あらすじ
昭和2(1927)年、松下電器(当時)が初めてアイロンの開発を手がけたときのことである。松下幸之助は若い技術者を呼んで言った。「合理的な設計と量産によって、できるだけ安いアイロンをつくり、その恩恵にだれでもが浴せるようにしたい。(中略)きみひとつ、このアイロンの開発を、ぜひ担当してくれたまえ」。これに対し、アイロンなどの電熱関係に疎かった技術者は、「これは私一人ではとても無理です」と辞退したが、その後の幸之助の言葉は力強く誠意に満ちていた。「いや、できるよ。きみだったら必ずできる」。その「ひと言」で青年の心は動き、それからわずか3カ月後、幸之助の願ったとおりの低価格で、便利なナショナルスーパーアイロンができあがった。一代で世界的企業を築き上げ、“経営の神様”と呼ばれた松下幸之助だが、成功の陰にはこのような数々の感動的なエピソードがあった。本書には、「役に立たない人はおらん!」「こけたら立たなあかんねん」「伸びる余地はなんぼでもあるよ」「これからは心を入れ替えて出直します」など、部下の心をつかみ、取引先が感激した、幸之助の「ひと言」が満載。人生と仕事に効く139篇のエピソードを紹介している。働く人みんなに贈りたい珠玉の逸話集。『エピソードで読む松下幸之助』を改題の上、加筆、修正して再編集している。
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Posted by ブクログ
『人間を知る、経営を知る』は、松下幸之助氏が経営者として実践してきた人間理解の大切さ、そしてそれを基盤とした経営理念を探るエピソード集です。松下氏が企業を成長させ、数多くの困難を乗り越えながらも「人を知ることこそ経営の要」として取り組んできた背景が、感動的なエピソードを通じて深く描かれています。この本を読んで、私も改めて「人を知り、信頼を築くこと」が企業成長の礎であると強く実感しました。
1. 「人を信じる」経営姿勢
松下幸之助氏が常に掲げていたのは、「人を信じる」という考え方です。これは単なる人材管理にとどまらず、相手を一人の「人間」として尊重する姿勢から生まれるものです。松下氏は、信頼を基にした人間関係が、会社の成長や繁栄の土台となると信じ、社員一人ひとりに責任感とやりがいを持たせる経営を実践していました。
この考え方は、私がビジネスを通じて感じている「信頼の力」と深く共通しています。例えば、私は新しいプロジェクトに取り組む際、パートナーやスタッフの能力を信頼し、それぞれの強みを活かして業務を委ねています。その結果、各メンバーが自分の責任と役割を感じ、チーム全体としての成果が高まっていると感じています。松下氏の「人を信じる姿勢」は、私にとっても経営の大きな指針となりました。
2. 現場を重視する姿勢
松下氏は「現場に答えがある」という信念を持ち、実際の製造や営業の現場に足を運ぶことを非常に重視していました。現場にいるからこそ見えてくる課題や、直接的に社員の声を聞くことが経営判断に役立つと考えていたのです。この姿勢から、社員一人ひとりが持つ知識やスキルを尊重し、彼らのアイデアや意見を活かす経営を実践されていたことが、この本からよく伝わってきます。
私も、プロジェクトを進める際には現場に足を運び、実際の状況を確認するように心がけています。データや報告書だけでは見えない細かな点が現場にあり、そこから生まれる改善策が最終的には成功に結びついていることを実感しています。松下氏の「現場重視の姿勢」は、企業の成長には欠かせない視点であり、今後も取り入れていきたいと感じました。
3. 「感謝の気持ち」を忘れない経営
松下氏のエピソードには、「感謝の心」が頻繁に登場します。松下氏は、ビジネスにおいて常に感謝の気持ちを持ち続けることが大切であるとし、その思いを社員に伝え続けていました。この考え方が、社員同士や取引先との関係を円滑にし、信頼関係を築く基礎となっていたことがよくわかります。
私も、これまでのビジネスの中で、多くの人々からの支えや協力を得てきたことに心から感謝しています。特に困難なプロジェクトが成功した際には、協力してくれた全てのメンバーや取引先に感謝の意を伝えることで、より良い関係を築くことができました。松下氏の「感謝を忘れない経営」から、改めて周囲への感謝の気持ちを忘れず、日々の仕事に取り組んでいくことが大切だと感じました。
4. 困難を乗り越えるための柔軟な対応
松下氏の経営には、数多くの困難が伴いましたが、そのたびに彼は柔軟な対応と前向きな考え方で乗り越えてきました。時には大胆な決断もあったようですが、社員の意見や状況に耳を傾け、経営判断に反映させる柔軟性があったことが分かります。このエピソードからは、困難に直面した際に柔軟な姿勢で問題解決に取り組むことが、経営者にとって必要不可欠なスキルであることを教えられました。
私も、新しいプロジェクトに取り組む際には、予測できない困難に直面することがしばしばあります。しかし、松下氏のエピソードを読んでからは、柔軟性を持って対応する姿勢が重要だと実感しました。ビジネスには常に変化が伴いますが、その変化に柔軟に対応することで、むしろ新たなチャンスが生まれることも多いのです。松下氏の柔軟な対応力を学び、今後も自分のキャリアに活かしていきたいと思います。
5. 謙虚さと人間性を大切にする姿勢
松下氏は、企業のトップに立つ立場でありながら、常に謙虚であろうとする姿勢を貫きました。自己を顧みて不足を見つけ出し、それを成長の糧にする考え方は、まさに松下氏の成功の要因の一つであったと思います。彼の謙虚さと人間性は、社員や関係者からの信頼を集め、企業文化として根付いたのではないかと感じました。
ビジネスの中でも、謙虚な姿勢は多くの信頼を生みます。私も常に自分の行動や判断を振り返り、改善点を見つけ出すことを心がけています。松下氏のように、自分を過信することなく、謙虚に周囲の意見を受け入れる姿勢が、長期的な成長に繋がると感じました。この本は、経営者として人間性を重視し、謙虚な姿勢を大切にすることの重要性を改めて教えてくれました。
まとめ:人間理解から始まる経営の本質
『人間を知る、経営を知る』は、松下幸之助氏の経営哲学が凝縮された一冊であり、人間理解がいかに経営にとって重要かを教えてくれます。社員や取引先との関係を築く上で大切な「信頼」や「感謝」、そして謙虚で柔軟な姿勢が、企業の成長を支える柱であることを改めて感じました。
私もこの本を通じて、自らの経営に対する考え方を見直し、信頼や感謝を基盤とした経営の実践を心がけたいと思います。松下氏のエピソードから学んだ「人間を知る」ことの大切さを、自分のビジネスや人間関係に活かし、より良いチーム作りと経営に取り組んでいきます。
Posted by ブクログ
松下幸之助さんの言行録です。似たような本は多く出版されていますが、現代の経営者でここまで多く人の手本となっている人もまたいないのではないでしょうか。
通して読み、この本で伝えたかったことは何だろう…ということを考えた場合、それは「仕事への向き合い方」「人への向き合い方」だと思います。
自分の仕事ではないと言って手を抜くことを叱ったり、褒めるときにはきちんと本質を見抜いて褒めたり、周りの協力を引き出す頼み方を伝授したり…。そういったエピソードは、色々なものへの「向き合い方」を見つめ直す一助となりました。
一から十まで真似をしようとは思ってもできませんが、時々読み返してみて、自分自身が道に外れていないかを確認する、そういった使い方をしてみたいと思った本でした。