あらすじ
一度は引退を覚悟したアラフォーの野球選手が、38歳にして本塁打と打点の二冠王となって華やかな復活を遂げた。「ID野球」というキャッチフレーズで球界の寵児となった野村克也氏の特徴は「ぼやき」「配球の読み」ばかりではなく、「考えを変えれば人生が変わる」と教え諭す人情野球だった。「理想の上司と部下の関係」までわかる、異色の球界本!
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
楽天在籍時の2007年シーズン、38歳にして本塁打・打点の二冠王に輝いた山﨑選手。
本書は、同選手が2008年2月に著した本を文庫化したもので、野村監督の教えを中心にした自伝的な内容であり、ソリの合わなかった某監督の批判など生々しい内容も。
現役選手でありながらよくここまで踏み込んだなあ、と思います。
冒頭の野村克也氏の特別寄稿「『考え方を変えた』から山﨑武司は復活できた」はとても面白く、教え子への愛に溢れています。
そして、本書に登場する数々の野村語録も心に響く。
野村監督は技術を教えるだけではなく、まず人間教育を重視するのは有名な話です。
「野球選手である前に、社会人だ。人間学、社会学を勉強しろ」なんて言葉は、スポーツだけではなく他の世界でもあてはまると思います。
また「人間は他人の評価で生きている。人が自分をどう見ているかによって、地位や待遇も決まるのに、多くの人は自己愛が強く、自分を高く評価して生きようとする。そこにギャップがある」なんて言葉は、自分もドキッとする至言。
山﨑選手は扱いづらい選手だったと想像するのですが、その選手に「この人を胴上げしたい」なんて言わせることはなかなか出来ないと思います。
これも野村監督の指導力の賜物か。
そして、どん底を味わわされた2人の監督への批判もある意味では面白い内容なのですが、「あの不遇の経験があったからこそ今がある。首脳陣に使ってもらえない、頼りにしてもらえない重圧に耐えた経験は大きかった。タイトルも獲った幸せな日々につながっていると言えるのだから」と振り返ることができるのも、野村監督の人間教育の賜物かも。
山﨑選手のように、キャリアの晩年に自分のスタイルを変えるのはなかなか出来ないことだと思います。
強いものが生き残るのではなく、環境の変化に対応できるものが生き残る、なんて言葉もありますが、山﨑選手のキャリアを見ていると、まさにこれが当てはまると思えてなりません。
「ちょっと考えを変われば、生まれ変われる」-とてもいい言葉です。