あらすじ
現在の科学の到達点は? 問題や課題はどこにあるのか? 私たちは科学とどのようにして付き合っていったらよいのか? 書評家としても名高い天文学者が,独自の視点から厳選した本を8分野に分けて紹介.不確実な今,さまざまな疑問に答える本へと導く.「科学の本」の読み方,楽しみ,科学という活動の奥深さもあわせて伝える.
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Posted by ブクログ
1 サイエンスー世界を「知る」ということ
2 人間ー私たちはどこから?
3 生命ーこの不思議なもの
4 科学の冒険者たちー好奇心を抱きつづけて
5 ちょっと息抜きー文系世界を楽しむ
6 歴史と文化ー人間の歩みをたどる
7 現代社会と科学ー矛盾はなぜ生まれる?
8 未来ー科学から見えてくるもの
もう、この目次を見ただけで、ワクワクするでしょう!
見開きかプラス1頁にコンパクトに纏められた文章は、程々に客観的で淡々としている。だもんで興味ない分野はフーンと読み飛ばしてしまいますが、逆にそのお陰で、ある程度の速度で読める。あまりキャッチーなフレーズや煽情的な表現がないのも好感度高し。
天文学者だけあって、5,6章辺りは今ひとつ精彩を欠く感じ。
Posted by ブクログ
新たな発見と示唆に富んだ本。退屈している人に読んでほしい。
p48-
ヒトは二つの視覚をもっている。一つは知的な解釈をする視覚と、無意識的に行動させる視覚。
知的な解釈をする視覚を失えば、コーヒーカップを持ち上げても、それをコーヒーカップとは認識できないまま持ち上げるという。愛する人と会っても、その人の顔と他人の顔を識別できないという。
p51-
夢を見る意味とは?眠る意味とは?
睡眠は脳が外界の刺激を絶って自分の作業に専念するためのもので、高等動物には絶対に必要なものであるという。そして脳が専念する作業とは、新しく得た経験を整理し、系統だった記憶として前頭葉皮質に焼き付けること。だから睡眠中の脳は休んではいない。情報をやり取りし、経験と照らし合わせ、記憶回路の配線を進める。その際の刺激が、現実世界のようではあるが脈絡なく変化する夢を生む。
Posted by ブクログ
毎日新聞に定期的に掲載された書評まとめ。10年前の出版だが、非常に参考になるのと、読みたいと思う本が何冊か出てきた。 やはり科学系の本はどれも面白い。
Posted by ブクログ
ブックガイドは数あれど、無難というか紋切り型の書をすすめてくる上から目線のものに比べて、本書は筆者が楽しんで読んで推薦しているのが伝わってきて、購読意欲を非常にそそられる。
ただし、最新科学は生ものなので、ふと見直してみると古めの本が多いので実際に読むかというと躊躇する。
Posted by ブクログ
著者はかつて国立天文台に勤めていた天文学者。毎日新聞の「今週の本棚」で1997年から紹介してきた150冊の中から101冊を掲載。科学全般、人間、生物、科学者、科学論のほか、文系の世界や歴史と文化、未来の分野の本も取り上げているところがユニーク。新聞に掲載されたものが基になっているためか、多くが一般向けの本になっている。
あとがきでは、日本の中央官庁のトップクラスが圧倒的に文系出身者で、科学の専門知識が政策で活かされていないことを嘆いている。欧米だけでなく中国や韓国でも官僚や政治家の半数は理系出身者であるという。ひとつひとつの書評でも、科学的姿勢の重要性や疑似科学に対する批判的態度など、科学に対する著者の強い気持ちが伝わってくる。
惜しむらくは、15年分の書評がやっと1冊のブックガイドとして出版されるという状況。科学の分野の進歩は速いから、長くても10年くらいでまとめて欲しいと願う。それだけに、需要=日本人の科学に対する関心度が低いことが残念だ。
書評の中から関心を引いた記述:
・家畜では、脳が野生種に比べ20〜30%も小さい。行動面では警戒心を失い、社会的行動の退化にもつながっている(現代ホモ・サピエンスの変貌)
・日本の原子力関係の予算は、世界各国の研究開発費合計の7割を占めている。科学研究費全体ではODA諸国中最悪(市民の科学をめざして)
・企業的大規模農法は化学肥料への依存を深めるが、化学肥料の製造には石油の30%が費やされている(土の文明史)
<読んだ本>
生物多様性とは何か(井田 徹治)
古代文明と気候大変動(ブライアン・フェイガン)
いじわるな遺伝子(テリー バーナム、ジェイ フェラン)
<関心をもった本>
話を聞かない男、地図が読めない女(アラン ピーズ、バーバラ ピーズ)
ジャガイモのきた道(山本 紀夫)
進化論という考えかた(佐倉 統)
植物のたどってきた道(西田 治文)
イワシと気候変動(川崎 健)
土の文明史(デイビッド・モントゴメリー)
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いろいろな本を読みたくなった。書評を読むだけでも、少し世界が広がったように感じる、お得な本。
いじわるな遺伝子 ケリーバーナム
ファーブル植物記
生命40億年全史 リチャード・フォーティ
グラフィック 日本列島の20億年 小嶋尚
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自然を正しく知らなければ、また私たち人間が自然に対して何をしているかを知らなければ、人類文明の未来は闇である。
天文学者・海部宣男さんが『毎日新聞』「今週の本棚」に連載した書評をまとめたもので、宇宙論や天文学だけでなく、進化や化石、温暖化の問題など様々な科学の話題を扱い、そのおもしろさを教えてくれる一冊だ。
※本書は150点の書評から読まれるべき101冊に絞り込まれ構成されています。
およそ15年に及ぶ海部氏の読書の軌跡は、いわば科学全般へのトータルな水先案内ともいうべきもの。各章には書き下ろしのコラムも寄せており、そこでは科学者ならではの科学・技術論も紹介されている。
「科学とは世界を知ること」という著者の科学批評は、科学について関心をこれまで抱かなかったひとや「僕はニガテなんです」という方に是非読んでもらいたい。
さて本書はくどいようだが書評集。その特色を最大に活かしたい。そう、、関心のある問題については、本書から探究を出発することができるのだ。
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自然を正しく知らなければ、また私たち人間が自然に対して何をしているかを知らなければ、人類文明の未来は闇である。未来のために科学の見通しに基づいた賢い政策をとれるよう、日本社会も、科学を基礎においた組織・システムに変わってゆくことが必要だ。そのためには科学者自身も広い視野を持たねばならない。
「知りたがりの動物」である人間は,知りたがりという特性を活かすことでしか、困難な未来を切り拓いてゆくことはできないのである。
科学の本を読むこと・紹介することからも、そうした未来につながってゆければと願っている。
「あとがき」より。
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Posted by ブクログ
天文学者の著者によるサイエンス本を中心にした書評集。毎日新聞に掲載され、2012年に第10回毎日書評賞を受賞した。「科学とは世界を知ること」というスタンスで紹介。文系人間にはとっつきにくいサイエンスだが、その入り口を示してくれる。