あらすじ
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◎福祉制度の全体像がチャートによって理解できる!
本書では、大人編と子ども編に分け、福祉制度の全体像をチャートで示して解説します。各章には登場人物を出し、場面ごとに区切って説明していくため、使える制度の概要がピンポイントに理解できます。
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Posted by ブクログ
著者が専門に対応してきた「児童福祉」「精神保健福祉」領域の制度に冠するマニュアル本。フィクションではあるものの、福祉の現場でよく出会う事例に沿って、それぞれの場面、当事者の必要に応じて活用できる仕組みや制度の解説をしてくれている。
とても分かりやすく説明してくれているが、とても分かりにくい……。それは、著者の説明が分かりにくいという意味ではなくて、とにかくそれぞれの事例に出てくる人たちのニーズも、それに対応するための福祉制度の仕組みも、極めて多様でかつ複雑。ひとまず全部を読んだが、その全体像を頭の中で思い浮かべるのは、至難の技だと思う。巻末に、福祉制度を活用するためのチャート図が載っているが、ここまでまとまっていることがすごいと思う。
著者は、福祉の現場で働く中、「精神保健福祉士・社会福祉士を取得することで体系的に学ぶことも試みた」が、「それでも事例に出会うごとに新しい制度についての知識が必要となり、書籍やスマホを片手に調べながら対応して」いた経験があるという(p0「はじめに」)。制度について書いてあっても、実際にどう使えばいいのか、そもそも知らない制度は検索できず、似たような名前の制度も多くて、どれが必要な情報なのかの判断にも苦労する。
そうした経験から、こういう本があったらいいなと思ってまとめたのがこの本だそうだ。だから、この本では、制度自体の詳細な内容や体系的な整理ではなく、大人編と子どもに分けられた、四つの事例を軸に、それぞれのケースの必要に応じて、使える仕組みや相談先が紹介される構成になっている。
「本書は辞書のように活用していただきたいために」(p11)と書いてある。一冊を読んで、知識として全部を理解した気になるためではなく、こうした福祉制度を必要とする人たちを相手にしたり、自分自身が必要とすることになったとき、使えることを大切にした本だと思う。
子ども編に限らず、全編とおして、子どもたちに関わる事例は、随所に出てくる。教育現場に関わる仕事をしている身として、無関係ではないと思うがために、必要となったとき、手元に置いておくのに、いい本だと思った。