【感想・ネタバレ】自我が人生を導く―神戸天然物化学の起業と発展—のレビュー

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Posted by ブクログ

タイトルに騙されました。タイトルで釣るのは、幻冬舎の得意技と知っていながら、日経新聞の広告で見て、気になって買ってしまいました。タイトルに釣られて、「著者の自我と現実の葛藤」に興味を持ちましたが、そんな編集にはなっていません。

労働を強要し勉強を妨害する父と宗教を妄信する母に悩んでいた小学5年生のとき、著者が「神とは科学なのではないか」とひらめき、その探求心と両親への反発から人生が変わったというエピソード以外に、自我が人生を導いたストーリーが見えません。脱サラ起業したときも「サラリーマンに嫌気がさした」の一言で終わりですし、上場を目指したときの心境もよくわかりません。

本書は、神戸天然物化学創業者の「私の履歴書」で、それ以上でも、それ以下でもありません。しかも、日経新聞の「私の履歴書」のように、上手に編集されてもいません。幻冬舎には編集者がいないのか?と思うほど、冗長で奔放な文章です。同じ内容の繰り返し、主語が誰なのかわかりづらい、時系列でありながら別の時期の話によく飛ぶといった箇所が散見されます。ここまで編集されていないところを見ると、神戸天然物化学がほとんど買い取って株主や取引先に配布するのが目的で、一般読者向けの商業出版ではないのでしょうか。

とはいえ、著者の波瀾万丈の人生は実にドラマチックで、ストーリーそのものは面白いので、日経新聞の「私の履歴書」のようにきちんと編集されていたら、もっと著者の人生に学べるものが多かったように思います。

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2024年04月19日

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