あらすじ
「ゆりかご」か「養成所」か、はたまた「墓場」か。
累計100万部突破! 「理瀬」シリーズ初短編集
ゴシック・ミステリの金字塔。
湿原に浮かぶ檻、と密やかに呼ばれていた全寮制の学園。
ここでは特殊な事情を抱える生徒が、しばしば行方を晦ます。
ヨハンの隠れた素顔、校長の悲しき回想、幼き日の理瀬、黎二と麗子の秘密、
月夜に馳せる聖、そして水野理瀬の現在。
理瀬と理瀬を取り巻く人物たちによる、幻想的な世界へ誘う六編。
・水晶の夜、 翡翠の朝
・麦の海に浮かぶ檻
・睡蓮
・丘をゆく船
・月触
・絵のない絵本
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
理瀬が、最初の時と性格や雰囲気が豹変して知的でクールな少女になっていたが、とてもかっこいいと思った
他にも、理瀬シリーズにでてくる登場人物の知らぜらる過去の話を知って、そういうことかと納得できることが多く、読んでいて面白かった
Posted by ブクログ
有名な「蜜蜂と遠雷」を昔々に読んで、あんまり刺さらなかったのだけど、これはすごく面白かった!こんなゴシックミステリーも書かれる作家さんとは知らなかった。
蜜蜂〜でも感じられた幻想的な筆致で描かれる、某魔法学校のような仄暗く冷たい世界観は、現実を離れて小説の世界にのめり込みたい時にもぴったり。最近こういう雰囲気の小説を読んでいなかったなあと思う。
中でも麦の海に浮かぶ檻が一番好きだった。タマラはまるで宝石の国のシンシャのよう。愛そうとすると、殺してしまう。みんなといたい、ひとりでいたい。矛盾を抱えるキャラクターはいつだって魅力的だ。
世界観としてはフィクションだけど、登場人物たちの渦巻く疑念、嫉妬、欲といった暗い感情はわたしたちの世界にも通ずるものがある。
美しくも脆い箱庭で生きる彼らをのぞくわたしたちもまた、ちっぽけな世界の住人である。
Posted by ブクログ
「水晶の夜、翡翠の朝」「麦の海に浮かぶ檻」「睡蓮」「丘をゆく船」「月蝕」「絵のない絵本」
水野理瀬シリーズの短編集。
シリーズに登場したキャラクターたちのその後だったり、前日譚的な話が読めるのが嬉しい。またシリーズを読み返したくなる。
Posted by ブクログ
理瀬シリーズ6作目。
短編集やけど、過去や未来や知りたいことが盛り沢山で、既にもう新作が読みたくなってる。まだ成長途中のアンバランスさが好きで、理瀬は勿論、ヨハンや聖、亘と稔のその後だってずっと気になる。校長の過去や格好に理由があるのとか思ってなくてやるせない。
「水晶の夜、 翡翠の朝」
理瀬が学園から去って退屈なヨハンの話。新たな転校生ジェイが話す笑いカワセミの噂と相変わらず不穏な学園にもう取り込まれる。あと憂理、聖が出てくるの嬉しい。そしてジェイがヨハンを狙う刺客で、きっちり片付けるヨハンの容赦のなさが闇の深さを表しててゾッとする。
「麦の海に浮かぶ檻」歩道橋シネマにも所収
校長の悲しき回想、要と鼎の兄妹とタマラの話。
タマラを好いて距離を縮める鼎、しかしタマラから発する息や液体は毒を含んでおり、それで鼎は死んでしまう。校長は要達の父で、校長になる戦いが行われていた。要はその後校長となり、妹が忘れられず女装をしている、要は理瀬の父親である。
「睡蓮」図書室の海にも所収
理瀬が学園に行く前、亘と稔と住んでいて嫉妬を芽生えさせる話。亘の連れてきた女の子に嫉妬するの、亘のこと好きなんやろな、どういう種類かはさておき。そして亘の彼女を誘惑した男、理瀬の父親では?理瀬のこと好きな、親バカなのか。
「丘をゆく船」
黎二と麗子が出会った頃の話。掴めなかった麗子にやっと出会えた気がする。2人とも親からある種の虐待を受けててその傷が根深いのを感じる。母親から、何からも独立していく麗子が見たかった。
「月触」
月夜に馳せる聖の回想。理瀬が去りやってきた数学の先生高橋が聖を狙う刺客かと警戒する。そして理瀬が転校してくる前から去るまでを聖目線で紡がれる新鮮さ。聖から見ると周りはこう見えるのか。そして高橋は聖を守るためにやってきて刺客は別でいるんやけど、この学園本当に皆刺客に狙われてて闇深い。また現代で出てきてほしい。
「絵のない絵本」
水野理瀬はイギリスの大学に進学しバカンスに来た。そこに泊まる人々と慌ただしい世界情勢、起こったクーデターは誰にとっての幸運で不幸だったのか。薔薇のなかの蛇のアリスと出会うのはここか、と。そしてアンジェラという梨南子が彼女と言った存在が気になる。これから絶対関わってくるやん。