【感想・ネタバレ】最新版 北朝鮮入門―金正恩時代の政治・経済・社会・国際関係のレビュー

あらすじ

本書は2017年に刊行した『新版 北朝鮮入門』以来、7年ぶりの改訂版となった。北朝鮮の対外政策はこの間、米韓両国と対話を進めたり、交渉が頓挫すると一転して中露との連携を図ったりするなど目まぐるしく動いた。朝鮮労働党規約や憲法も改正され、政治体制のほか、軍事、経済、社会でも多くの変化が起きた。そのため多くの章で全面的な書き換えが必要となった。最新の動きを追加するだけでなく、歴史的な背景などを理解しやすくするため章の構成などを含めて一新した。
金正恩が強調する「自力更生」や「自給自足」は、国際社会と隔絶された世界に生きる「国際的孤児」というイメージにつながりがちである。
だが国連加盟国の8割以上は北朝鮮と国交を持っており、グローバルサウスには北朝鮮と良好な関係を維持している国が少なくない。そうした国々が抱く北朝鮮への認識は、日本のそれとは異なる。本書で取り上げたように、安保政策で連携する日米韓でも脅威認識に温度差があることを考えれば、その他の国々とのギャップは驚くに値しない。先進7カ国(G7)でも英国やドイツは北朝鮮と相互に大使館を設置して久しい。
北朝鮮の核・ミサイル開発が北東アジアの不安定要素となっていることは論をまたない。それはけっして放置できない問題であるものの、即効性のある対応策を見出すのが困難なことも認めざるをえない。だからこそ、国際社会を俯瞰する広い視野を持ち、単に脅威を煽るのではなく北朝鮮の実像を冷静に見つめて現実的な対応策を議論することが求められている。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

国交がない国である北朝鮮を詳細にかかれている。
金家の成り立ちから、社会情勢に至るまで網羅されており、一気に読み進めた。

0
2024年05月16日

Posted by ブクログ

1948年の北朝鮮建国時に金日成がリーダーの地位についてから、75年以上が経過する。その間に、北朝鮮のリーダーは、世襲で引き継がれ、金正日・金正恩と3代に渡って、金一家が就いている。社会主義国では、というか、世界でも類をみない、実質権力者の世襲政治体制である。その間に、北朝鮮は発展したかと言えば、全くそんなことはなく、一時は飢餓者が出たのではと言われるくらい、国の経済は低迷を続けていて、人々は貧しいままである。拉致問題やミサイル発射ということばかりではなく、日本との関係はほぼ最悪、というか、核を保有しているということで、国際的な経済制裁を受け、経済は発展しようもない。東欧の社会主義国は、ソ連の崩壊を機に、次々と崩壊していき、世界中に社会主義・共産主義を標榜する国は、中国を除いては、大国の中ではなくなった。
そういった状況の中で、なぜ、北朝鮮という国が75年以上も同じ体制のまま存続し続けているのだろう?という謎の答えを知りたくて手にとったのが本書。そういった疑問に、ずばりと答えてくれることはなかったけれども、北朝鮮という国の建国から現在に至るまでの姿を詳しく説明してくれていて、北朝鮮という国に対しての理解は深まった。しかし、謎は謎のまま残っている。

0
2025年05月08日

「社会・政治」ランキング