【感想・ネタバレ】現代アートを続けていたら、いつのまにかマタギの嫁になっていたのレビュー

あらすじ

著者はアーティストとして、全国各地や海外で現代アートの活動をしてきた。
しかし、3.11の震災後に自身の活動への違和感を無視できなくなってきた頃、友人のジャーナリストに「マタギと飲もう」と誘われ新潟県村上市山熊田、マタギの集落に赴く。

そこでは電気がなくても生きていけるような、たくましい暮らしがあった。
自分たちが弱い存在であり、手を抜いたら命を落とすような世界にいることを自覚しているがゆえの強さ。
田舎暮らしという言葉が発する牧歌的なにおいはそこには皆無だ。

カタカナ皆無でよくわからない言葉、山から切り出した薪で煮炊きし、伝統的な狩猟をし、スケールでかく酒を飲む。
水も薬も美味いご馳走も燃料も、工芸素材や心奪われる絶景までも、全て山にある。
体力たくましい爺や婆がいる。しかもハイセンス。皆オシャレだし心も豊か。
東京にいては想像もつかないような世界がひろがっていた。

山熊田に移住して、マタギ頭の家に嫁いだ著者が本書で訴えたいのは「消費社会にはない選択肢がここにはある」ということ。
山熊田では四季というサイクルのなかで同じことが繰り返されている。
それこそ人間本来の生き方ではないか、と著者は問う。
令和の傑作移住日記の誕生です。

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Posted by ブクログ

山奥の過疎化した村で、伝統文化を継ぐ覚悟をもって暮らす著者のお話。
タイトルの軽さでちょっと損をしているような印象。作中では嫁になる過程は早々に処理され、異文化のような村暮らしのリアルが、率直な感情と共に描かれている。とても興味深い。
そしてその環境に馴染むだけでなく、文化を残すため、持続的な仕組みづくりのために動く姿勢に感服する。

「経験と憶測だけでなく知識や勉強も大切で有益だ、という視点を持つだけで改新が起こる。」

これは自分の生活や仕事においても、心に留めておきたい。

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2024年10月14日

Posted by ブクログ

熊をとる話し
シナ布を織る話し
よくこんな雪深い じじババしかいないような山の村に ジュンコさんは来てくれましたねえ!
新潟の村上の山奥に まだこんな暮らしがあって
ビックリだし 嬉しいですね。
イノシシは 南からきたんですね。
昔からいる動物かと思っていました。
元気な若い人が 暮らすと生きる力を取り戻すような暮らしなのかもしれません。
日本もまだまだ画一的じゃない こんな暮らしがあったんですね。
もっと若い人たちにも体験してほしいですね。

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2024年03月30日

Posted by ブクログ

限界集落でのサバイバルのような生活を描いた極上のエッセイ!

命と向き合う生活が今も本当に残ってるの?と疑いたくなるほどの過酷な日常が、ナイスなワードチョイスと明るい表現でたくましくイチイチ楽しげに伝えられ。つか、こんなにヤバさ満点なのに、やたらたのしそうだ!ジョンコさんだけでなく村全体のエネルギーが凄まじい。自分だったら泣くな…

四季に分かれた四つの章は最後が春になっているのもグッときた。色々とうまくいってほしいなと心から思う

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2024年03月12日

Posted by ブクログ

 サバイバルのような生活、ほんとうにあるんだ‼︎
 怖くてわたしにはできないけど、とてもとても興味深い。 引き込まれる。 畏敬の念さえ感じる。 神々しい。 わたしの穏やかな日常に感謝しながらも、ジュンコさんたちのエネルギーにジェラシーを感じてしまう。 素晴らしい。 そして、羨ましい。
 でも、現実は、ただただ厳しいのだろうし、それを上回る喜びもあるのだろう。

『ここ山熊田に小中学校があった一九九二(平成四)年まで、集落から出るための道は除雪がされず、冬は陸の孤島になっていた。・・・そんな過酷さも、彼らにとっては日常だった。女子は中学卒業とともに集団就職か定時制高校への進学を教諭に斡旋される。・・・夫の姉も岐阜の縫製工場に就職した。・・・「冬の仕事と時代の流れ」より』
 いつの時代の話と想ってしまう。

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2024年07月11日

Posted by ブクログ

ものすごいパワーをもらえる一冊。
頑張って欲しいと思う反面、全てを背負い過ぎて潰れないか心配になる。

同じように自治体の補助事業に応募してスタートしようとしている親戚がいるが、内容を聞くと大丈夫か?と心配になった。
迎える側は本当に若い後継者を育てようとしているのか?と。
この本を読もうと思ったのも、それがきっかけだったが、ますますその気持ちが強まってしまった。

