【感想・ネタバレ】悪事の心理学 善良な傍観者が悪を生み出すのレビュー

あらすじ

ワシントン・ポスト紙ブック・オブ・ザ・イヤー受賞の話題書がついに日本上陸!

”遊び場でのいじめから職場でのセクハラまで、善良な人がとんでもないことをする場合がしばしばあります。それはなぜでしょう?
著者は、社会心理学の基本原理がどのようにそれらの行動を説明するのか、その行動を変えるためにはどうすればよいのかを、思慮深く美しい文章で示しています。本書は、より良く、より勇敢な自分になるためのスマートな実践書です。”
―ダニエル・ギルバート(ハーバード大学社会心理学教授『明日の幸せを科学する』著者)


組織の中にいる私たちは皆、
判断を間違える可能性を孕んでいる。

なぜ、不正を目撃した会計士の半数がその事実を黙っているのか?
なぜ、警官の正当性のない16発の発砲を他の警官は止めなかったのか?
なぜ、職場でのセクハラは発見されないのか?

いつの時代も企業や個人の不正、ハラスメント、いじめ、性加害の問題に関するニュースは後を絶たない。
その原因を探ったところにあるのは、たった数人の「悪人」ではなく、沈黙する大多数の「善人」であると言ったら驚くだろうか。

本書は最新の心理学・神経科学をもとに、悪事が起こるメカニズムを「傍観者」に着目して解説する。
さらに、傍観者が同調圧力に打ち勝ち、勇気ある反抗者に変わるにはどうすればよいのか、具体的な実践法まで提言する。

著者は、「社会規範」にまつわる先駆的研究で全米トップ300の教授の一人にも選出された心理学者キャサリン・A・サンダーソン。
彼女が本書を執筆したきっかけは、息子の寮の新入生が飲酒中に転倒して20時間後に死亡したことだという。20時間もの間、誰一人として救急に電話することはなかった。

なぜ誰もすぐに行動を起こさなかったのか?
あなたなら行動を起こせたのか?
企業や個人の不正、ハラスメント、いじめ、性加害の問題に関するニュースが後を絶たない現代社会にこそ、広く読まれるべき1冊。


各誌、各専門家が推薦!
”本書は、同調圧力や腐敗した権力、無関心・無気力に直面しても、正しいことのために立ち上がる力を、できるだけ早く身に付けるべきだと力強く主張しています。”
―サイコロジー・トゥデイ誌

”善人の善行を妨げる社会規範の深層を探り、社会をよりよい方向に変える「道徳的反逆者」になるために、我々全員が取るべき手段を指し示す1冊です。”
―ウォルター・V・ロビンソン(ボストン・グローブ紙元編集者)

”なぜ多くの人は、悪事を目撃したときに黙っているのでしょうか? もし、最近そのような疑問を抱くことが増えたとしても、それはあなただけではありません。本書は、そんなあなたに向けて執筆されています。”
―ジョージ・コンウェイ(リンカーン・プロジェクト共同設立者)

”私たちの世界は、臆病と腐敗に満ちています。著者は、数十年にわたる画期的な研究をもとにその理由を説明しています。”
―ジェレミ・スーリ(歴史学者)

”著者はこの力強い良書で、善良な人々がしばしば何もしない理由を心理学的に説明し、必要な状況のときに多くの人が「道徳的反逆者」になるための思慮深い提案を行います。”
―バリー・シュワルツ(心理学者、『なぜ選ぶたびに後悔するのか』著者)

”悪事が起きるのは、悪人のせいだけではありません。善良な人々が見て見ぬふりをするから起こるのです。本書は、もっと優しく、倫理的な社会を築くうえでの必読書です。”
―デイヴィッド・デステノ(『なぜ「やる気」は長続きしないのか』著者)

”本書は、道徳的勇気や不作為について、豊かで力強く広範に探求し、人助けをさまたげるものは何か、そして人助けにつながるものは何かを示しています。”
―アービン・ストウブ(マサチューセッツ大学心理学名誉教授)

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Posted by ブクログ

ちょっと固い文章なので最初は読みづらかったが慣れてきたら割とサクサク読めた。
この本は三部構成で書かれている。(第一部は普通の人がどのように悪事に加担するか 第二部は具体的に立ち向かう方法 第三部では具体的にどのような行動をするか)

心に刺さる言葉が多くあったのでいろいろな人にぜひ読んで欲しいと思ったが、青少年の子供たちに特に読んで欲しいと思った。
いじめについても、いじめを傍観してしまう心理やそれを傍観せずにどのように対応すればよいかのプログラムについても描かれていた。自分が中高生のときにその対応ができるかどうかわからないが、この本を読んでいたらもしかしたら行動が変わっていたかもしれない、、、と思ってしまった。
また、大学で性的不正行為を減らす方法についても書かれており、この章を読むだけでもこれから一人ぐらしをする青少年たちにとって価値があると思った。

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2024年10月28日

Posted by ブクログ

世の中の不正、セクハラ、差別化、いじめ、暴行など「見て見ぬ振りをして他の誰かが行動を起こすだろうと言う安易な選択をしている」つまり傍観者に徹する傾向が多く、それがエスカレートし取り返しがつかない最悪を招く状態となる、と言う。また、現実当事者になる事で絡む時間と精神的苦痛を避ける人々が増えているのも事実だ。学校でも同じ傾向の「いじめ」があるが、対処策は多くはない。だが大人もしくは指導者(政治家、社長、先生、コーチ、リーダー)が見て見ぬふりをせず、強力なメッセージを強いて行くことが最も重要だ、と指摘していることだ。

