あらすじ
観客の前で、出演者が殺された。
ミステリー劇が本物の殺人事件に――
犯人は舞台と客席、どちらかにいる?
元“空手チョップ探偵”が謎に迫る!
空手チョップが得意技の探偵役で15年前に一世を風靡した女優ミランダ。今は仕事もなく、遂にエージェントにクビを言い渡されてしまう。再起にはあのドラマの続編しかない─ミランダは脚本担当だった別居中の夫を説得するため、彼が暮らす町の劇団公演に参加することに。癖だらけの団員たちと殺人劇の稽古に励むが、出演者の一人が舞台上で小道具のシャンパンを飲んだ直後に死んでしまい……。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ミステリドラマの主役だった過去を持ち
未だプライドだけ高く、仕事はないミランダ。
別居中の夫の住む田舎町を訪ね
彼の関心を買うため
町民たちが参加する劇団の公演に参加する。
主演の女社長をはじめ
どうやら配役に微妙なパワーバランスが
働いているようなのだが。
いや、もう、不穏な空気流れるばっかで
途中ちょっと投げ出しかけた(^◇^;)
でも、284ページ目にして(やっと!)
事件が起きてからのミランダは
まさか自分が殺されるはずだった?
なんて考えが頭をよぎり
夫が容疑者として目をつけられたから
何がなんでも真犯人を見つけなくては、と
方向性が定まったので、一気読み。
結果、いい感じに大団円だった。
まぁ…投げ出さなくて良かったと
思うくらいにはね。
Posted by ブクログ
小さな街のドタバタ劇団、かつて一世風靡していた女優が再起をはかるも… #ミステリーしか読みません
■あらすじ
かつて一世風靡していた女優ミランダ、現在は仕事がなくエージェントにも見放されている。そんな彼女に別居中の夫から連絡がくる、彼は脚本家で以前ペアを組んでヒットドラマを生み出していたのだ。再度ペアを組むために彼の街に訪れるも説得できず、アマチュア劇団に参加することになってしまう。その後、その劇団で事件が発生してしまうのだが…
■きっと読みたくなるレビュー
ミステリーを題材にして、おもいっきり遊びましたね。ユーモアと人間味が強みの一冊です。
本作の読みどころは何と言っても、主人公のミランダ。まー序盤は、なんじゃこの女って感じのイヤな奴なんですよ。かつては有名女優だったか知らないがどんだけ自分中心でプライドが高いんだと。全く感情移入できなさそうで心配だったのですが、読み進めていくと案外憎めない奴であることが分かってくる。
自分に正直で一本筋が通った人間ってのは、案外可愛げがあるし、人たらしだったりしますよね。政治家で良い見るタイプで、その人の資質かもしれない。
また他の登場人物も素晴らしいんですよ。夫のエドガーもまさに芸術家タイプ、自分が決めた使命、運命にはとことん正直な奴ね。私には全く理解できないんだけど、やたら美人にモテるんだよなー(ひがみ)。
このスモールタウンに住む人々も、一癖も二癖もあって変な奴ばっかり。ミランダの出ていたドラマのファン、コージーミステリーマニアの書店員、元スパイ疑惑のある裏方、やたらスキャンダルを狙う新聞記者、金持ちで街を牛耳る不動産屋などなど。こんな人たちがみんなで演劇やるっつーんだから、そりゃ滅茶苦茶になるわ。
でもでも、それがこの小さな町のコミュニティになっているというのはよくわかります。地域に根付いているイベントやお祭りみたいなのって、住んでる人々を活性化させるんですよねー。まぁうまく機能すればの話ですけど…
そんな地域社会にミランダが入り込んでいくのですが、これが人と人との繋がりに化学変化が起きて笑えるんです。序盤はただのイヤな奴だったはずのミランダが、どんどん巻き込まれていく様子がコミカルでニヤニヤしちゃうの。
さて肝心の事件、そして謎解きです。これミステリーだったよね…と思うほど、後半にやってきます。なかなかの展開だったし、犯人と動機もヤラレタ感がありました。納得できるかは人それぞれですが、探偵役はビシっと決まっててカッコ良かった!
ラストはこれまで読んできた物語をしっかりと〆てくれて、文字どおりの大円団。気持ちのいい読後感にあふれて心が満たされましたね~
■ぜっさん推しポイント
性格が可愛い人って、どんな人でしょうか。
・ポジティブで弱音や愚痴を言わない
・何事にも素直で自然体
・いつも笑顔で天真爛漫
この物語に出てくる人は、みんな可愛いんですよ。もちろん憎たらしい一面もあるんですが、決して狡猾だったり、乱暴だったりするではなく、ただただ自然体なんです。
人生を楽しもう、自分が望むように生きよう、愛している人に尽くそうといった、人間が本能的に求めるものを、素直にイキイキと持ち合わせている人たち。ちょっと憧れちゃいますよね。元気になる薬をもらえたような物語でした。