あらすじ
私たちは、私たちの文化と言語とを形成してきた永い歴史を受けて、その流れの中で、感じ、思い、考えている。では、過去にどのようなことがあったために、いま私たちはこのように感じ、思い、考えるのか。そして、その過去に気づくことによって私たちは何を得られるのか――そうした日本思想史と現在の関わりについての問題を研究してきた著者が、これまでに様々な機会に発表してきた短い考察を集成。碩学による「日本」をめぐる長年の思想史探究を集成した、驚きと刺戟に満ちた珠玉の小文集。 【目次】はじめに/I その通念に異議を唱える/II 日本思想史で考える/III 面白い本をお勧めする/IV 思想史を楽しむ/V 丸山眞男を紹介する/VI 挨拶と宣伝/索引
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Posted by ブクログ
「はじめに」によると、「あなたがどこのどなたであろうと、どこかでその内容に意味が、そしてできれば驚きや刺激がある文章、ひそかに、それを目指してきました」とある。
成功しているであろう。
冒頭の福沢諭吉論からして急所を掴まれる感がある。かの有名な「天は人の上に人を造らず」は、当時にして「儒生の常談」だというのだから。
Posted by ブクログ
日本政治思想史の研究者である著者が、さまざまな機会に発表した文章を集めて収録している本です。
日本の社会や政治の分野において、ジェンダーをめぐる問題に対する関心がいまだ低いままであることを指摘しつつ、政治学や政治思想史の研究シーンにおいても同様の問題が見られることに目を向けるところに、著者の政治思想史の研究がアクチュアルな関心と密接に結びついていることがうかがわれます。また、書評やそれに類する文章も多く収められていますが、溝口雄三ほか編『中国思想文化事典』(2001年、東京大学出版会)に対する忌憚のない批評を通して、著者の「思想」へとかかわる姿勢が見られるように思います。
ほかに、中国思想の研究者である島田虔次の業績についてまとめた文章や、丸山眞男をめぐる硬軟織り交ぜたさまざまな文章などもあって、興味深く読みました。