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2025年02月24日

Posted by ブクログ

悪事に対すると人間は沈黙する。

30代サラリーマンです。
とあるYouTubeで本の紹介をしており(細かな紹介ではなく、読んでみてといったもの)、購入。

特に事前調査なく、どんな事が書いてあるかもわからない状態でした。

街中で人が困っているのを見かけたことはありませんか?
そんな時、貴方は助けの手を差し伸べるでしょうか?
答えはyesともnoとも取れると思います。
周りに人がたくさんいる時or自分しかいない時、困っている人が赤の他人の時or知り合いの時、はっきりと困っていて助けを求めていると認識できる時or曖昧な時

様々な状況下での実験を通じて人がどのような決断を下すかを調査してまとめ、考察を入れた内容です。

困っていそうな人と遭遇した時の人の心理を良く検証したものです。裏を返せば、いざ自分が困っててを貸して欲しい状態になった時、どのように助けを呼べば良いか、参考になります。

翻訳版ということで、少し読みにくいところはありましたが、自分としては良い評価。

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2024年09月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

めちゃくちゃ良書だった。
悪事を行う人の心理というより、悪事を止めない大衆の心理についての内容。
悪事を認識しながらも指摘や介入ができないのは、見逃している人達が悪人という訳ではなく、脳の動きなど人間の性質的な要因が大きいということ。
つまり悪事を目撃しても沈黙してしまうことが多いのは必然。

ただ悪事はそうした周りの沈黙の姿勢によって、より増幅してしまうものなので、この沈黙の状況を変える必要がある。
そのためには知識やスキルが必要で、元の性格に関わらず方法によって培うことができる。
というような内容だった。

悪いことを止められる大衆の中の一人であれるために必要な知識が色々記載してあった。

私が実践してみようと思ったのは、心配蘇生や応急処置の方法などの専門的な知識を身につけること。
あくまで医者のような知識を身につける必要はなく、自分は知っているということを認識することが重要なので、講習とかに参加してみようかなと思った。

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2024年08月06日

Posted by ブクログ

悪人が悪事を働くのは普通のこと。問題は善人が悪事を働く場面や悪事を是認してしまう場面が少なくないこと。世の中は善人が多い(完璧,真っ黒の悪人はいない)ので,世の悪事のほとんどは善人が行っているともいえる。人は悪事を見ると「フリーズ」するというのは面白い。どう解釈するか,自分はどう行動するか,状況の影響を受けて,結果的に悪事に手を染める。ほとんどの人は道徳的勇気をもたないけれど,悪事など働きたくもない。意思の強さではなく,状況デザインという視点がいる。第2部「いじめと傍観者」は教員や部下を持つ上司にお勧め。

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2025年10月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

思っていた話と若干違った。でも良い本だった。
集団圧力ってやっぱりすごいんだな。
人に監視されているか(たとえそれが目のイラストでも)、仲間がいるか、その仲間がどの程度自分に近いか、、そういうのも人の行動って違ってくるんだな。
会社のセキュリティ面とかで役立ちそう。

翻訳ものあるあるな気がするけど、一つの説を立証させるための色々な実験をしていて、それが結構くどく、だんだん前の実験と何が違うのかがよくわからなかった。

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2025年05月12日

Posted by ブクログ

悪事を働く人ではなく、悪事を目撃して傍観してしまうのはなぜか、行動する人との違いはというのをテーマにしている。集団の中で何が起こっているか分からないと、周りの目を気にして行動に移しづらい。でもこの行動のスキルは上げることができる。

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2025年03月01日

Posted by ブクログ

みんなと一緒であることは安心のしるしである。仲間外れにされたり、嫌われたくないのが一般的だと思う。

実際、ある特定集団、たとえば、学校、企業、宗教組織に所属していると、そこでは通例になっているのを否定するのは困難だ。

しかし、より広い集団、たとえば、国家、そして長期における歴史の視点からみると、その当たり前で通っていたことが、不正や不祥事であることがしばしばある。悪は実在するのではなく、ある視点に従属しているとしか思えない。

ただ、世界人類、過去から現在に至るまで、みんな共通の認識をしていたのに、この今の自分だけが、おかしいと訴えても、何の力にもならないのも事実だ。ここに善悪のない神の領域があると私は信じている。

それは極端にしても、同調するのが必ずしも快いといえないまでも、多くの人は同調傾向が強いと思う。この本の革新的なところは、少数派の変革者に注目して、それをハウツー物にしているところだ。

脳神経にも触れているのも、一つの特徴であるとも言える。何より実例が豊富だ。この先、新しい倫理学ができるかもしれない。

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2024年05月25日

Posted by ブクログ

 人は善にも悪にもなると思う。
特に、集団における同調圧力の力は凄まじく大きい。制服、会社の理念、誇らしくもあるのかもしれないが、それは同調を促す。
 ミルグラム研究が取り上げられているが、指示に従う時に、自分の責任を薄まったと勘違いしてしまうのか?

 いじめは多数の傍観者がいて表面化するのに時間がかかる。いじめを注意した為に自分が対象になることもある。
 誰もが我が身が可愛い。そして自分の子供、あるいは友人など、自分の身内意識を持っている人が可愛い。
 「見て見ぬふり」も傍観者を表す言葉だ。そして、傍観者が多いほど、傍観者を生む。
 本の帯に「抗議の声を上げるのをやめたほうが楽だと感じたことが何度もありましたが、本書はそれに屈することがないように勇気を与えてくれました。」と。

 ルワンダで大量虐殺が起きた時、難民を勇敢に助けたのは人助けをした経験を持つ両親のもとに育った人が多かったという。

 正しいことも認識とスキルを身につける必要がある。

 自分1人が声を上げてもという自己認証に対する過小評価を乗り越え、居心地の悪さも乗り越えなければならない。

 それが出来たら、選択を迫られた時、内面の奥底にいる自分を誇らしく思うだろう。

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2024年03月24日

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