あらすじ
「お前にしかできないことなんて、ない」――兄・実行
「あきらめたら、俺という存在はどうなるんだ」――弟・成功
順風満帆な御曹司の前に突如現れ、入れ替わろうとした異母兄。
お前は俺から、仕事も恋も奪おうというのかーー。
『犯人に告ぐ』『望み』『検察側の罪人』の著者が描く、スリリングなサバイバルレース!
入れ替わった「王子」の戦いの行方はーー。
【あらすじ】
準大手飲料メーカー・シガビオの御曹司、志賀成功(なりとし)が何者かによって別荘に監禁された。
彼は取締役就任と、意中の女性・山科早恵里との交際を目前にしていた。
半年後、絶望の中で解放された成功が会社に行くと、社内の状況は一変し、かつての彼のポストには突如現れた異母兄・実行(さねゆき)が入れ替わっていた。
そして実行は早恵里にも近付こうとしている。
「奪われたものは、奪い返さなければ」
成功は、事件の真相と自らの復権をかけて奔走するがーー。
異母兄弟がビジネスと恋で火花を散らす、一気読み必至のエンターテインメント!
【著者プロフィール】
雫井脩介(しずくい・しゅうすけ)
1968年生まれ。愛知県出身。専修大学文学部卒業。2000年、第四回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作『栄光一途』で作家デビュー。2004年に『犯人に告ぐ』がベストセラーに。同年の「週刊文春ミステリーベスト10」で第1位となり、第七回大藪春彦賞も受賞した。『火の粉』『クローズド・ノート』『ビター・ブラッド』『検察側の罪人』『仮面同窓会』『望み』『引き抜き屋1 鹿子小穂の冒険』『引き抜き屋2 鹿子小穂の帰還』など映像化された作品多数。近著に『犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼』『犯人に告ぐ3 紅の影』『霧をはらう』など。2023年、『クロコダイルティアーズ』で直木賞候補となった。
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Posted by ブクログ
後半にぐいぐい評価が上がった一冊。
中堅飲料メーカーの御曹司『成功』の不可解な別荘でも監禁事件から始まるストーリー。成功不在の半年の間、異母兄の『実行』にポストを奪われており…。
新製品開発が進むと同時に、ライバルの大手『東京ラクト』との市場争い、2人の恋愛の行方が進展していきますが、それにともなって監禁事件を含む一連の流れの真実が明らかになって行きます。
当初、浮気により『ラクト』を追われた存在だったと思われていた2人の父でありシガビオの社長『英雄』は、その実『ラクト』の社長の座を狙う『忠徳』の浅ましい陰謀により嵌められた二中だということが明らかになります。
『英雄』は最終的に『成功』を自分の後継に選びますが、きっと自分と似たところのある『実行』のことを誰よりも気にかけており、何なら追い出される羽目になった『ラクト』の今後のことも考えていたように思われます。
冷徹と思われようと、その実誰よりも熱く、深く、会社や息子たちのことを考えていたのでしょうね。
対極的に描かれている『実行』と『成功』の2人が、反発し合いながらも新製品のために協力し、いつの間にか信頼できるビジネスパートナーとなっていく過程もとてもおもしろかったです。
2人を取りまく社員たちが成長していく様も見ていて気持ちよかったです。(^^)
Posted by ブクログ
主人公の御曹司が監禁されてしまうところから始まり、監禁した犯人が後輩に絡んでいくのかと思いきや予想外の展開。後半、ライバル社のラクトに情報を流していた犯人の見つかり方もあっさりしていたような…。あまり人物像を描いていない方だったからそう感じたのかな?それでも雫井さんの作品は面白くて読み進めてしまいます。余談ですが、主人公の成功と実行の名前、ついセイコウ、ジッコウと読んでしまいがちでした。
Posted by ブクログ
ミステリーだと思いながら読み始めたらヒューマン系だった。企業ものの成功しそうになったら邪魔が入り…というのの繰り返しが見ていて飽きてしまうので微妙な感じなら読むのをやめようと思ったが、一つ一つ困難を乗り越えていく様に私もチームの一員になったような気になり最後は達成感すら覚えた。体の健康を考え最近乳酸菌飲料を積極的に摂るようになったから尚更身近に感じたのかも。
恋愛要素に関してはそこがメインではないのだからこんなにこじれさせなくても…と思う。
そして登場人物の名前がすんなり頭に入ってこず、そこに躓くことがストレスだった。実行が欲しいものは全部成功の手にある終わり方は爽やかに表現されているもののあんまりいいなと思えなかった。
客観的に見て実行と成功を比べここだ!という物が見つからないと思った。
Posted by ブクログ
飲料メーカー・シガビオの御曹司、志賀成功(なりとし)が
何者かによって別荘に監禁された。
半年後、解放された成功が会社に行くと
彼のポストには突如現れた異母兄・実行(さねゆき)が就いていた。
誰の指示で監禁されたのか?
読み進めると(あの人の仕業かな)と少し見えてくる。
栄養ドリンク、乳飲料の製造過程などが細かく丁寧に書かれている。
バランスよく、人間関係の複雑さも織り込まれているため
最後まで飽きさせない。
そして、不思議なのだけれど
雫井脩介さんは兄弟の名前を成功(なりとし) 実行(さねゆき) とした。
なぜ、このような名前にしたのだろう。
成功(せいこう)と読んでしまい
ストーリーが止まってしまうこともしばしばだったので。
もう一つの不思議は表紙のコアラ。
装丁された名久井直子さんのコアラと関係があるのかな。
名久井さんの「コアラ日記」によると
〈コアラの絵はヒグチユウコさんが描いてくれたわたしです〉とある。
そして、挿画担当のIQGMさんも
コアラをモチーフにイラストを描いていらっしゃるので
表紙がコアラなのか。
タイトルも登場人物の名前もスーッと自然に頭に入り
深く残らない程度の方が読み手としては助かります。
Posted by ブクログ
飲料メーカーを舞台にした企業小説。
ミステリー要素が2割、恋愛要素が3割という感じで、「日曜劇場」のようでした。
前半のミステリー部である主人公を監禁した犯人についてはちょっと強引なところがあり、後半のミステリー部である情報漏洩犯人はどんでん返しもないということで、ちょっと物足りなかったです。
また、恋愛部も男女とも会社の御曹司や御令嬢とはおもえない初心さで、火曜ドラマのような甘さでした。
とはいえメインの企業内競争、ライバル企業対決などはかなり緊迫した感じがあってよかったです。
ライバル社の社長親子の間抜けさにずっこけてしまいましたが・・・。