【感想・ネタバレ】予測できた危機をなぜ防げなかったのか?―組織・リーダーが克服すべき3つの障壁のレビュー

あらすじ

問題を放置し続ければいずれ大惨事がやってくる

予見可能な危機とは、その潜在性を認識するのに必要なデータがあるのに、心理的要因、組織的障壁、政治的影響により、効果的な防止策がとられないときに起こるものをいう。
「環境問題」「航空会社のマイレージ」「先進国の年金と医療」「テロ対策」……などの問題は、認識がされていながら、解決していない。「9・11同時多発テロ」「エンロンの破綻」などのように、いずれ大惨事がやってくることが事前に警告・予測されていたにもかかわらず、重大な問題を放置し続けることによって危機が起こったのである。
その責任はリーダーにある。多くの組織では、明らかに措置を講ずべき予見可能な危機が、はっきり目に見える形で、今も迫りつつある。
本書では、多くのカタストロフィーが明らかに予見可能であったことを解明しつつ、危機を「認識」し「優先順位をつける」などの予見可能な危機が暴発するのを予防するための道具を提案する。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 予想してもいない出来事が起こるとよく「想定外」、「サプライズ」という言葉が踊る。しかしよく検証すると、予想外の出来事ではなく未然に防ぐことが加納ではなかったのはないかと言うことを明らかにしているのが今回の本。

 危機を防ぐ障壁のひとつの要因のひとつには「利権に群がるシロアリ」の存在が挙げられる。去年の福島原発で図らずも浮き彫りになった「原子力ムラ」。アメリカの大統領選挙を見ているとさまざまな団体が見返りを求めて献金をしている。「シロアリ」が群がっているワシントンDCか国連本部のあるニューヨークで「世界シロアリ会議」を開催したら、世界中からいろいろな団体の甘い汁を吸っているシロアリ様の御一行がやってくるのだろうとふと思った。

 情報が多すぎて情報を仕分けて必要な情報を選ぶことが重要なのだなと思った。あのニューヨークのワールドトレードセンターを2機の飛行機で追突させた9.11で、情報をうまく活用できていれば未然に防げた可能性がある。また、あのエネルギー業界の大手エンロンが引き起こした会計操作にしても、監査役の会計法人アーサー・アンダーセンをはじめとする会計事務所が本来チェックするための存在であった。ところがコンサルティング業務が収益の柱になっているために監査役をしている会社に対して耳の痛いことを言いづらい状況になったことから、公平な会計法人のあり方に疑問符がついてもおかしくなかった。にもかかわらず、政治的な影響力でアメリカ議会で会計法人に有利になるような法案が成立した。

 目の前にあっても見えないこともあれば、あえて見えないフリをしてやり過ごすこともある。人間の心理状況をどうすれば危機対応を適切に行なうことができるのか難しいところだ。ぶれない姿勢を身につけるにはどうすればよいのかと思う今日この頃だ。

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2012年03月31日

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