【感想・ネタバレ】アンモナイト学入門:殻の形から読み解く進化と生態のレビュー

あらすじ

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アンモナイトといえば、まずあの「ぐるぐる巻いた殻」を思い浮かべるのではないでしょうか。アンモナイトは日本古生物学会のシンボルマークにもなっており、小学校理科の教科書では「白亜紀末に絶滅した頭足類」「地質時代を示す示準化石の一つ」と説明されます。化石を持っている人もいるかもしれません。それなのに私たちは、アンモナイトが実際にどのように生きていたのか――何を食べ、どんなふうに成長し、どのように泳ぎ、どういった進化を遂げたかなどをあまりよく知りません。なぜなら、本体である軟体部が化石になりにくく、また生活の痕跡が地層に残りづらいことなどにより、そもそも古生態の復元が難しいからです。

研究の進展により、その謎は徐々に明かされてきました。種ごとに食性や生息域が異なっていた可能性、雌雄で大きさが異なっていた可能性、より小さな卵をたくさん産んだ可能性……など、この10年ほどで次々と指摘されるようになってきました。本書では、「アンモナイト博士」として親しまれる著者が、アンモナイトのリアルな姿や生きざまを最新研究を交えてわかりやすく解説します。アンモナイトのことを知りたいなら、まずは手に取ってほしい一冊です。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

誰もが名前を知るアンモナイトには興味深い話題が無数にある。なぜ渦巻きなのか、なぜ多様な形態をしていたのか、生態は?その1つ一つを最新の学説と照らし合わせ分かりやすい言葉で解説。日本で見つかる異常巻の謎も気になる。生物の生態や古生物に興味がある方はぜひ。

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2024年03月24日

Posted by ブクログ

入門ということはなく、研究史から最新の成果まで幅広く紹介されていてマニアをも満足させるアンモナイト本。専門的な内容も分かりやすく解説。軟体部分や卵、顎器、歯舌、糞(と思われるもの)などの化石も報告されていたとは知らなかった。化石をもとに生態や復元を試みる試行錯誤はまさに科学の醍醐味。やはり同じ現生の頭足類が非常に参考になる。さっそく自分の愛蔵アンモナイトを新たな知識をもとに観察してみよう

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2024年03月18日

Posted by ブクログ

軟体部や腕など残らない部分により全然わからない部分もあれば、殻の物理構造や破損状況などから結構わかる部分もある!
3Dデータを扱う技術やロボットの発達で本来不明だったアンモナイトの動きや生活の一端が見えるようになってきたのはとても面白い
死後の殻の様子から、生態系内での様々な役割についても思いを馳せられる

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2025年06月23日

Posted by ブクログ

アンモナイトは示準化石であり、一般的な知名度も非常に高いが、思えばそれに焦点が当たることは多くないなと思う。恐竜などの巨大生物に比べ地味だからか。わかる、巨大生物はロマンだもんな…。でもアンモナイトも負けじとロマンを持っているのだ。
本書を読んでタフォノミーや、アンモナイトが巻かれていった理由等初めて知れたことが多い。一括りにアンモナイトと言って種の数は数十万もあるというから驚いたが、何億年も続く種の系譜なのだからそれも当然ではあるかと納得する。生き物の進化は多様な経緯で成り立つが、アンモナイトひとつに絞っても、本当に多くの過程の上で多くの種が成り、時には種が絶滅し、アンモナイトそのものが途絶えたのだなぁとしみじみと感じた。

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2024年08月15日

Posted by ブクログ

アンモナイトの進化の過程には、およそ5億4000万年前の古生代カンブリア紀に地球史上はじめて生き物の体に眼ができたことで、眼で獲物を見て襲う食う・食われるの関係がはじまったことにより、攻撃と防御の応酬で進化が加速したとされている。カンブリア爆発と呼ばれる現象とアンモナイトの進化が関係していることに驚いた。

波打った隔壁との交わり部分にできる模様は「縫合線」と呼ばれるが、この模様は進化の中で複雑化した。この傾向は古くから認識されていたが、1992年に、ペンシルベニア大学(アメリカ)のジョージ・ボヤジアンとウエスト・チェスター大学(アメリカ)のティム・ラッツにより定量化され、改めて明らかなパターンが示されている。古生代のゴニアタイト類の縫合線には、細かい刻みがなく、大きな大と谷のみである。中生代三畳紀のセラタイト類の縫合線は、波の数が増え、谷の部分には細かい刻みが見られる。中生代ジュラ紀以降の狭義のアンモナイト類の縫合線は、山にも谷にも細かい刻みがかなり増え、菊の葉を思わせるような模様を作り出している。

アンモナイトは進化が速いため、地層の時代を判断する示準化石として重宝され、特に縫合線は殻が剥がれている部分で容易に観察することができるので、地層の研究においても非常に役立つ。

タフォノミー:死んでから化石になるまでの過程を推測する、化石生物の死後を考える学問

保存状態の悪い大型のアンモナイトは、半分は潰れたり殻がなくなったりしているので、オールドファッションがイメージに近い。

#読書 #読書が好きな人とつながりたい #アンモナイト学入門 #相場大佑 #誠文堂新光社

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2024年06月10日

Posted by ブクログ

博物館に行くと見る機会のあるアンモナイト。




アンモナイトについて知っていることはほとんどない。




貝かと思ったら、イカやタコと同じ頭足類の仲間だった。




「アンモナイト」の名前をたどると、意外な所にたどり着く。





それは、古代エジプト神話の太陽神であり、大気の守護神、豊穣神であるアメン(ギリシア語ではアモン)だった。





アンモナイトとオウムガイは、似た構造をもつ外殻性頭足類だが、繁殖戦略に違いがあったと著者は指摘している。





アンモナイトは、小卵多産型。その一方でオウムガイは、大卵少産型。




オウムガイの赤ちゃんは自発的に泳ぐことができる。




その上、母親由来の卵黄を食べ尽くしたあとは、プランクトンに限らず海底に落ちるものエサは何でも食べる雑食だったので、オウムガイは今まで生き残ってきた。




この他にもいろいろ興味深いことが載っている。

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2024年04月21日

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