あらすじ
「安全神話」に加担した政・官・業・学 そしてマスコミの大罪!
原発を続けるということは、
事故が起きる可能性を抱え続けることを意味する。
福島第一原発では、その影響の大きさを私たちは思い知った。
事故をひとたび起こせば取り返しのない事態を招くにもかかわらず、
原発はなぜこうも優先されるのか。
その理由を解き明かすには、歴史を俯瞰し、考えてみなければならない。
原子力ムラの実態とエネルギー政策の構造的問題を衝く!
官・政・業・学・メディアはいかにして「原発安全神話」を作ってきたのか? 原発取材をライフワークとしてきた記者の集大成の一冊。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
長年地道に取材されてきた結果をとてもわかりやすくまとめて書籍にしてくださった。
「なぜ日本は原発を止められないのか?」
本当にどうして?
その疑問に答えるべく、政官学業マスコミの実態が描かれている。
あれほどの事故を起こし、多くの人の故郷を奪い、仕事を奪い、人間関係を奪い、その後の処理も全くうまくいっていない。いつ終わるかもわからない。見当もつかない。自然豊かな国の土を、海を汚染し続けている。どう考えても原発の存続、ましてや増設などあり得ない。普通に考えれば。
この非常に真摯で誠実な本でさえ、出版を邪魔する新聞社ってなんなんだろう。
特別に勇気のある人だからできたことだと思う。陰ながらいつも応援している。
Posted by ブクログ
原子力の安全利用としての原発。
アメリカではハリケーン避けのため地下に設計されているものを地震が多い日本にそのまま持ってきて運用するなんて無理くりすぎ。
政治家たち、電力会社トップの不正オンパレード。
こういう勉強し続けたいですね、
Posted by ブクログ
既知のこともあるが、それも含め、原発をめぐる最新の状況を俯瞰することができた。
それにしても朝日新聞社は大丈夫か。もう終わってるかもしれない。
Posted by ブクログ
大手新聞社に所属する著者が、その肩書をこの本に書けないという事実は、メディアの原子力ムラへの忖度を感じうんざりさせられる。
福島第一原発事故後、原発の再稼働を目指し施行された新規制基準でも、原発付近の住民の避難計画は規制委員会の審査対象ではないとのことだ。住民の命綱である避難計画を誰も審査しない。いつ何時、どこかの原発の直下で地震が起こるかもしれないのに、これはまずいと思う。
この本が出版されて間もなく能登半島地震が起きた。震源近くに立つ志賀原発には様々なトラブルが発生したが幸いカタストロフは免れた。だが、付近の住民たちの安心・安全が適切に守られたとは思えない。
Posted by ブクログ
地震大国日本で原発を持つ理由、私は、原爆を作る能力を保持したいから、
だと思っていた。この新書でも自民党石破さんらがそう言っている。
北朝鮮中国ロシアアメリカと、核保有国に囲まれた日本として、
下手な軍事力よりも抑止力がある、という見方には一理はある。
しかし同時に、原子力発電所にミサイルを撃ち込まれたら原爆を落とされるより
遥かに甚大な被害になることは、福島原発の事故で証明済み。
要は論理破綻しているのだ。
しかしことはそんな単純ではない。
原子力発電所利権がしっかり日本経済に組み込まれている。
もちろんその主役は電力会社。官僚。議員。
我々市民から吸い上げる電力料金が、パーティ券に化ける。
さらに官僚の天下りの報酬、退職金に化ける。
結局今の世の中の図式そのものになる。
議員、官僚、大企業。
原発であれ、武器であれ、五輪であれ、万博であれ、神宮再開発であれ、
何か大きなことをしでかして国の金、国民からの血税を動かし、
その甘い汁を吸うのは議員であり、官僚であり、大企業になってしまっている。
日本が成長しているうちはそれでもよかった。みながそれぞれ恩恵にあずかれた。
しかし、衰退国、沈みゆく国に日本がなってしまってからは、パイの奪い合い。
一般の国民はどんどん貧困化する。
・・・私は数年前、「夏休みになると痩せる子供たちがいる」という話を
地元の関係者から聞いた時には信じられなかった。
この日本でそんなことがあるのかと。
あるのだ。今や子ども食堂は当たり前。満足に食事がとれない子が、いや大人も、
大勢いるのだ。7人に一人が相対的貧困。
もちろん、スマホだなんだと、生活が快適になっている部分は多々ある。
しかし、基本的な衣食住が十分でない国民が増えてしまっているのだ。
そんな状況の中で、軍事力倍増、原発増設、万博開催などと、
国民から金を吸い上げてよいのだろうか?
メディアを3社移って、あくまで個人の活動としてこの新書を出版したこの記者に
敬意を表する。
Posted by ブクログ
とても丹念に取材され読みやすく、一つ一つの記事が生きた証言、未曾有の事故を引き起こした原発、原子力ムラの告発なっていると思います。政官業学そしてマスコミまでも。
私は司法までも加えて良いと思いますが、ここに日本の民主主義の劣化が象徴的に現れていると思います。
民主主義はたえずたたかい続けなければ後退すると言われます。今も政官業学マスコミ司法そして市民も人権を守り民主主義を実現させるためにたたかっている多くの人がいます。
多くの人に届けたい本だと思います。
Posted by ブクログ
原発事故から十余年。痛みを知る国がなぜ原発を手放せぬのか。問いは重く答えは深い。経済の論理、電力の安定供給、そして復活する安全神話。個人の不安や怒りは官産学の厚い壁に遮られる。
被災地の声は届かず現実は置き去りのまま。青木美希氏の筆は声なき声に耳を澄ませ「なぜ」を問い続ける。
命と引き換えに得るべきものとは何か。未来に何を残すのか私たちは試されている。
声なき所に民意あり。