【感想・ネタバレ】万能鑑定士Qの推理劇 IIのレビュー

あらすじ

シャーロック・ホームズの未発表原稿が見つかった!? 時を同じくして小さな依頼主が持ちこんだ『不思議の国のアリス』、史上初の和訳本。2つの古書が、凜田莉子に「万能鑑定士Q」閉店を決意させる。なぜ少年は鑑定を依頼したのか? 果たして原稿はコナン・ドイルの真作なのか? オークションハウスのスペシャリストになった莉子が2冊の秘密に出会ったとき、過去最大の衝撃と対峙する。「Qの推理劇シリーズ」第2弾。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

推理劇第2弾。
ホームズの未発表原稿を元に巻き起こる今回の話だが、今回は今までの話とは違い重く暗いのが特徴的である。『愛ちやんの夢物語』の鑑定から始まり、極悪夫婦の虐待疑惑や闇仕事の斡旋、未発表原稿のオークション、あこがれの先輩の行方など多くの謎が莉子に襲いかかる。あこがれの先輩の子供を守ろうと必死になるあまり空回りして苦しんだり、見切り発車をしてしまったりするという普段と違う一面を見せていくのでとてもハラハラして読んでいった。無事に浴沼夫妻の不正手段を暴いたものの、その先に待っていたのは、自分の憧れで密かな思いを抱いてきた先輩のなれの果ての姿だったというのがとても切なくなってしまった。
しかし、エピローグで、自分の仕事に戻った時にその時に出会った人が自分の思いを汲んで新たな出発を後押ししてくれた所がとても救いようがあったと思いました。彼女の過去は裏切られしまったかもしれないが、今の出会いが彼女を良い方に導いて行くのかなと思いました。

この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
凜田莉子:佐藤聡美
小笠原悠人:寺島拓篤
葉山翔太:中村悠一
浅倉絢奈:花澤香菜
久宇良颯人:高山みなみ
芹澤杏樹:戸松遥
富里蒼依:日高里菜
隅山大智:増元拓也
漢那和希:内田雄馬
浴沼慶吾:関智一
浴沼優芽:朴璐美
綾小路修一:矢尾一樹

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2022年06月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

