【感想・ネタバレ】「起業参謀」の戦略書―――スタートアップを成功に導く「5つの眼」と23のフレームワークのレビュー

あらすじ

★ベストセラー!シリーズ累計25万部超の『起業の科学』『起業大全』の著者、田所雅之氏の最新刊!
★起業参謀を養成する大人気の講座内容を1冊に凝縮!
★今の日本に圧倒的に足りないのは、起業家を支援するメンター┴起業参謀だ。
★起業参謀に必要な「5つの眼」と23のフレームワークを初公開。

●2022年11月に内閣主導で発表された「スタートアップ育成5か年計画」は、2027年までにスタートアップへの投資額を10兆円規模にし、将来的にスタートアップ10万社、ユニコーン100社を創出し、日本をアジア最大のスタートアップハブとするという壮大なもの。
●しかし、日本には起業家を脇で支えスタートアップを成功に導ける優秀な起業参謀が、質と量の両面において不足しているのが現状だ。その理由は、これまでに起業参謀が身につけるべき知識やノウハウを体系的にまとめた教科書がなかったことがあげられる。そこに一石を投じるのが本書だ。優れた起業参謀になるために必要なマインド┴思考┴スキル┴フレームワークを明らかにする初の書。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

『「起業参謀」の戦略書』田所雅之著 読書メモ

■本質と概要

「起業参謀」とは起業家の右腕として機能し、ビジョンを現実のビジネスに変換する役割を担う存在。本書は田所氏がその役割を「漫才のボケとツッコミ」に例え、体系的にまとめた一冊。Why型思考の起業家とWhat型思考の起業参謀が互いを補完し合うことで成功確率が高まるという洞察が印象的。

■重要キーワード解説

・5つの眼: 起業参謀が持つべき複眼的視点
 - 鳥の眼(全体俯瞰):市場全体の把握
 - 虫の眼(顧客理解):個別顧客の深い理解
 - 魚の眼(仕組み構築):持続的に勝ち続ける仕組み作り
 - 医者の眼(メタ認知促進):起業家の思考を整理
 - 人の眼(行動量増加):行動を促す伴走者として機能
・PFMF: Product Future Market Fitの略。未来の市場に製品を適合させる考え方。単なる現在のPMF(Product Market Fit)ではなく、まだ存在しない市場を創造する視点。
・MOAT: 英単語「moat(堀)」に由来する持続的競争優位性。バフェットが提唱した概念で、競合から事業を守る「堀」をいかに構築するかが重要。
・TAM/SAM/SOM: 市場規模を3段階で分析するフレームワーク。
 - TAM(Total Addressable Market):理論上の最大市場
 - SAM(Serviceable Addressable Market):実際にターゲットにできる市場
 - SOM(Serviceable Obtainable Market):現実的に獲得可能な市場
・フライホイール効果: 小さな一貫した行動の積み重ねで生まれる自己持続的な成長サイクル。物理学の「はずみ車」から着想された概念。
・AARRR: 「海賊指標」とも呼ばれる顧客行動分析フレームワーク。Acquisition(獲得)、Activation(活性化)、Retention(継続)、Referral(紹介)、Revenue(収益)の頭文字。
・コールドスタート問題: プラットフォームビジネス初期の「鶏と卵問題」。解決策として「原子的ネットワーク」の構築が重要。

■実践ツール

・起業参謀のアドバイスプロセス6ステップも実践的:
 - 現状把握
 - 視点導入/抽象化
 - 課題設定/解決策仮説構築
 - 解決策/具体化(SMART目標設定)
 - 腹落ち/実行
 - 成果
・メンタリング(起業家が問い、参謀が答える)、コーチング(参謀が問い、起業家が答える)、ティーチング(参謀が問いも答えも提供)を状況に応じて使い分ける重要性も強調されている。

■総評

単なる起業論ではなく、起業参謀という役割を体系化した画期的な一冊。豊富な実践的フレームワークとともに、起業家のバイアスを補正し、行動の質を高めるための具体的なアプローチが提示されている。日本のスタートアップエコシステム発展に不可欠な「起業参謀」の育成に大きく貢献する戦略書と言える。

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2025年04月13日

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