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Posted by ブクログ
【言葉を使うヒト、の行く先…】
主人公がTV局での競馬の実況の仕事をしている世界と、もう一つの異次元的な世界とが、交ざり合っていく。
この題名が平仮名なのは、あえてその意味を固定せずに言葉で遊んでいる節があるー「詩を書く馬」「死を欠く馬」。
詩や言葉について、幾度も触れられている。
一頭でも多く馬の名前を電波に乗せるという使命感。
馬に付けられる名前。その言葉の重み。
語順。
ヒトが言葉を生み出す過程。生物としての進化、分岐。
人工知能を内在化する未来のヒト。
結果と意義。なんのための言葉?何のための進化?みたいなところを問うているような、でもはっきりとは示さない構成。ニーチェとかサルトルとかの思想を知っていると理解が深まるのかな。そういった部分が難しかった。
とにかく私にはまったく新しい切り口で、言葉を持つ人間界を少し相対化するような、逆に馬を少し神聖化するような、ユニークな視点で描かれた作品。
正直最終的に、漢字をずっと見てたら漢字じゃなくなる現象の、言葉バージョンみたいになってしまったような部分がある。