〇 総合評価
 颯人という少年から預かった古書「愛ちゃんの夢物語」を科学鑑定するために、万能鑑定士Qを辞め、オークション会社であるジェルヴェーズに入社するという流れは、『万能鑑定士Qの事件簿』のVIIに近い。古書鑑定やオークションの裏側を描いている部分は新鮮。事件そのものも、オークションのプレミアムエクスヒビターという制度(一度、高額の出品をした出品者は、鑑定を免れるという制度)を利用した贋作の販売という点で面白い。さらに、その贋作をイアン・フレミングの新作として直島で映画撮影をさせ、ブックメーカーで丸儲けを狙うという流れだが、ここまでいくとリアリティはほとんどなく、オークションを利用する費用や税金を考えると稚拙とまで思える。しかし、話としては面白い。
 黒幕は莉子の高校時代の先輩で、高校時代に莉子が憧れていた漢那という人物。漢那は颯人の父であり、父に会いたいと願う颯人の願いはかなわない。このシリーズには珍しく、読後感があまりよくない作品である。
 推理劇らしく、朝倉絢奈も登場する。ストーリーから見ると、登場する必然性は必ずしも高くないが、これは読者サービスだろう。
 読後感の悪さ、ストーリーの奇抜さなどを考えると、心に残るなかなかの逸品。★4で。
〇 サプライズ ★★★☆☆
 まず、莉子が万能鑑定士Qを辞めてオークション会社であるジェルヴェーズに就職するという展開がややサプライズ。あとは、黒幕が莉子の憧れていた先輩である漢那であり、最後に颯人の父に会いたいという願いがかなわないという点もサプライズ。そもそも、このシリーズには珍しく、読後感があまりよくないという点もサプライズだろう。とはいえ、どんでん返しといえるほどではないので★3どまり。
〇 熱中度 ★★★☆☆
 オークション業界、古書業界の裏側などのうんちくをはさみながら、漢那と浴沼夫妻の悪だくみを描く。ページをめくる手が止まらないというほどではないが、最後まで楽しく読める。話の作り方の上手さは、さすが松岡圭祐という感じ。★3
〇 インパクト ★★☆☆☆
 メイントリックが入り組んでいる。コナン・ドイルの贋作のオークションでの出品を成功させ(自分で出品し、自分で落札)、プレミアムエクスヒビターの制度を利用してイアン・フレミングの贋作を出品させ、自分で落札し、世間の評判を得る。真作と思わせ、直島での映画撮影を実現させる。ブックメーカーで、イアン・フレミング原作の映画撮影がされるに賭けて丸儲け…というものだが、風が吹けば桶屋が儲かる的で、あまりピンとこない。インパクトは★2
〇 読後感 ★☆☆☆☆
 1歳の子どもがいる状態で読んだからかもしれないが、漢那の颯人に対する態度は、かなり印象が悪い。結局、颯人が父と一緒に暮らせるようにならないという…。警察の葉山は、こんな父と一緒に暮らさない方が颯人のためだと言い、そのとおりなのだが、なんとなくやるせない。読後感は悪い。★1
〇 希少価値 ☆☆☆☆☆
 人気シリーズ。希少価値はない。
〇 メモ
〇 オープニングは、シャーロック・ホームズ作品のパスティーシュから。この作品は、オークション会社であるジェルヴェーズ会社が舞台。古書業界に参入。担当は隅山大智。女性部長は芹澤杏樹。シャーロック・ホームズの未発表原稿、ユグノーの銀食器がジェルヴェーズに持ち込まれている。
〇 凜田莉子が、不思議の国のアリスの和訳本「愛ちゃんの夢物語」をジェルヴェーズに持ち込む。莉子は、ジェルヴェーズの社員にバカにされる。しかし、ふと聞きつけたユグノーの銀食器について、謎解き(容疑者二人の共犯)をする。
〇 「愛ちゃんの夢物語」の鑑定を莉子に依頼した宇久良颯人は子供だった。莉子は、引き続き鑑定を依頼される。
〇 芹澤が、莉子をジェルヴェーズにスカウトする。条件は店を畳むこと。莉子は迷う。
〇 莉子はジェルヴェーズへの就職と「愛ちゃんの夢物語」などについて、小笠原に相談する。会話の中で、颯人からのお礼に「東京タワー」(江國香織)を見つけ、颯人と自分につながりがあると気付く。
〇 莉子の高校時代の同級生に確認したところ、颯人は、野球部時代の先輩である漢那の子どもであると分かった。漢那は蒸発し、その子供は里親にもらわれていったという。
〇 莉子は、颯人の期待に応えるために、店を畳み、ジェルヴェーズに就職する。
〇 颯人の里親である浴沼夫妻の描写。何らかの悪さをしている様子。速人が問題の「愛ちゃんの夢物語」を持ち出したことに気付く。
〇 ジェルヴェーズでの莉子の仕事ぶり。同僚である富里蒼依と隅山大智が集めてきた古書には問題が続出していた。莉子は、杏樹から蒼依と隅山を鍛えるように依頼される。
〇 神田の古書店で、莉子の指導のもと、富里と隅山が修行。颯人と里親が現れ、トラブル
〇 莉子は、颯人の里親と対峙する前に、「愛ちゃんの夢物語」の科学鑑定を行う。
〇 イタリアンレストラン「クレメンティーナ」で浴沼夫妻と対峙。浴沼夫妻は、石垣島での仕事のあっせんでのくじとして、莉子が持っている「愛ちゃんの夢物語」を使っていた。浴沼は顧問弁護士の窪塚の力を使い、莉子から「愛ちゃんの夢物語」を奪い返す。
〇 浅倉絢奈を呼び、話をする。莉子は漢那との思い出を語る。
〇 莉子はジェルヴェーズでの古書オークションの成功と、浴沼夫妻の行動の調査の両方を進める。
〇 莉子がオークショニアとしてユグノーの銀食器のオークションを行う。1000万ドルで落札される。落札者は柴村双太という人物。出品者は伊勢拓真という人物
〇 「愛ちゃんの夢物語」の科学鑑定を依頼した升本から情報がもたらされる。同書の表紙に、ジェルヴェーズの住所とユグノーの銀食器という著書名を書いた跡が残っていた。
〇 莉子は、ユグノーの銀食器の落札に、犯罪の匂いを嗅ぎつけ、綺奈と相談する。調査のため、直島に行くことになる。
〇 ジェルヴェーズでは、次の古書オークションについての協議がされていた。ユグノーの銀食器の落札者である柴村は、007ファンだった。ユグノーの銀食器のオークションは、出品者である伊勢がプレミアムエクスヒビターの地位を得るためにされていた。
〇 莉子は詐欺の黒幕を逮捕するために、イアン・フレミングの贋作を借用を求める。ジェルヴェーズの専務、綾小路は反対するが、芹澤は綾小路を無視し、贋作を莉子に貸す。
〇 莉子は浴沼夫妻を罠にはめる。クレメンティーナの住所を書いたメモを科学鑑定し、浴沼のメールアドレスを暴き、推理により居場所と普段の連絡方法を把握し、浴沼を信用させた。
〇 浴沼はイアン・フレミングの贋作を処分しようとするが、すんでのところで小笠原が原稿を取り返す。
〇 莉子は北海道の富良野で漢那と再会する。漢那こそが犯行の黒幕だった。暴力団の観虞会に入り、浴沼を脅迫していた。漢那は逮捕される。颯人は父に再会できなかった。
〇 エピローグ。莉子は、水道橋の店で、万能鑑定士Qの店を再開する。

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2025年05月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 今回は古本のお話でけっこう楽しかった! 例のミステリーを多少意識してるのかな?
 スピンがついてる=新潮文庫 は常識だよね!!!!!

 ちょっと救われない感じのラストも今までと一味違っててよかった。

 今回の小笠原くんは男でしたね。あと葉山警部補がけっこう好きだ。もっと出てくれないかな~。


【メモ】
 不思議の国のアリス=愛ちやんの夢物語

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2014年02月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

沖縄でのんびり暮らしてた頃より、知識だけではなく咄嗟の判断力と決断力がついている気がする。莉子ってすごい。だって、オークションハウスに転職するためにお店を畳むなんて。。このままだとは思わなかったけど、再開できるようで良かった。

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2016年11月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

古書をテーマにしているところは本好きには興味深かった。ただ、satsuma をサツマイモと訳す翻訳家がいるとは思えないし、憧れの先輩の変わりようもいまいち理解できず。今回、莉子がわが県を訪れたのは嬉しいところ。うどんタクシーにも詳しいとは。どうせならうどんを食べるシーンがあってもよかったのでは(笑)

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2016年08月02日

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