【感想・ネタバレ】ハクビシンの不思議 どこから来て、どこへ行くのかのレビュー

あらすじ

ハクビシンはどこから来たのか――はたして日本の在来種なのか、それとも外来種なのか? 永年にわたる謎をついに解明! さらに、生態や人間との関係をはじめ、さまざまな視点からその生きざまに迫る。都市化する野生動物たちとわれわれはどのように付き合えばよいのか?

【「序章 ハクビシンの不思議を探る」より】
ハクビシンは、日本をはじめ東アジアや東南アジアに広く生息するアジアに特有の哺乳類であるが、現在でもさまざまな謎を秘めた動物である。その名前の由来、外観の多様性、生活様式、地理的分布、日本での在来種説vs外来種説、農業被害など人間社会での問題点、今後の行方……。本書では七つの章に分けて、これらの謎をひもといていくことにする。種々の文献を参考にするとともに、私たちの研究室で取り組んできた遺伝子研究の成果を交えながら探っていきたい。


【主要目次】
序章 ハクビシンの不思議を探る

第1章 ハクビシンとはどんな動物か
1 縞模様のある顔と長い体――形態の特徴
2 どこに住んでいるのか――東南アジアから東アジアまで
3 どこでどんな暮らしをしているのか――生息環境、食性、生活様式
4 どんな仲間がいるのか――分類と進化

第2章 日本のハクビシン
1 古文書のなかのハクビシン
2 在来種なのか――日本在来種とのちがい
3 外来種なのか――飛び石状の分布と急激な増加
4 ハクビシンという名前の由来
5 社会経済のなかのハクビシン

第3章 台湾から日本へ
1 タイでハクビシンに出会う
2 渡来ルートを解明する――遺伝子からたどる
3 台湾のハクビシンとの出会い
4 台湾のハクビシンと日本のハクビシン
5 日本への二つの渡来ルート

第4章 日本で繁栄するハクビシン
1 日本で分布を拡大するハクビシン
2 本州と四国のハクビシン――DNAから見た地理的変異と多様性
3 北海道と九州のハクビシン――日本列島での北上と南下

第5章 ハクビシンと人間社会
1 ヒトのグローバル化がもたらす外来種
2 なぜ外来種が分布を拡大するのか
3 外来種が引き起こす人間社会と生態系への問題
4 ハクビシンとほかの外来種との関係
5 ハクビシンの都市動物化

終章 ハクビシンはどこへ行くのか

あとがき

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ハクビシンについて、生物名の由来やその変遷、歴史的な背景、そしてハクビシンの遺伝子解析を通して日本におけるハクビシンの分布について非常にまじめに書かれてます。
論文や文献の引用も多く、ややもすると読みにくい印象をうけるかも知れません。ですが、研究者をしている著者なので、現在わかっていないことはわからない、調査が必要、とはっきり書いてあることも多く、真摯に書かれていることが伝わってくる本でもあります。

以下に備忘録としてハクビシンについて新たに知ったことをまとめます。
・ハクビシンは「ジャコウネコ科」
・ハクビシンに「在来種説」と「外来種説」があり、遺伝子調査の結果、日本にいるハクビシンは台湾から来たと思われる外来種であること
・日本に固有のほ乳類に共通してみられる分布パターンは本州・四国・九州には生息するが、北海道には生息していない
・ハクビシンもタヌキと同じくため糞をする
・食性が似ているハクビシンとタヌキ。だが、木登りが得意なハクビシンとそうではないタヌキは住処の点ではニッチがかぶっていない
・気候的にはハクビシンに適している九州にはほとんどいないこと(原因は物理・地理的なものかニッチを取れないからか?)
などなど。
近年、身近で問題になっている動物ひとつとっても知らないことの方が多いな、と実感。こういったことを地道に研究して、その結果を報告してくれる本書のような存在はとても大切だと感じました。

0
2025年09月01日

Posted by ブクログ

厚くはなくどっちかと言うと可愛い感じの見た目の本でしたが、中身はきっちりハクビシンに詳しい研究者の先生が書いた、生態あり・歴史あり・最新研究ありの、1冊で分かるハクビシン! って感じのガチめの本でした。ハクビシンならもろもろ書いてこのサイズに収まるんだな。

0
2024年03月16日

Posted by ブクログ

ハクビシンの歴史と各国での在り方など。近所で見かけたので調べようと思って読んでみたが、ジャコウネコ科なのでめちゃくちゃ臭いので屋内飼育には適さないというのと、日本では九州以外広く分布して農作物にアライグマたちと同様に被害を与えてロードキルも多いというのと、現在の国内の生態の研究がほぼされてないとのこと。

0
2024年06月09日

「学術・語学」ランキング