感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
手芸店を舞台に繰り広げられる、恋愛感情が分からない女性とネグレクトされて育った男性の物語。
畑野さんの作品を読むのは3作目だが、この本が一番好きだ。一気に読んでしまったし、最後は泣いた。
Posted by ブクログ
まずひかりくんのお料理が美味しそう。木綿子さんの作品や暮らしが可愛らしくて美しい。
自分が聞かれたくないから相手に聞かないこともあるし、話せるようになる強さも、聞かない優しさや、それを待つ強さもある、と感じた。
お互いにお互いの踏み込んで欲しくない領域を大切にして踏み込みすぎず、徐々に心を溶かして行く感じ、とても良かった。
待つ優しさ、束縛しない臆病な関係。
人に説明できなくても、人から理解されなくても、お互いが信頼しあえていればそれでいいという関係はあるし、そこにあることをだけ認められるといいな。
また「助けて欲しい」と長く言えずに、それでも救われていくものを見られた。
そして先の約束があることで私も少しずつ嬉しく、あたためらながら読み進めた。
そして、どうなるんだろう、どうなるんだろう、と思いながら読み終えました。
とても良かったです。また読み返したい。
Posted by ブクログ
ひかりが戻ってきてからの二人の会話が可愛くて愛おしくて、何度も読み返してしまう。
成瀬がひかりのことが好きなのはかわいいからと言い切るところの会話も好き。
ひかりが義務教育を終了して、母親は帰らなければいけないきっかけがなくなってしまったのかな。
Posted by ブクログ
やわらかな手触りの物語。
二人の間に流れるやさしい空気が、相手への思いやりに満ちていて、とても心地よく感じられた。
それにしても、犬ころ男子は可愛いなあ。
周りの人達がそれを愛でてる図も、また微笑ましい。
無理に恋愛という枠に、当てはめなくたって良いんだ。
その人の涙を見るのが辛いこと、その人に笑っていて欲しいと思うこと。
何よりも誰よりも、大事に、大事にしたいと思うこと。
それはとても大きな、愛だと感じるから。
お互いのペースでゆっくりと、二人だけの関係性を築いていけたら良い。
Posted by ブクログ
台風の夜に住む場所を失くした、無職の28歳独身男・ひかりは、嵐の中で雨宿りに入った軒先で住み込み従業員募集の張り紙を見つけ、飲食店の募集だと思い面接に行く。だが、その店は手芸用品店でだった。店主の木綿子さんの厚意で住み込みで働くこととなったひかり。
独身の年頃の男女が一つ屋根の下で暮らせばそこに恋愛関係を想像するが、恋愛迷子の二人にはその気はなく。
木綿子さんの友人で失恋のたびに手芸店にやってくるまいちゃんの言葉に考えさせられた。「恋愛って年齢で変わるよね。中高生の頃は憧れに近いものでかっこいい先輩とかに恋をして、大学生の頃は野性的でセックスのことしか考えてなかった。大人になると自分にあった人、生活の安定、出産のことを考えて恋愛する。単純の好きじゃなくなるんだよね。」(ニュアンス)
「ただ好き」だけでよかった恋がいつからかいろんな制約の中で展開していく。大人になったらあらゆる責任が付きまとうから当たり前だと思いつつ、なんだかむなしいなと感じてしまう。
Posted by ブクログ
先が気になって、適度な緊張感を伴うワクワクで読み終えました。
同じ畑野作品で言うと「消えない月」のように、今後何度も思い出す、という本ではないけれど、静かであたたかい感じを楽しみました。
ひかり君の辛いことの多い過去の描き方が、いかにもな書き方ではないところがいい。読んでいて胸が苦しくなるけれど。
わたしにはない経験で、木綿子さんにもひかり君にもとても共感!とはいかないけれど、むしろ「そんなん話してみなけりゃわからないよー!」と何度も思ったけれど(デリカシーないわ笑)、ひかり君へのじいちゃんや司さんの言葉がとても響いたな。
じいちゃんや成瀬君、今、大人として、成瀬君のお母さんのような人になりたい。簡単なようで簡単じゃない。
共感できなくても、そういうこともあるのねと思える人でいたいな。
二人とも、まわりに恵まれる人なのよね、それってなによりの財産だ。
ひかり君のように、「名前に合わせて僕が変わることはない、なんて呼ばれても僕は僕」とは思えないわたしは、ある意味いろいろ縛られているのかなー、自分自身が縛っているのかな。旧姓含め苗字を大事に思うのは、しあわせだからとも思うけれど。