【感想・ネタバレ】日本思想史と現在のレビュー

あらすじ

私たちは、私たちの文化と言語とを形成してきた永い歴史を受けて、その流れの中で、感じ、思い、考えている。では、過去にどのようなことがあったために、いま私たちはこのように感じ、思い、考えるのか。そして、その過去に気づくことによって私たちは何を得られるのか――そうした日本思想史と現在の関わりについての問題を研究してきた著者が、これまでに様々な機会に発表してきた短い考察を集成。碩学による「日本」をめぐる長年の思想史探究を集成した、驚きと刺戟に満ちた珠玉の小文集。 【目次】はじめに/I その通念に異議を唱える/II 日本思想史で考える/III 面白い本をお勧めする/IV 思想史を楽しむ/V 丸山眞男を紹介する/VI 挨拶と宣伝/索引

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Posted by ブクログ

日本政治思想史を専門とする著者による「読書案内」。
すべてが書評ということではないが、どの文章も間接的にであっても「読書案内」をしている本だと受け止めた。
著者自身が「私の主な仕事は、昔の賢い人たちの遺した本を読むことです(自分は仕事に恵まれたなぁ、と思っています)」と書いているので、そういう読み方でも問題ないでしょう。

多くの本について、ひとしきりその意義や特長を書いた後で、「でもこういうことにも触れてほしかった」的なことを書くので書評される側の緊張感がすごいと思う。いわゆる「素人質問で恐縮ですが」に類する書き方だし。
こういうときに「隴を得て蜀を望む」という故事成語を使うのですね。「あえて望蜀の感想を、少し述べてみたい」とも。勉強になります。

坂本ひろ子『中国民族主義の神話――人種・身体・ジェンダー』について述べた「コルセットはいかが」では、欧米の宣教師が纏足を批判している同時代にコルセットがもてはやされていた(「三寸金蓮」(纏足による、前後9センチの小さな足)と同様に、hand-span waist(両手で手が回る細さの腰)は憧れの対象だった)ことに触れていないと疑問を呈しつつ、文の締めは
「本書は、より広い読者に向けられ、多方面に思索を促してくれる。ここでお勧めする所以である。
本書を読むことによって心躍ることはないかもしれない。しかし、その苦味を含め、じっくりと味わうに足ることは請け合いである。」
である。私もこういう書き方ができるようになりたいものだ。

もちろん著者の専攻に隣接するような領域の本が多いのだが、読書案内として私には刺激があった。
トクヴィル『アメリカン・デモクラシー』について、旧訳が全然ダメと強調している(明記していないが)のは、なんか執念じみたものを感じて面白い。
スピノザ『神学・政治論』は光文社古典文庫が「岩波文庫版より、はるかに読みやすい」、荻生徂徠『政談』も「岩波文庫版は、テクストが良くありません」。

ジェーン・オースティン『高慢と偏見』は中公文庫版が一番良いそうで、「彼女の他の5作品もお勧めです。特に、『エマ』と『マンスフィールド・パーク』。」とのこと。
『高慢と偏見』を読んでお腹一杯になったのだが、他の作品も読んで見ようかなと思った。

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2026年07月26日

Posted by ブクログ

「はじめに」によると、「あなたがどこのどなたであろうと、どこかでその内容に意味が、そしてできれば驚きや刺激がある文章、ひそかに、それを目指してきました」とある。

成功しているであろう。

冒頭の福沢諭吉論からして急所を掴まれる感がある。かの有名な「天は人の上に人を造らず」は、当時にして「儒生の常談」だというのだから。

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2024年08月17日

Posted by ブクログ

日本政治思想史の研究者である著者が、さまざまな機会に発表した文章を集めて収録している本です。

日本の社会や政治の分野において、ジェンダーをめぐる問題に対する関心がいまだ低いままであることを指摘しつつ、政治学や政治思想史の研究シーンにおいても同様の問題が見られることに目を向けるところに、著者の政治思想史の研究がアクチュアルな関心と密接に結びついていることがうかがわれます。また、書評やそれに類する文章も多く収められていますが、溝口雄三ほか編『中国思想文化事典』(2001年、東京大学出版会)に対する忌憚のない批評を通して、著者の「思想」へとかかわる姿勢が見られるように思います。

ほかに、中国思想の研究者である島田虔次の業績についてまとめた文章や、丸山眞男をめぐる硬軟織り交ぜたさまざまな文章などもあって、興味深く読みました。

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2025年02月12日

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