あらすじ
キルケゴールは、本来の自分から目をそらしている状態を「絶望」と定義づけ、この「絶望」こそが、「死に至る病」と説いた。本書『超解釈キルケゴールの教え』では、キルケゴールが残した難解な書物を読み解き、人間が陥る絶望を「無限性の絶望」「有限性の絶望」「可能性の絶望」「必然性の絶望」の4つのプロトタイプに分類。「キルケゴール先生」に扮した著者が、人生相談の形式で、それぞれの絶望からの脱出法を教授する。
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Posted by ブクログ
超解釈とタイトルにもあるように、誰にでも分かりやすく噛み砕いて実存主義やキルケゴールの言葉を説いてくださっている本です。
本書の大部分は、ケーススタディで書かれています。
絶望を抱える登場人物とキルケゴール先生の対話形式で話が進んでいくので、自分自身の日常や身の回りのことに置き換えて解釈しやすいのがポイントでしょう。
個人的には事例の間で書かれていた、キルケゴールの人生や実存主義の生まれた時代背景などが特に興味深かったです。コールサール事件のくだりは、SNSを使う現代人にも当てはまる部分が多くあるように思います。自分が謂れのない誹謗中傷に晒された時のキルケゴールの社会や人との向き合い方は、参考にしたいものです。
特に本書の中で好きになったキルケゴールの言葉があります。
「人生は後ろ向きにしか理解できない。しかし前向きにしか生きられない。」
誰でも一度は大きな「絶望」を抱えることがあるかもしれません。
そんな時こそ、自分や他者を傷つけるのではなく、本来の出発点に立つためのきっかけとしたいですね。