あらすじ
2007年刊『焼かれる前に語れ』(WAVE出版)に、2011年の震災、児童虐待の冤罪、そして新型コロナによる死についてなどを加え、「死因究明法案」提出後の我が国における死体の司法解剖の実情を改めて世に問う。 日本は諸外国と比較して変死体の司法解剖率が極端に低く、それは本書が刊行された2007年当時から14年経過した現在もほとんど改善されていない。 死体が解剖できていれば多くの連続殺人を未然に防ぎ、冤罪を証明することにつながるにもかかわらず……。 医療先進国と言われる日本の、驚くほどずさんで脆弱なシステムと、腰の重い国や組織に正面から向き合い、改善を訴え続けてきた司法解剖医が、声なき死体と残される遺族のためにもう一度強く警鐘を鳴らす。 あなたにとっても決して他人事ではなく、生命保険や損害賠償、類似事故の再発防止など、現実に関連しうる身近な問題が数多くあることを知ってほしい。" 変死体の死因「病死」を疑え!
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
『焼かれる前に語れ」の再刊行とは知らずに購入したのですが、再読するような気分で読みました。当時から多少改善がみまれるもののいまだに、日本で死因を確認するプロセスは明確になっていないようです。今後も岩瀬さんの発言に注目していきたいと考えています。
Posted by ブクログ
日本は医療先進国だけど、変死体解剖に至っては先進国の中で最低レベルだと。ある年、17万体に対してわずか14%。
日本では死が犯罪に起因するものであるかを判断する為に検視が行われる。
そして、この場合の検視は五官(外見観察)により行われる。
外見的異変が無い、明確に事件性がなければ司法解剖される事は極少数。
著者曰く、20体のうち4体が警察官や検案医の検視結果と異なっていた。
これにより見逃された犯罪、誤った死因判定、冤罪、犯罪者の野放しに警鐘を鳴らす。
また適切な予算が下りないという実情がある。
その中であるエピソード。
予算がないので、検査が出来ず死因不詳で医師が検案書を警察に提出すると警察からは死因不詳では書類上困る。いつも他の先生には書いてもらっている。…では胸も痛がっていた様なので心筋梗塞に書き直しますね。
もう真実なんてあったものではありませんよね。
その他にも、司法解剖を行うにあたって、遺族に何ら説明も同意もなく、解剖後も無責任な事。切られた後を粘着テープで止められていたり、整容もされずに返されたり。
日本は時代を遡ると、どうも命や亡くなった方をぞんざいに扱うきらいがあるようです。
旧態依然のあり様には怒りしかありません。