あらすじ
本作品は、戦争によって命が奪われていく現実と原爆被爆の作者自身の壮絶な体験を、その本当の姿を伝えたいという想いから、作者が全力を振り絞って描いた魂の作品です。<あらすじ>太平洋戦争…だんだんと日本の敗戦の色が濃くなる中、戦争反対を唱えていたゲンの父は「非国民」とよばれ、官憲に捕らえられます。平和を望みながらも、戦争のため野草やイナゴをとって糧にするような苦しい生活を強いられ、それでもささやかな幸せをつむいで暮らしていた人々。その頭上に、原子爆弾は落とされました。1945年8月、広島。一瞬のうちに白い光があたりを包み込みその後、広島の街でゲンが見た光景は、まるで地獄のようでした。すべてを焼き尽くされ、父、姉、弟を失ったゲンは、その焼け野原の中で父の言葉を心に刻みつけるのでした。
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Posted by ブクログ
本当に戦争は恐ろしい。そもそもこう言うことを起こしてしまう人間が恐ろしい。自分の中にもこの恐ろしさが隠れているかもしれないと言うことをまずちゃんと認識し、どんな時も、自分を客観視して良い選択し、身を律する。
作者の中沢啓治さんは、実際に原爆を経験し、彼の辛い体験を思い起こすことは本当に辛いことだと思うが、後世のために残してくれたことを本当に感謝している。
印象に残った言葉
「ゲン!麦のようになるんじゃ!麦は冷たい冬に、青い芽をだして、何回も何回も踏まれて、大地の中に、強い根を張り巡らす。そして、冷たい風が吹き付けても、重たい雪がのしかかってきても、倒れたり、潰れたりせずに、踏まれれば踏まれるほど、強くなっていく」
「いいか、ゲン!麦のようにまっすぐ伸びて、りっぱな人間になるんじゃ」
「わかったよ、父ちゃん。わしは麦のようになるぞ!どんなにいじめられても負けるもんか」