【感想・ネタバレ】メディア不信 何が問われているのかのレビュー

あらすじ

「フェイクニュース」「ポスト真実」が一気に流行語となり,世界同時多発的にメディアやネットの情報の信憑性に注目が集まる時代.権威を失いつつあるメディアに求められるプロフェッショナリズムとは? 市民に求められるリテラシーとは? 独英米日の報道の国際比較研究を通して民主主義を蝕む「病弊」の実像と課題を追う.

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Posted by ブクログ

2017年出版の書籍なので、幾分情報が古いが、2025年の今起きている様々な問題ー例えばトランプの再選、行き過ぎたリベラリズムへの反動、ワンクリック主義とも言えるネットの視聴数稼ぎによる選挙への影響などーが既にここで問題視されている。アメリカ、ドイツ、英国民のメディア認識を通して見えてくる、日本人の特異性など、いろいろ考えさせられることの多い本だった。著者の鋭利な分析と明晰な解説は示唆に富み、現代のメディアに係る諸問題を理解するのに大いに役立つ。
 SCLエレクションズ社が所有しているCambridge Analytica 社は、集めた個人情報を元に人心と行動をコントロールし、トランプ当選に深く関与し、さらにBrexit にも貢献しているらしい。2025年現在ドイツでも、「ドイツのための選択肢」躍進に貢献し、ドイツの右傾化にも寄与しているらしい。恐ろしい時代になったものだ。

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2025年05月07日

Posted by ブクログ

メディアと大衆、メディアと国家の関係性が説明されている。国によってメディアのポジションや意義が異なる点が興味深かった。

◯ドイツ
欧州各国と比較しても、メディアの信頼度は高い。ナチスの反省から「リベラル・コンセンサス」が形成され、多くのメディアは保守的な発言を忌避する。しかし難民危機、欧州統合への懸念から、極右勢力の台頭も目立ち、リベラル派メディアの地位を脅かす存在にまでなっている。

◯イギリス
階級社会という特徴がメディアにもよく出ている。イギリスでは発行部数の多さ=信頼できるメディアという方程式にはならず、むしろ反比例しており、ジャーナリズムの質が高いThe Guardianなどは発行部数がかなり少ない。一方ゴシップ紙と呼ばれるDaily Mailなどは信頼性が低く、情報の精度よりも商業的な注目度を重視するため、いわるゆゴシップ的な煽りも多く、右派は労働者階級の受け皿となっている。このように新聞社によってイデオロギーがはっきりと分かれてるが、国内で最も信頼されているBBCは公平・中立性を保っている。ただ中立性に固執するあまり、時に正確な情報伝達ができていないと批判されることもあり、EU離脱の際も問題となった。

◯アメリカ

国内ではテレビの影響力は依然として健在しているが、ソーシャルメディアの普及により、メディアの構造が劇的に変わった。2016年の大統領選の際、トランプはTwitterを利用して扇動的な発信を行い、知名度を上げ続け大統領の座に上り詰めた。CNNを「フェイクニュース」と断罪する様子も印象的だったが、他者を攻撃する用途で信頼性について言及する場面も増える。SNSの情報の信頼性は非常に不透明で、何が「フェイク」なのか?、そもそも「フェイク」の定義とは?といった問題に国全体が直面することになった。発行時期的に本書には書かれていなかったが、2020年の大統領選では、SNSが主流メディアといってもいいほど活用がなされ、SNS企業がフェイクニュースを規制するほどにも事態は発展したことは記憶に新しい。新興メディアによって社会が左右されている。

◯日本
日本でもメディアに対する不信はあるものの、欧米諸国と比較すると、その構造が少しが異なる。日本の場合は、「無関心」による不信とされており、そもそもメディアを通した政治参画・市民参画といったケースが少ない。「マイ・メディア」を持つことなく、無関与な態度で現代情報化社会をやり過ごそうという風潮が存在する。

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2021年07月19日

Posted by ブクログ

日本・米国・英国・ドイツ各国それぞれが抱える、似たようで異なる「メディア不信」についての観察・分析がメイン。そこから帰結される課題と解決策は圧巻。ソーシャル・メディアの台頭による影響にも言及され、メディアへの信頼度が低下し続ける現代において必須の教養と言える。良書。

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2021年03月19日

Posted by ブクログ

メディアをめぐる各国の状況について目配りのきいた解説を展開。気付かなかった視点からの指摘も多く、非常に参考になる。
ただし、唯一の欠点と思われるのが、日本のメディア不信をメディアへの無関心ととらえている点。無関心であることの原因は社会参加への意欲がないからではなく、メディアの側の作為的な番組制作に利用されることを嫌っているからではないか?そこにはメディアの独善性があるのだが、その点には著者の指摘は一切ない。残念である。

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2017年11月26日

Posted by ブクログ

‪フェイクニュースや「マスゴミ」という言葉など揺らぐメディアへの信頼を考察した1冊。独英米3ヶ国の実情が知らないことばかりで面白いし、そこと日本の比較で浮かび上がる「不信というより無関心」には暗い気持ちに。かといってただ感情的にメディアを攻撃するのも違う。色々考えさせられるよなぁ…‬

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2018年01月22日

Posted by ブクログ

メディアの国際比較である。日本におけるメディアの無関心は言い当てている。教育とは関係ないので教員養成ではすぐには使えないが、応用はできると考えられる。

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2018年01月06日

Posted by ブクログ

各国のメディア不信の動向を掴むことができる。複数の調査データに基づいており、参考になる。

一部、個人的見解や説明不足な箇所もあるが、入門書としてはよい。

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2020年02月20日

Posted by ブクログ

序章 「メディア不信」―何が問題か
第1章 「うそつきプレス!」―ドイツの右翼グループの台頭
第2章 大衆紙の虚報とBBCの公平性―英国のEU離脱決定
第3章 大統領が叫ぶ「フェイク・ニュース!」―分裂する米国社会
第4章 静かな「メディア不信」―日本のメディア無関心
第5章 ソーシャル・メディアの台頭―揺らぐ先進諸国の民主主義
終章 ポピュリズムと商業主義に蝕まれる「言論空間」

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2019年12月22日

Posted by ブクログ

ドイツ、英国、米国、そして日本の4ヶ国を比較してメデイア不信について書いた本。

格差社会から生まれた症状であるメディア不信だが、
中でも日本の無関心による静かなメディア不信という指摘は新鮮だった。

欧米と日本とのメディア不信で大きく異なる点は、そこに市民が存在するかどうか

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2019年06月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

英国,ドイツ,米国,日本でのマスコミ(メディア)の違いとそれへの信頼の違いが分かった。

高給取りなのに不勉強な人たちだから良くなることはないのではないか。

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2017年12月18日

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