【感想・ネタバレ】何もしてないのに壊れたのレビュー

時羽兼成

三十路前、芸人としての道は晩成しそうにない。売れないピン芸人、一文（かずふみ）は、養成所で出会った年下の同期、大倉（おおくら）の才能に魅せられるもコンビを組むことは叶わず、自堕落にウケないネタで舞台に立つ日々を過ごしていた。そんなある日思いついたのは、大倉に選ばれた癖に足を引っ張ってばかりいる相方、あたるを辞めさせ、自分が大倉の相棒になるという作戦。打たれ弱くネタをとちってばかりのあたるを詰るも何故か懐かれてしまい…。

誰よりも笑いを取る、賞レースを勝ち抜く、舞台に立ち続ける。笑いか才能か隣に立つ相方か。“何か”に執着した芸人たちの狭間で少しずつ壊れて行く幸福のカタチ。鬼才、時羽兼成が描く、歪な三角関係の行先は――。

[えだまめ · ★★★★★]

ううー！！

漫才師という華やかでありつつも厳しい世界を舞台に、はじまる前に終わってしまった三人の恋愛という印象を受けました。
何とも言えない切なさが美しかったです。
綺麗な終わり方でしたし蛇足になるかもしれませんが、欲を言えば数年後、再会した三人のその後とか見てみたいと強く思いました。

＃切ない ＃感動する ＃エモい

[イオ · ★★★★★]

何か始まる前に壊れてしまった喪失感。現実にはこんな話がたくさんあるんだろうなと思う。読み切りなのに、ここまで重みが感じられるとはびっくり。