【感想・ネタバレ】なまづまのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

選評にもあるとおり、よく言えば濃密な文章、わるく言えばしつこくねちっこい文章。
がしかし、このどろどろでぐちゃぐちゃな物語にこの文章はマッチしているのではないか。
ホラー好きを自称しておきながら読書経験の乏しい僕だが、この作品には強い衝撃を覚えた。
傑作であると思う。
短編賞受賞作の『穴らしきものに入る』も読み、こちらも傑作であると感じたが、もし大賞を受賞するとしたら、この『なまづま』だったのではないかと思う。
大賞が出なかったのはひじょうに残念だが、短編賞長編賞が例年にも増してよかったので、大満足。

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2011年11月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【第18回日本ホラー小説大賞長編賞】
 失われた最愛の人を取り戻すために、科学者が一線を越えてしまうお話。
 前半は妻を失った科学者の喪失感がせつせつと伝わってきて、泣けてきた。心にズシッと響いた。妻を喪失して以来、カラカラで乾ききった人生を送る科学者。なんの色もなく、モノクロの世界で、「ただ」生きている。死なないから生きている。なんと虚しい一日。
 後半、一線を越えてしまってからの科学者は、正直、哀れを催すほど愚かだったのが残念。それでも、妻への思いがあふれるように感じられて、前半の干からびてた科学者が生き生きとしているのが分かる。
 そして、越えてはいけない一線を既に越えてしまっているんだけど、もう一線越えちゃって、一般人からすれば狂気の世界へ行ってしまう。あー、そこ、そうなっちゃったら前半の喪失感ってナンダッタのよ~という突っ込みどころがなければ★×5でした。
 さらに、イイジマ研究員、結果だけ語られたけどちと不満。興味がイイジマさんに向いちゃってたせいで、気になってややモヤモヤしながら読みました。

 ラストは、なんつーか、ねちっこい感じが好き。

 堀井拓馬、今後は要チェックの作家さんだな。

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2012年10月16日

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 ヌメリヒトモドキなる荒唐無稽の生物が当たり前に存在する世界・・・だが、主題はその珍生物そのものではなく、不器用な男がヌメリヒトモドキを使って亡き妻を甦らせようとする愛憎物語。その筆致は、何かひきつけるものがあってなかなかに読ませる。しかし、貴志祐介が選評で述べているように、終盤、主人公から妻へのそして「妻」から主人公への「愛」が「憎」へと変わる心情のわかりづらいのが難点。それなら最初から妻を甦らせる必要などなかったのでは、とも思えてしまう。

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2012年03月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

亡き妻を忘れきれない男の話。何だか文章に特徴があって最初、凄く読み辛かった。次第に慣れたけどね・・・未練、執着、固執の果てに過去の現実や根本的な問題を見失ってしまい、ミイラ取りがミイラに…ってな展開。まだデビュー作のようなので今後に期待ですね。まぁまぁですかね。

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2012年12月06日

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ネタバレ

ヌメリヒトモドキや女王の設定が個人的にすごく好きで、こういうグロテスクな話にありがちな王道になってなくて、ひたすら主人公の内面を描いてるとこもいい。
が、少し単調。
分かりやすい山場かもしくは、人間からヌメリヒトモドキになるっていう素晴らしい設定があるんだからもっと主人公の内面えぐって読み手の心えぐるくらいの独特な何かがあったら、と思ってしまってとても惜しい。

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2012年01月23日

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ネタバレ

ヌメリヒトモドキという怪物を使って妻を甦らせようとする男の話

死んだ人にしてみると死ぬ前の意識を持ったままヌメリヒトモドキとして
生き返るという設定が面白かったです。
主人公視点で書かれるのですが同じ文章を二度繰り返したりと独特でちょっと読みにくかったです。
途中間延びした感じがありましたが最終的に嫁を甦らせるところで
話が終わらず二転三転あったため最後は楽しめました。

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2012年01月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

物語を通じ、ゆっくりではあるが確実に「妻」に近付いていく「ヌメリヒトモドキ」が描写されている。読者は当然、「妻」が「完全人間近似個体」として甦った果てに、何が起こるのか期待しながらページをめくることになる。

しかし、ラストに至り、読者はその読みが外れていたことを知らされる。これは「ヌメリヒトモドキ」を描いた作品ではなく、紛れもなく「人」を描いた作品なのだから。
主人公が求めていたのは「真の妻」ではなく、自分にとって「都合の良い妻」に過ぎなかった。この凄まじく罪深い主人公を、ラストでは凄まじい絶望が待ち構えている。
この結末、ホラー大賞(長編賞)を受賞しているだけあり、さすがに上手かった。

ただ、結末に至るまでがあまりに単調。ねちっこい文体字体は世界観に合っているから良いんだけど、それとこれとは別問題。ねちっこい文体でも、ぐいぐい読ませるリーダビリティが欲しかった。

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2011年11月28日

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