【感想・ネタバレ】無人島、研究と冒険、半分半分。のレビュー

あらすじ

絶海の孤島、南硫黄島。本州から南に1200kmの場所にあり、その開闢以来人類が2度しか上陸したことのない、原生の生態系が残る奇跡の島である。
本書は、その島に特別なミッションを受けて挑む研究者たち(主に鳥類学者)の姿を、臨場感あふれる筆致で描く冒険小説であるとともに、進化や生態についての研究成果報告書でもある。

襲い来るサメ!崩れ落ちるガケ!降り注ぐトリ!噛みつくコウモリ!大気がハエ!(サメ以外は本当です)。抱腹絶倒空前絶後の科学エッセイがここに誕生。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

 「鳥類学者だからって鳥が好きだと思うなよ」から何冊か読んでいる、川上本。

 今回は無人島でいままで人が定住したことがない、南硫黄島の探索がテーマ。島全体が生物学的な標本で「人の手を入れない」保存がされている、南硫黄島。川上氏は10年前の探索に続き二回目の上陸を果たす。

 自然相手、生物相手にデータを取り観測を行うのがどれだけ大変なことかが描かれる。南硫黄島、硫黄島、北硫黄島、それぞれの自然相の違い、それをつなげる海鳥の行き来。外部からの刺激を取り込み、受け止め、それを自らの自然相とする。自然の奥深さが描かれる。

 近年の観測では、ドローンが多用され、空中から海鳥の営巣を確認するなど多様されているよう。実際の探索では島の山頂まで探索ルートを切り開き、捕まることのできるロープなどを設置してそれを頼りに鳥類学者や昆虫学者が実地調査を行う。(調査終了後はロープ類はすべて撤去される)

 「バッタを倒しにアフリカへ」「バッタを倒すぜアフリカで」も自然相手の観測がどれほど大変か、同じ背景の本で、本書を読んで思い出した。

 ドローン画像をみた、学者連の感想は、「僕らの見たのは探索路の周辺の線上のものにしかすぎないんですね」。

 次回、今回の探検から10年後の調査が待たれる。

0
2025年06月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

猫丸さんのリンクから、川端裕人さんのレポートを読めてとても面白かった。感謝です。川上和人さんは、鳥類学者だけれど、国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所 鳥獣生態研究室 主任研究員、という肩書きをお持ちなのです。
森林の研究機関で、なぜ海鳥を?という疑問も、こちらで解決できます。

この本はなんと、2007年と2017年の、あの南硫黄島の調査を書籍化したものだった。NHKのドキュメンタリーで見た、あれ・・・。随分昔の出来事だが、よく覚えている。当たり前だが、とても放送できなかったキタナイお話も、この本では余すところなく語られている。さらに10年後といえば2027年だが、はたして川上和人先生は三たび上陸を果たされるだろうか。
あいかわらず好調な書きっぷりだが、なにしろかなり以前の話である。なんだかなぁ。それでも、今さらながら記録してくれたことはありがたい。私も、ずいぶん前に入手しておきながら、つい面白そうな小説に手が出て、なかなか読もうとしなかったことは反省する。
詳しいことは、kazuさんのレビューがあまりに秀逸なので、もうここで書くことがないです。(やる気が・・・)

0
2024年02月04日

「雑学・エンタメ」ランキング