あらすじ
洪水が来たのにすべては洗い流されず、原発の町には方舟も来てくれなかった。そして華奢な未来が残った。――樋口毅宏推薦!
「私は変わりたかったよ。変えなきゃいけないところを変えられないまま、いろんなものを失っちゃった。この町と同じだね」(本文より)
原発のある片田舎の町で、小説家を夢見ながら友人たちと退屈な日々を送っていた馬車道ハタリ。高校卒業を機に上京し数年が経ったある日、彼女のもとに見知らぬ作家の私小説の原稿が届く。そこには原発事故で壊滅した故郷にまつわる、彼女たちの重大な秘密が描かれようとしていた。大洪水、原発事故、カルト教団、未確認生物……次々と襲い掛かる脅威に、怒れるギグワーカー・馬車道ハタリは血気盛んに立ち向かう。現代の閉塞感を打ち破る、新世代ハードボイルド小説。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
著者の二作目
読み味は前作と似ていて、映画や小説にゲームまで色んな話題が飛び交い、乱暴な口調の女性たちが活躍する楽しさもそのままで最高。こういうジャンルを作ってくれないかな。
話し方では、男か女かを読んでいても判別させないようになっているのも面白い。
馬車道がトイレに入ろうしたところで女にイチャモンをつけられるくだりが1番笑えた。
前作が面白すぎたけど、今作も負けないくらい面白い。
Posted by ブクログ
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崩壊後の
世界を
自転車
で走れ!
人喰いワニ×パワフルガール
洪水が来たのに
すべては洗い流されず、
原発の町には方舟も
来てくれなかった。
そして華奢な未来が残った。
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波木さんの文体が好きです。
会話のやり取りや文章が好きです。
オールグリーンズのような、
なんだか爽やかで、
どう考えても詰んでる状況も。
本作はディストピア小説なのかな?
現実なのか曖昧な世界で、
自転車を走らせる。
どんな世界でも悩んで苦しんで、
こんなつもりじゃなかった自分を見つめる。
今、40歳を目前にした私は、
想像していた40歳とは全然違っていて。
(もちろん良くも悪くもの微妙な感じで苦笑)
どこもかしこも自己中で利己的で、理不尽で。
そんな世界でも波木さんの文章は好きです。
次作も楽しみにしています!