あらすじ
世界的ダンサーの田中泯さん。俳優としても初出演で代表作になった山田洋次監督の映画『たそがれ清兵衛』から、アカデミー賞ノミネート作品ヴィム・ヴェンダース監督の映画『PERFECT DAYS』まで、名バイプレーヤーとして存在感を示しています。
10年以上にわたって綴られたエッセイ(山梨日日新聞)は、ときに歯に衣着せず痛快、初めて明かされる脱皮のきっかけとなった出会いや、常識への疑問、農作業にいそしむわけ、日々の喜怒哀楽。そして、世界各地で行われた場踊りで生まれたエピソードは、きっと読み手の身にも沁み入ることでしょう。
さまざまな人々──監督の山田洋次、ヴィム・ヴェンダース、犬童一心、世界の知性、ロジェ・カイヨワ、大江健三郎、心通わせた坂本龍一、樹木希林、中上健次、京都西陣の大店の主人、名杜氏、芸人、山梨で農業を営む人々、そして師匠土方巽──との出会い。
さまざまな土地の記憶とともに──パリで、ニューヨークで、プラハで、冷戦下のソ連で、福島浪江町で、奄美大島で──オドる。
世界も将来も視界不良のなか、社会の空気に飲み込まれず、自分らしく生きたい人にとって、多くのヒントが得られるでしょう。
嬉しいときは嬉しがり、怒りや悲しみを生きるエネルギーに変える言葉が見つかります。
〈目次抜粋〉
第一章 カラダの言葉
世間体はどうする/怪少年/動作に現れる心を読む/監視カメラがとらえた不審な動き?/北斎に成る/年相応というのが分からない
第二章 脱皮
十代後半、八十円ハウスに居た/蒸発衝動/父は何故、死体を見せたのか/五十七歳の脱皮/口説かれてみるものだ/感覚が言葉に優っている人/人生に飽きたら稽古をしよう
第三章 名付けようのないオドリ
空気・空間を変えるオドリ/僕は地を這う前衛である/プラハ、檻の中で裸を晒す/サンタ・クルス、檀一雄と高倉健/モスクワ、抵抗する者達の記憶
第四章 因縁
常識破りという伝統を身につけた京都人/性格・業・運命、クソ!/熊楠との縁、憧れの宇宙線/骨が土に還る日まで/白州の風景に重なる面影
第五章 農の暮らし
ミニシミテ/野の生命と一緒にいること/悪夢は見るまえに見ておくべし/田中B吉、失踪の謎に迫る/大事にしている言葉
第六章 利己的な好奇心
何度でも立ち止まるぞ/明日は何して遊ぼうか?/単細胞だった命に遡れば/「何故」や「不思議」が無い世界
第七章 人間なのだ
「気」になる/人間の業を見つけた/「種のルール」は無いのか/二〇二一年、坂本龍一「TIME」/戦後は終わらないよ、若者よ/見せしめの刑
第八章 オドリの言葉
言葉が生まれる前のオドリ/僕のカラダで彼らがオドる/唯一無二の人として生まれる
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
映画「パーフェクトデイズ」を観てから
監督や俳優陣のインタビューをみていると
田中泯さんがとても気になり
「名付けようのない踊り」も視聴
ついでに、話題になっているがみる予定のなかった
「国宝」にも出演されていると知り映画館へ
ダンサーとして俳優として
圧倒的な存在感を見せる彼がどんな文章を書くのだろう
とてもすんなりとは読めないが
妙に心に残る言葉の数々
スマホで読み取りメモに残す
そしてその言葉がどうして引っかかるのか
何を思ったか、何を思い出したかを書き記し
自分との対話を試みる
Posted by ブクログ
古代からそこにある巨石の呟き、樹齢何百年わからないほど、露堂々とした巨木の囁き。そんなこと感じさせる詩的で、スピードのある文章。言葉以前のオドリを探究してカラダの内部を訪ねる一生か…
素敵な本でした。
Posted by ブクログ
著者を知ったのはドラマ「ハゲタカ」。
圧倒的な存在感。
ダンサーでドラマ初出演と知り驚く。
人間、自然、地球、社会、歴史。
カラダで感じ解釈しえんぴつを動かす、オドる。
山梨の自然観から産まれた言葉。
身に染みる。尊い。
ぜひ体感してみたい。
Posted by ブクログ
俳優さんとしてのお顔は良く拝見していたが、
名前は初めて知った。
世界的に有名なダンサーであり、哲学者であり、農業を営み、たくさんの顔を持つ人だった。
「場踊り」という言葉は初めて。
あらゆる場所で、即興で踊る姿をYouTubeで視た。
かつて、夢の島、東北の浪江町など、
世界の各地でもたくさんの場踊りを披露していた。
俳優はよく、役になりきるとき、「降りてくる」という言葉を使うが、まさに、何かに憑依したかのような感じがする。
天照大神が天岩戸から出るときに、踊りが必要だったように、言葉のない時代から、体を使って表現する事が人の心に響くもの。
山梨県の方言で「ミニシミテ」「尊い」が好きだとあるが、田中さんの踊りも身に染みて尊い、と思う。
Posted by ブクログ
俳優で舞踏家で農民でもある田中泯さんの新聞連載をまとめたものが、
一冊の本になりました。
洋画ばかり見まくってて、日本のエンタメ全く疎いんですが、田中泯さんは好きな俳優さんです。
文章って、その人の思考を辿るような楽しさがあるので、田中さんはどういう思考をされてるのかな。
と思いながら、順不同に読みました。
見た目から醸し出される個性と、思想の芯の通った部分は、ブレない感じと共に、
スタイルをきちんと持った大人の素敵な部分を噛み締めながら読みました。
自分を含めて、今時の人間のどこか思想やライフスタイル全般含めて、軟弱な部分との
コントラストが強烈です。