる。
親にとって我が子が先に旅立つのはどんなに辛いことか。私の長男は寛解したが、悪性リンパ腫と診断されたときは「次の誕生日は迎えられるのだろうか」などと、どれだけ泣いたことか。
この「うみそら」を利用する家族は、もっと心苦しい経験をしてきたと思う。でも、この本に悲壮感はない。勿論泣きそうになる場面はあるけれども。
本の最後に佐々涼子さんとの対談が掲載されていた。その佐々涼子さんの言葉に、悲壮感を感じなかった理由が分かった。
佐々涼子さんは「死」をテーマにした本を何冊か書かれています。その彼女が2022年の年末に脳腫瘍に侵されていることを公表されました。対談の中でこう語っています。
「最後の最後まで、『生きている輝き』を感じて生きるのだろう。ただその瞬間だけがある。」
いつか近いうちにやってくる死ばかりを考えない。生きている今、を謳歌する子ども達。そんな子どもの姿は大人にも大切なことを教えてくれている。
また、立ち上がって行動を起こす人達から広がる大きな輪に、人間の素晴らしい一面を見ることができます。