あらすじ
世界一の人口、急成長する経済、世界最大の民主主義、グローバルサウスの盟主……国際舞台で存在感を増す「大国インド」。だが、足元では権威主義化が急速に進む。2014年にナレンドラ・モディが首相に就任して以降、権力維持・拡大のために、実態と離れた「大国幻想」を振りまき、一強体制を推進しているからだ。本書は、政治・経済・社会・外交に至るまで「モディ化」が進行するインドの実像と問題を冷徹な視点から描き出す。
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Posted by ブクログ
この本を読んで今のインドの実情がよく分かった。
日本との関係も深く何かと話題になるインドだが、インドのことをあまりよく知らなかったということに気づかされる。
著者は、モディ政権に批判的な立場で本書を執筆。行き過ぎたヒンデゥー至上主義、モディの個人崇拝の浸透に危機感を抱く。
まず、首相のモディ。日本のメディアではインド経済発展の功労者と記されることが多いが、実態は、政府に都合のよい情報をメディアに発信させ、傑出した指導者という架空のキャラクターのイメージを浸透させているという。そうなんだ。
日本において、インドについての一般的な認識と現実のあいだには大きなズレがある。
また、これもちょっと驚くが、モディはヒンドゥー至上主義の中心的組織である民族奉仕団(RSS)に属していたが、実はこのRSS、インド人民党(与党)の指示母体であるが、インド独立の父と呼ばれるガンジーを暗殺したゴードセーという人物が所属していた組織でもある。つまり、ガンジーを暗殺した組織の人間がインドの首相をしているということ。
モディが首相になったのは2014年。早や10年になるが、この10年でインドは大きく変わった。人口は14億人を超え、中国を抜き世界1位になった。が、2011年を最後に国勢調査が行われていないようで、正確な人口はわからないという。
いくら優秀な政治家であっても、長期間首相という権力の座に居座ると誰しもこうなってしまうのかと悲しくなってくる。
Posted by ブクログ
インドと言えば食文化や映画といったカルチャーにばかり目が行きがちだが、政治はどうなのだろうか。本書はインド=民主主義国家という漠然としたイメージが今現在、岐路に立っていることを明快に示してくれる。民主主義の後退とヒンドゥー至上主義化がここ10年来のモディ政権化によって大きく進行しているということは押さえておくべき視点だろう。
Posted by ブクログ
ドキュメンタリーなどでモディと彼が率いるインド人民党(BJP)による民主主義の破壊は、知識として持っていたが、その問題の深刻さと根深さに震撼した。24年の総選挙では、確かBJPは予想外の総崩れを起こして、辛勝したものの民意が離れていることを露呈させたのではなかったか。中国の脅威とロシアの軍事侵攻などで、日本を含む国際社会は、インドにおける人権侵害や権威主義化に目をつぶらざるを得ないという状況は理解できるが、やはり日本が与しようとしている国がどういう状況にあるのかということは、正しく認識しておく必要があると思う。
Posted by ブクログ
世論操作がやりやすくなってるのかな。たぶんほんとにこういう感じなんだろう。日本についてこういうの書いたらどんな感じになるだろう。人に集中するのってネットと相性よさそう。
Posted by ブクログ
コロナを挟んで2020年初めから2023年末までの駐在期間に感じたモディ首相、モディ政権のイメージ先行戦略と怖さの根拠を言語化してくれ、データで見せてもらえて、いちいち納得、同意。会議派の盛り返しとBJPの低迷が話題になったとはいえ、モディ政権3期目に入ったインドの変化、モディ後についても同著者のご見解をぜひ伺ってみたい。インドの国名変更はあるのか?!
Posted by ブクログ
南アジアの政治経済専門家による、近現代のインド分析。
グローバルサウスの盟主として評価されがちだが、実際には中国やロシアのような権威主義で、民主主義とは程遠い。
またモディも、独裁者である。
インド株に投資する前に、一度読んでおいた方がいい。
Posted by ブクログ
確かにインドについてのイメージは現実から乖離している。というより遺跡とカースト制に非暴力のガンジーくらい。「世界最大の民主主義国」なんて意識したこともない。国際社会が「普遍的価値よりも利害関係重視」は当然だろし…日本のメディアのだらしなさに落とし込むのではなく、もう少し歴史から掘り下げてほしい。それにしても、いずこの国も大衆を惹きつけるのは「単純明快な善悪二元論」この国も同じ道辿るのか、心配。
Posted by ブクログ
世界一の人口、急成長する経済、世界最大の民主主義、グローバルサウスの盟主・・・国際舞台で存在感を増す「大国インド」。だが、足元では権威主義化が急速に進む。2014年にナレンドラ・モディが首相に就任して以降、権力維持・拡大のために、実態と離れた「大国幻想」を振りまき、一強体制を推進しているからだ。本書は、政治・経済・社会・外交に至るまで「モディ化」が進行するインドの実像と問題を冷徹な視点から描き出す。
書評かXか忘れたが絶賛されていて気になった一冊。インドにそこまで興味がなく知識もなかったので、中国に次ぐ経済成長が大きい国、ヒンズー教の国というイメージしか持っていなかったが、読んで実情に恐怖を覚えた。いやこれ大丈夫なのか、本当に・・・モディの任期があと何年か分からないけれど、このままいったら独裁国家まっしぐらじゃん。民主主義は形骸化して欧米へのアピールにしかなっていないし、記者も締め出すって相当だよなと思う。ロシアの天然ガスといい、経済的立場が大きくなるほど他国が譲歩してしまうこのジレンマはどうしたらいいんだろうか。複数の国家で包囲網を作り対峙していくしかないのか。内政干渉という限界がある中でどうインドと向き合うべきなのか考えさせられた。