あらすじ
漱石、芥川、太宰、谷崎、乱歩、ラヴクラフトetc…
あの名作、今さら「読んでない」とは言えないあなたに捧ぐ
史上もっとも肩の凝らない文学入門、最新第4弾!!
【収録作】
・谷崎潤一郎『痴人の愛』
・江戸川乱歩『押絵と旅する男』
・織田作之助『青春の逆説』
・太宰治『ヴィヨンの妻』
・ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』
・有島武郎『或る女』
・中島敦『光と風と夢』
・徳永直『太陽のない街』
・佐藤春夫『田園の憂鬱』
・芥川龍之介『杜子春』
・エドガー・アラン・ポー『アッシャー家の崩壊』
・夏目漱石『草枕』
・久米正雄『父の死』
・堀辰雄『聖家族』
・泉鏡花『外科室』
・ヘルマン・ヘッセ『車輪の下』
・伊藤左千夫『春の潮』
・宮沢賢治『グスコーブドリの伝記』
・三好達治『測量船』
・徳田秋声『あらくれ』
・ラヴクラフト『インスマスを覆う影』
・小川未明『赤い蝋燭と人魚』
・菊池寛『真珠夫人』
・壺井栄『二十四の瞳』(単行本描き下ろし)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「タイパ」重視と言われる時代に文学作品までこうなるとは思っていませんでしたが、中々に面白かったです。
最近よく隣の席になる新しく出来た友人が大の水木しげるファンであり(渋い…)、私が読書好きだと知って貸してくれました。
と言ってもこれを書かれたのは水木さんご本人ではなく、自称「パチモノ同人作家」のドリヤス工場さんが水木さんの作風で書かれたものです。
水木しげるさんは鬼太郎位しか見た事ないのですが、そんな私でも驚きのクオリティ。
シリーズ四冊目の本作は『痴人の愛』『ヴィヨンの妻』『外科室』等、割と有名な所が収録されていて他にも江戸川乱歩、エドガーアランポー、宮沢賢治、小川未明、など錚々たるメンバーです。
読んだ事の無い作品もあり大変興味深かったのですが、『痴人の愛』を10ページでしかも漫画で読むと身も蓋もない変愛物語になっていて、こんな話だっけ?!と困惑。ドーンと裸のナオミが四つん這いになった譲治に跨り「あたしが要るだけいくらでも金を出すか」と言いやるシーンは爆笑してしまいました。
『赤い蝋燭と人魚』は元が童話なので漫画で読むと雰囲気が出て凄く良かったり、特に『インスマスを覆う影』はホラーみが強いので水木しげるさんそっくりの作風が非常にマッチしていました。
10ページに纏めるのが大変だったとドリヤス工場さんも仰ってましたが、文学作品は文章の流れの美しさを楽しむものでもあると思うのでそれはそれは大変だったろうなあと、素直に読みつつ感心しておりました。
あとがきにもあるように、要約要点のみを読むのが勿体ない作品もあるので本当は原本を読むのが良いのでしょうが、文体も癖があったり現代人の我々は時間に追われていたりするのでハードルが高いのかも知れません。
なのでこのシリーズが累計70万部突破しているのも頷けます。
何故か本作を読み終えて思ったのですが、この時代の時間の流れと今の時代の時間の流れがどうしてこうも違うように感じるのかなと考えてしまった時に、人間はAIに既に支配されているのじゃ…と傍らのスマホを見て少しゾッとしました。
上手く付き合って行きたいものですね。
まあ私の妄想癖はさて置き、知っている文学作品も漫画になる事により新たな発見がありましたし、気になりつつも知らなかった作品も読んでみようと思えましたし、良質な時短作品でした。
さてさて、お次は「タイパ」とは真逆の『犯罪者』『Q』を同時進行で読んで行こうと思います。