あらすじ
社会課題の謎を解く、ゲーム理論「超」入門!
なぜ独裁者は生まれるか?政治家は汚職するのか?謎だらけの社会課題に立ち向かう、
“数式を使わない”新しいゲーム理論入門!
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Posted by ブクログ
本書はその理論を主に政治家の振る舞いをモデルケースに簡便なモデルで解説したもの
独裁者と民主主義の代表は本質として自身の政権維持という目的は同じであるが、そのために前者は少数の有力者の支持が必要であるために合理的な判断として一部の特権階級者への賄賂を、後者は多数の一般人の支持が必要であるために、現金そのままでは一人当たりの利得が少なすぎるので公共事業をやるというのは興味深い
独裁者は一見して権力を持って自由に見えるが、ゲーム理論的に考えるとその分周囲には約束を反故にされるかもと信用してもらえず裏切りのリスクが高いため、逆に裏切られないように賄賂などで媚びを売ったり、議会を設置して自らの権限を弱めなければならないというのは皮肉な話
Posted by ブクログ
ゲーム理論の教科書的な本であり、学び直しにも最適。パレート最適やナッシュ均衡。パレート最適であるとは、他の誰かの利得を下げない限り、誰かの利得を高めることができない状態のこと。ナッシュ均衡とは、すべてのプレーヤーが最適反応を選択している状態のこと。本書の責任ではないが、いつもこれが直感的に分かりにくい。
囚人のジレンマにおいて、自分が自白する場合、相手も自白するなら△、相手が黙秘なら◎。騙し討ちで勝ち逃げだ。一方、自分が黙秘する場合は、相手が自白したら×、相手が黙秘なら◯。お互い黙っているなら、悪くない結果だが、ベストは騙し討ち。しくじっても×にはならない。この個人単位で利己的な判断をする状態、ルールの中で一番得じゃん?みたいな判断が予想される状態がナッシュ均衡。
対して、パレート最適は、最低ラインでの妥協的な均衡。双方が黙っている状態は、それ以上悪くならないから、パレート最適。ただし、囚人のジレンマでは、予めお互いに信頼関係があって握り合っていないとパレート最適なんて成立しない。だから、直感的に囚人のジレンマで両概念を説明しようとすると無理がある。ナッシュ均衡にしても、均衡みたいな言葉は、結果的にそうなり得るという話だから分かりにくい。単に、利己的判断の結果生じる膠着予想に過ぎない。
囚人のジレンマだけではなく、たとえば、企業のカルテル問題におけるリニエンシー制度(課徴金減免制度)は、まさに「囚人のジレンマを利用した制度設計」の典型だ。複数の企業が価格談合などを行っていた場合、最初に自己申告した企業には制裁を大きく軽減する。この制度は、まさに「他者を出し抜いて自白する」という動機付けを個別合理性として植え付ける。
結果、裏切り合いによってカルテルは崩壊しやすくなる。制度としてはナッシュ均衡を“望ましい方向に誘導”しようとしているのだが、それはあくまで個別の利己性に賭けている仕組みであって、信頼に基づく協調を促しているわけではない。この場合の協調は「談合の持続」というマイナスの結論だ。
ゲーム理論が社会制度や法制度に持ち込まれるとき、私たちの合理性は“信頼”ではなく、「裏切りの誘惑を操作する技術」として使われている。協調や共存は、制度によって「戦略的に」成立させられる対象に過ぎない。
他にも、国家間の軍拡競争、企業広告の過剰競争、環境問題での国際協調、共同作業における手抜き…いずれも個が利己的に行動すると、結果的に全体の利益を損なうという点で共通する。
ナッシュ均衡が現実を支配してしまう構造そのものは人間真理だが、哲学や倫理は、そうした「均衡の呪縛」に対して少しでも是正する役割を果たさねばならない。
Posted by ブクログ
経済学などに使われる、ゲーム理論の簡単な実践。
ミステリーはあくまで付録。無くても問題なし。
簡易モデルを考え、利得を設定し…をやってくれてるから、問題も解けるが、自分で一から設定するのは、読み終えても無理!
さらに、パレート最適が、理解できない!最適って言葉から平等を想像するが、違うんだもんな…
ゲーム理論そのものより、パレート最適が最大の難関だった…