【感想・ネタバレ】ぜんぶ夏のことのレビュー

あらすじ

ママと二人暮らしの十一歳の美月は、夏休み、遠い親戚のおばさんの海の家で過ごすことになった。土地の子とはなかなか仲良くなれなかった美月は、ある日、泳ぎが得意で陽気な女の子、沙耶ちゃんと出会った。沙耶ちゃんと一緒にいると、何を話しても愉快で、一緒にいてこんなにもおもしろいと思える子は、初めてだった。沙耶ちゃんの家は、工務店で、おじいちゃんとおばあちゃんと住んでいた。美月は、スイミングスクールでバタフライの選手として活躍する沙耶ちゃんに、海で泳ぎを教わったり、海の町の情報を教えてもらったり、二人はすぐに仲良くなった。ところが、ある日、美月のママが、突然海の家にやってきて……。ママとのけんか、少年との恋のゆくえ、海のおばさんとの信頼関係、沙耶ちゃんのおかあさんのこと……。悩んで、泣いて、笑って、走って――少女たちのひと夏の成長を描いた、さわやかな物語。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

久しぶりに一気に読んだ児童書。薫さんの世界に引き込まれた。ユーモアにニヤリとしたり、人間の複雑さに考えさせられたり、美月や沙耶の心の底をのぞき涙が溢れたり、あらゆる感情が動かさられた。そしてタイトルどおり『ぜんぶ夏のこと』
P142美月の抱いた誤解を、海のおじさんがひもとく場面、その背景には海のおじさんとおばさんのあいだにある深くて埋められないでいる亀裂があることを感じさせる。第三者の存在がいかに大切なことかと考える。
行き場のなくなった美月のことを「理由はどうあれ、世話になっている目上の人には礼をつくさなければいかん。うちに泊めるわけにはいかない。帰れんなさい」と厳しく言ったのは、『うちに泊まったら溝ができる、あそこには、帰りたくても帰れなくなる』から。大人としての深い見解が、子どもに伝わる。
「こわい大人は、信用できるね。こわく見えるのは、きっと、正直でぶきっちょだから。まっすぐ、強く生きてるからかな。」

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2013年06月24日

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