あらすじ
アプリで仕事を請け負い、ウーバーやアマゾンの配達員として働くギグワーカーたち。時間にとらわれず、働きたいときに働くのは、自由に見える。しかし労働法によって保護されない個人事業主には、労災保険が適用されないばかりか、最低賃金や長時間労働の規制も、失業時の補償もない。その勤務実態はときに苛酷で、危険も伴う。労働法は誰のための法なのか。欧米各国の動向も視野に、フリーランスの「労働者性」を問いなおし、多様な働き方を包摂するこれからの雇用社会を考える。
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Posted by ブクログ
ウーバーイーツ配達員に象徴される新しい働き方は、本当に新しいのだろうか?
雇用と自営の境界線にある労働者の生活をどう保障するか、それは労働法による最低基準の順守であり、そのために労働者性が拡大されなければならない。それは今始まった話ではなく、古くて新しい話なのだ、という経緯が本邦と欧州の動向を中心に丁寧に解説されている。
「自営で働くことは大変である。大変なことをそうでないように喧伝しているようで、筆者には、フリーランスの促進策を国が取ることは無責任にであるように感じられてならない。」という筆者の見解はまさにその通りに思う。そんな現代社会を心配する筆者の優しさが詰まった一冊。
Posted by ブクログ
ドイツを中心とするEUとの比較法学の話。新書にしては専門的すぎて,読み進めるのに骨が折れた。
フリーランスを保護するのに労働者概念を拡張するのは筋が違うかなぁ。勿論,労働者と同視できるフリーランスならそれは良いのだけれど,徒に労働者の外縁を拡張すると理論体系が破壊されるのではなかろうか。純粋なフリーランス=自営業は下請法(競争法)の分野ではなかろうか。
第三カテゴリーの副作用に対する指摘は興味深い。
ドイツの労働法制も揺れ動いているが,そのときそのときでは日本より目的がはっきりしているように思う。日本は何をしたいのかがイマイチ分からん。
しかし,ヨーロッパの条文は解釈基準も書き込まれているんだな。日本なら判例か解釈か通達で補充されるような内容が条文化されていて驚いた。