先日旅行した出雲にて。
切手のデザインにもなった黄色い虎の張子。
後継者がいなくなり、今は作られていないとのこと。残念。
日本各地に消えそうな、もしくは廃れてしまった伝統工芸がいろいろあるのだろう。

一時的な補助金目的ではなく、後継者育成に向けてお金は使われるべき。

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2024年05月06日

Posted by ブクログ

今を満ち足りて過ごすことができればなんとかなるし、その先に続くものもあるのかもしれない。

なんだろ、この現場合わせ感。
まあ良いかで、過ごせてしまう満ち足りた日々。
そんな生活に飛び込める素養がないと、現代アートで生きていくことなんかできないと思う。
そんな女子が飛び込んだのは、山奥のマタギの集落。50年前より住む人は減って、老人率が上がっていくばかりの山間の集落。

そこで生きる彼女が、季節、自然、行事と折り合いをつけながら暮らしていく記録。
その場その場ではしんどいこともあるだろうに、振り返って記録に残るのは「あの時はしんどかったけど、こんなに楽しい」という記憶。

毎年の行事、季節を過ごしながら、そんな暮らしを綴っているこのエッセイ。
自分ができる暮らしだとは思わないけど、できるとは思わないから、そんな日々の暮らしで感じることを、これからも読み続けたいなと思った。

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2024年03月20日

Posted by ブクログ

ドライブしてるとこんな山奥になぜ住んでいるのだろう…ってのはよく見る
マタギの嫁になると住むしかなくなるのだねぇ…
村での生活や不思議な慣習が書かれていてとても楽しく読めました

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2025年09月06日

Posted by ブクログ

うんまあ、タイトル通りの内容。新潟のほぼ限界集落、山熊田村へ嫁いだ著者。

その、昔からギリの世界で生きてきた爺さん婆さんばかりの生活へのリスペクトと表現は大変面白い。工芸家だが、こういう人たちは、面白い文章を書いてくれる。

それでこの村、羽越しの布という日本三代古代布の産地であり、工芸家としての著者はまずそこに惹かれ、今もそこでその伝統を継承しようとしている。

ので、本の内容はむっちゃ中途半端。
雑誌連載のまとめということもあるのだけど、時系列混乱するし、マタギの魅力も限界集落に力強く生きる爺婆の強さはまあ伝わるとしても、工芸を伝承することが目的なのか生きていくことが目的なのか、集落を維持することが目的なのか、まーったく本としてまとまってない。

外から嫁が欲しい集落。
集落に魅力を感じた女性。

嫁いだのは恋愛沙汰ではなく、ある意味正しい打算だと思うのだが、その先の家族としての生活、次の世代の育成という視点が、あえてかもしれないが、すっぽり抜け落ちている。

一つ一つのエピソードは極めて面白い。

だが、おそらく編集が悪い。
本としては、混乱のみを残した感じがする。どれかにテーマ絞ってまとめた方が良かったと思う。

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2025年08月11日

Posted by ブクログ

マタギの嫁は埼玉育ち
 最後の文章「再び鳴り始めた村の心音」は、しな布にかける情熱と、組合の腐敗がわかって力強い。この文章はおすすめ。

 たくましく生きて、文章のはしばしから自律した深山の生活が知れる。夏、冬を越すための薪を割り、木の根本の舞茸、繁みのヤマドリ、鮎の取れないことを知らぬ山の恵み。
 熊狩りに際して山へ潜ると、熊の上空でカラスが飛んで教へてくれる。などの情報がおもしろかった。カラスはマタギが取った熊肉を狙ってゐるのである。

 女人禁制文化もあり、それは決して男女差別ではなく、役割分担的な理由があるのだといふ。しかし、読み手からすれば著者がだんだん染まってきたのか、それとも本当に男女差別ではないのか、そのところは微妙だ。

 ただ文章は饒舌で、もっと改行を多く、読みやすくしてほしかった。だんだん飽いてくる。

 これを読んで思ふのは、伝統はどこまで遺すべきか。といふことで、一時代むかしはやはりない。変遷にはとても逆らへない。

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2025年03月30日

Posted by ブクログ

星は3にしたけど、かなり4に近い3ですね。

とても面白く読めた。

元々マタギに興味があり読んだ。
山の生活が面白おかしく書いてあるが、相当過酷な暮らしなんだろうな、、と感じた。

タイトルから、もっとマタギの嫁になる過程などが読めるのかと思っていたが違っていた。
そこが星4にならなかった根拠です

ジュンコさんのパワフルさが眩しい。

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2024年07月13日

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