あらすじ
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森田療法を扱う宇佐晋一による講話集です。
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Posted by ブクログ
森田療法の真髄ここにあり。
昨今の森田療法の解説に飽き足らず、森田の洞察は失われつつあるのではないかと深い疑念にとらわれながら森田関連書物を渉猟していて本書に出会った。
著者は森田の第一の弟子と言われた宇佐玄雄の息子で、森田の孫弟子に当たる。
齢90を超えた森田療法家が、森田療法の真髄を、平明かつ明晰に語っている。
その迫力は他の追随を許さぬものがある。
2019年の日本森田療法学会で、著者は指摘したという。
昨今の森田療法では、治癒機転の中心である「あるがまま」が「考えである」とされてしまっている、しかし「あるがまま」は考えではない。
神経症性障害が治りにくいと思われているのは心や症状を考えで「あるがまま」にして森田療法を実行しようとしているからである。考えでない「あるがまま」が作用すれば、どなたも早速その場で治らないでいることのできない、すばらしい全治が現れるのに、これを見逃すことが非常に惜しまれるのである。その実際は極めて容易なことで、症状や自分、また心については一切言葉を使わずに、とりあえず目の前の仕事を他人に役立つように工夫してやり始める時、その瞬間、瞬間が申し分のない全治の姿なのである。
なんと見事な森田の洞察の要約であろうか。