あらすじ
「セキュリティ対策で訊かれる子供の頃の親友の名前が思い出せない」(「ひみつのしつもん」)、「部屋のなかに見知らぬネジが落ちている」(「ネジ」)、「自尊心を保つため家のなかで自分よりダメなやつを探す」(「哀しみのブレーメン」)、「花火で打ち上げられる夏の思い出」(「花火大会」)etc. 日常の裂け目から広がる奇想天外、抱腹絶倒のキシモトワールド! 『ちくま』名物連載、文庫化第3弾!! イラストはクラフト・エヴィング商會。
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Posted by ブクログ
文庫化に伴い11編もエッセイが追加されたというので再読することに。
単行本は3年以上前に読んでいるが、細部まで覚えていない。
前回は急いで読んだので、今回は結局全編じっくりと読んでしまった。
何度読んでも面白さは変わらない。
エッセイごとにクラフト・エヴィング商會のイラストがあるのだが、これも全く覚えていなかった。
このイラストが実にいい味を出していて、眺めるのが楽しみになります。
「じゃむぱんの日」からさほど日数を空けず、岸本ワールドを満喫できてラッキー(^O^)
レビューは、単行本でしているので省略です m(_ _)m
追加分のエッセイはまとまっていなくて、バラバラに挟み込まれていました。
以下に追加分を示すので、"ネタバレ"設定にしました。
知りたくない人は注意!
恋
雨と洗濯
初心
赤いリボン
組織
天井の祖母
デパート
サークルK
「可愛い」のこと
ひぎる
センター
本年もよろしくお願い致します。
Posted by ブクログ
おもしろいエッセイ集だけれど、ショートショートのようなものもいくつかあって、それがけっこう幻想的でホラーな雰囲気があると思う。まるで悪夢を見てハッと目が覚めたときのような感覚になるのだ。作者の空想力が豊かなので、現実との境界線が曖昧になっていくのも興味深い。
りんごのみつが甘くないこととか、ヌテラの主原料とか、これまで知らなかったある意味どうでもいいとも言える知識が増えていくのがなんだか面白くて、友人とだらだら喋っているときのようなくつろいだ気分で読めるエッセイだった。
Posted by ブクログ
著者の名前は存じ上げていたが、今回はじめて文章を読んだ。
きっかけはSNSで有名な人が好きだと言っていたから。
最初はよくある(?)自分の生活や老いを面白おかしく書くタイプのエッセイだ、と思ったら「羊羹」あたりからおや?となった。
短いテーマの文章を読み終えるたび、いろんな種類の不思議な気持ちになった。
エッセイというより創作の短編集を読んでいる気持ちになった。
小さい頃、今よりもっと世界が狭くて面白いものも少なかったとき、身の回りにあるものともっと距離が近くて、いろいろ考えていたことを思い出した。
著者はずっとずーっとその感覚を持って大人の頭で考えて唯一無二の感覚を磨いてきたんだな、と思った。
以下印象に残った話。
「エクストリーム物件」
「鼎」「凹」の文字の魅力的な間取り。「Q」「乙」の曲線に寄りかかって、ゆったり足を伸ばしてみたい。
→なんかわかる!!小学生くらいのときは文字そのものと距離が近くて、文字に対して好印象と悪印象あったよな〜と思い出した。
「羊羹」
夜が怖い。宇宙がダイレクトに感じられる。宇宙は何もないのではなく、まだ解明されていない物質で満たされている。それは羊羹のようなものかもしれず、夜はその羊羹が口や鼻や目からなだれこんでくる。
→夜からここまで感情と想像を広げられるものなのか。
「分岐点」
お店に忘れ物をとりに行った友達が帰ってこなかったので、おかしいなと思って帰ったら、友達の方は店から出たら著者がいなかったから帰ったという。そのときから世界線が分岐してしまったんじゃないか?
→決定的ではなくても、説明がつかないささないな不思議なことから世界の分岐は始まってるかもしれない…小さい頃はよくゲームの中のように自分の行動で世界線が変わると信じていたことを思い出した。そしてこれはある程度本当…
「夏」
夏にやりたいことを列挙。子供時代にしかできないようなこともあれば、これからできそうなこともある。
→エモくて印象に残った。
「ぬの力」
ヌテラという食べ物があり、口に入れた時の粘り気で上顎と舌がくっつく感じが見事に表現されている名前がすごい。これは「ぬ」の力ではないか。
→わたしは小学生の頃「ぬ」はなんか嫌いということにしていたけど、「ぬ」のなんともいえぬ力を感じ取っていたのかもしれない。