あらすじ
愛媛・松山市の高校を舞台に繰り広げられる女子ボート部員たちの熱い青春小説。――女子ボート部を立ち上げ、初心者ばかりの部員たちと部活を楽しむ悦子は、試合で敗けたことにより、心に変化が芽生える。「がんばっていきまっしょい」。この掛け声とともに少女たちがひたむきにボートに向き合い、奮闘する姿が胸を打つ。第4回坊っちゃん文学賞大賞受賞。
本作品は、主演・田中麗奈で1998年に実写映画に、2005年には主演・鈴木杏でテレビドラマ化されている。
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Posted by ブクログ
青春だなぁ。
篠宮悦子を演じる田中麗奈さんの暗いというか、1人のときの硬い表情を見ながら、自分もこんな気持ちだったと思った。
敷村さんの原作は、映画より更に、僕の感覚に近いかな。
やり場のない気持ち、焦燥感、孤独感、答えがない感じ・・・。
あとがきを読んで、著者の敷村さんが、1995年、阪神大震災や一連のオウム事件、ご自身も八方ふさがりの中でこの作品を書き上げられたことを知った。
「坊ちゃん文学賞」の応募締切日間際に、誤って原稿データを一部、消失させたアクシデントもあったそう。
よくぞ諦めず書き上げて、応募してくれた。
そうでなければ、この原作まで辿り着くことはできなかった。
この映画と原作、詳細設定が少し異なっているが、僕が共通して一番気に入ったのは、掛け声と言葉、
「がんばっていきま〜しょい‼︎」(しょい‼︎)
Posted by ブクログ
本棚の奥から引っ張り出して懐かしく読みました。20年くらい前に映画を見てこの本を読んだ。この本の設定は自分と同じ世代で、まだおおらかでいい時代だったとシミジミと思いました。琵琶湖漕艇場は息子のカヌーの試合を応援に行ったことがあって因縁を感じました。息子もカヌーで頑張っていたなぁ(T ^ T)と思い、またまたシミジミしてしまいました。
Posted by ブクログ
昔、映画化された、ぐらいの記憶の小説だったが、読んでみるとグッときた。高校で、未経験なのに始めた女子ボート部。負け続け、下級生に追いつかれそうになり、やっと得た勝利。あのころの風景を思い出させる。
虚飾を排し、あまり抑揚のない筆致。それだけに、時折、強く浮かび上がる言葉が現れる。『できる人間が半分の力で勝つんじゃなくて、できない人間が百の力で精一杯ぶつかるから素晴らしいんだ。』子供の高校の野球部を思い、泣きそうになる。
Posted by ブクログ
前半の文章は硬くて、いかにも素人さんっぽい感じなんだけど、読ませる筆力があってどんどん読める。
劇的なストーリーというわけではないのに、読んだ後のさわやかな気持ちから鑑みるに、「詩情」が優れているのだなあと。
いい文学作品なのだなあと。
後半の「イージーオール」になると、作者もそうとう頑張って書かれたらしく、表現力がすごくアップしていて、プロの作家さんっぽくなっていました。
「プロ」になった気概はすごいですね。